Xデザイン学校台湾ステージ 〜その①〜

6月2日曇り

Xデザイン学校台湾ステージ

昨日に引き続き台北にいます。今回の台湾出張には3つのタスクがあり、台北と台中での仕事と、今年から研究生としてUXデザインの研究でお世話になっているXデザイン学校の台湾ステージへの参加です。今日と明日はその講義とワークショップが行われ、今日は朝早くから懇親会と二次会を合わせると夜中まで(笑)、台湾の人たちと共にUXデザイン、サービスデザインを学ぶ非常に稀で勉強になる時間を持つことができました。このブログにも備忘録がてら写真とともに二日間の出来事を書き残しておきたいと思います。

産官学×サービスデザイン@

朝9時の集合は台湾大学のすぐ横にある台湾科技大学のキャンパスで、唐教授による大学生たちとの取り組みと、実際に学生さんが研究したサービスデザインについてのプレゼンテーションを聞きました。台湾の学生さんのレベルは少し圧倒される位高くて、その研究テーマも日本と変わらないと言われる高齢化社会へ対応して、介護の移動手段であったり、どんどん進化するデジタル革命についていけず、取り残されるお年寄りを救済するためのインターフェースデザインを考えるなど、産官学が一体になって地域社会により良いサービスデザインを生み出し、幸せな社会にしていくのだと言う意思が伝わる志の高い内容だったと感じました。実際の企業に入り込んでマネタイズを考えながら学ぶことも重要ですが、このような一見地味な、しかしこれからの私たちの社会にとって重要なインフラ整備にこそUXデザインを通してのイノベーションが必要なのではないかと考えさせられました。

イノベーションにはメソッドに裏付けされたフレームワークが必要だ!

昼前からは台湾科技大学生後にして、一転、マネタイズをいかに生み出すかの思考のフレームワークで超有名なビジネスモデルキャンバスを提供されているビジネスモデルインク台湾オフィスへと会場を移し、世界的大ベストセラーとなったビジネスモデルジェネレーションの次にリリースされるフレームワークサービスの予告を兼ねた?ビジネスモデル構築に関する全体像をプレゼンテーションして頂きました。私も実務や研修でビジネスモデルキャンバスはよく利用していますが、その使い方の全体像を改めてレクチャーしてもらい、なるほどと大いに腹に落ちました。特にアメリカのトップ企業の経営陣が集まってワークショップを行っている動画には圧倒されて、同社が提供されているコンテンツが新しいビジネスモデルを作るためのスキームであることを再認識した次第です。帰国したら再読します。(笑)

調査が全ての根幹という原理原則

イノベーションを起こすには、スキルとメソッドに裏付けされたツールが必要でそれこそ私達が提供している!と刺激的なプレゼンテーションの後は続いての講義は我らが浅野先生が登壇、ユーザーエクスペリエンス、サービスデザインの根幹を担う質的調査についてその必要性と重要性を再度丁寧に示されました。調査に失敗すればインサイトを得られないどころか、せっかく作り上げたサービスデザインが上っ面を滑る机上の空論になってしまう可能性がある、と地味な部分にこそ最も注力しなければならないと原理原則論とも言える自論を展開され、エスノグラフィーの母と言われるイザベラ・バードの伝記的小説を少し前に読了したばかりの私にはこれまたドスンと腹に落ちる再認識。良い復習になりました。

モノからコトの社会実装

浅野先生に続いて登壇されたのはもっとシャープのデザインチームを求めて来られ、退職されて今はUXデザイナーのトップランナーであり教祖?として崇められている佐藤氏、Iot時代のUXデザインについてメーカーでの取り組みを中心に上にわかりやすく説明をしてくださいました。ゲームチェンジと言う言葉をよく口にしますが、高度成長期の延長線にはない全く違うビジネスモデルの転換をあらゆる企業が迫られていることを如実に示されました。マーケティングの大家、コトラーが提唱した「モノからコトへ」と言う概念がテクノロジーの発達とともに社会に実装されていく過程と構造を改めてよく理解することができました。短い時間のシンプルなお話でしたが、これも非常に良い復習になったと大いに喜んだ次第です。

地域創生×デザイン思考

続いては今回のワークショップを共催している台湾側の林事務所の林承毅氏からサービスデザインと地域創生の取り組みについてのプレゼン。台湾だけではなく、日本の地方でも地域創生のアドバイザーとして依頼を受けるなど、デザインシンキングを起点にして国内外を問わず幅広い活動をされておられる姿には時代のニーズを先取りされて来たのを感じさせられると共に、多くの人に共感を得られるサービスデザインで世の中を良くしたいという志と熱量を感じさせられました。自立循環型社会の実現を標榜して来て地域創生の取り組みを進めている私としても大いに共感するところ大であり、今後もお付き合いさせてもらいたいと思いました。

LT@台湾+日本

林さんの後は台湾、そして日本からの参加者の自己紹介を含めたライトニングトークでUXデザインを実務として活躍されている皆さんの取り組みを見せて頂き、優秀で熱い想いを持ったデザイン思考の集団にまみれていることを改めて認識。仕事以外でもサービスデザインのスキルを使って個人的な活躍を(若いのに!)されている方もおられ、凄いなーと年甲斐も無く感嘆してしまいました。そんな場違い感も否めない私も、それを逆手に取って何故建築とマーケティングの専門家がここにいるのか?という説明というか、言い訳がましいトークをさせてもらい、なんとなくサービスデザインのトップランナー達の輪の中に馴染んでおきました。(笑)

虎穴に入らずんば虎子を得ず。

とにかく、海外にまで学びに来てみて感じたのは、(分かったつもりの事ほど)やってみなければ分からないという当たり前過ぎること。あとは日本ではまだまだ先進的な取り組みの様に思われる人が多いUXのデザイン思考は世界では既にサービス(サービスを含めたプロダクツ)を考える上で前提条件になっているという事で、これは現地に飛び込んで空気感を味わって初めて感じられると思いますし、この感覚を身につける事こそ実際のビジネスにデザイン思考に汎用性を持たせるUXデザインマインドだとすれば、海外で現地の人と交わるワークショップは大変意義の深く、重要な学びになると感じました。懇親会も大いに盛り上がりましたし、明日は実際に街に出て調査からインサイトを見出すワークショップの本番、実に楽しみです。

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