平成30年8月9日曇り
真夏の曇天
神戸は久しぶりに朝から曇天。心なしか涼しくなるかと思いきや、街のいたるところに蓄積した熱はそう簡単に消える筈もなく、いつもの寝起きの筋トレをしたらいつまでも汗が引かずとうとうスーパークールビズの半ズボンのまま朝の朝礼に出てしまいました。(^_^;)
午前中は11月2日にクリナップ社主催の水回り工房情報交換会での講演打ち合わせ、午後からはTOTO大阪ショールームにてセミナーの開催と、暑くてもいつまでも半ズボンでいるわけにはいかず、朝のラジオ体操だけ済ましてとっととシャツに着替えました。早く涼しくなってもらいたいものです。
「概念と事例との相互変換」
今日の大阪でのオープンセミナーは、職人的マーケティング概論の2018年バージョン「ポスト平成の生き残り方」と今期の初めから行なっているものと同じ内容ではありましたが、今日は冒頭に伝える内容を少しだけ新たにしました。それは、忙しい中せっかくセミナーにご参加いただくのですから、少しでも自社に持ち帰り実業のヒントにしてもらいたいと思うからで、学ぶ事の根本的な意味合いを共有させていただきました。それは、職人起業塾の研修でも繰り返しワークを行う「概念と事例との相互変換」で、私がセミナーでお伝えするのは、うまくいった事例等ではなく、あくまでも建築業界で使えそうなマーケティングやマネジメントの概念で、参加者にはその概念を咀嚼して自社の強みと照らし合わせて、自社独自の事例を作っていただきたいと思うからです。
コンセプトに則った戦略
時代の移り変わりとともにユーザのニーズも大きく変化を遂げ続けており、しかもそのスピードが圧倒的な速さに加速つつある今、あらゆる業態でゲームチェンジをしなければ生き残れないと言われています。我々建築業界もその例に漏れず、新しい時代に対応したビジネスモデルを考える大きな転換点に差し掛かっていると考えるべきで、これまでの業界の常識の延長線上には未来は無いと思っています。平成の終わりと共にやってくる激動の時代に備え、人口減少、消費税増税による市場の冷え込み、マーケット縮小に伴う大手による寡占化戦略に打ち勝ち、乗り越えるコンセプト(概念)を明確に持って戦略を立て、行動に移さなければこれからの厳しい時代に生き残りは難しいのではないかと思っています。
事例は使えない、概念は使える。
とはいえ、そんなコンセプトを神戸の片田舎で小さな工務店を営んでいる、中卒で大工上がりの経営者である私ごときが考えたところで、大したアイデアを生み出せる訳もなく、聴いて貰ったところでなんの学びにもならないかもですが、私がこれまで10数年間に渡り学び、実践してきた概念は世界トップクラスのマーケターや世界で最も多く読まれているビジネス書を上梓した経営学の博士が纏められたものであり、その中から工務店やリフォーム事業者の実務に使いやすい、実際に使えた考え方や理論をチョイスして分かりやすくお伝えしています。一言で言うとこれまで建築・住宅業界に馴染みが無かった「マーケティング志向」への転換を誘う、となりますが、すみれではこのコンセプトを活用して7年以上も一切の販売促進、反響営業等をせずに売り上げを上げ続けてきました。セミナー参加者にその方法論を話しても事業モデルが違うので全く意味はありませんが、概念化した理論、考え方は大いに参考にしてもらえると思うのです。
概念を実践で裏打ちすれば知恵となる。
例えば、ジェイ・エイブラハムの「卓越の戦略」を学び、顧客のLTV(顧客生涯価値)を全て引き受ける事が出来れば、リピートビジネスで安定的な売り上げを上げ続ける様になる。と言う概念を身に付ける事が出来れば、その考え方に沿った行動を行える様になります。すみれではその入口として現場で顧客の評価を得られるように、自社の社員大工を育て、社内研修を行い、担当大工が現場で顧客とコミュニケーションを取りながら工事を進めるようにしており、顧客から頼られる様に工事終了後は社員大工が年に一度はお客様宅を訪問して工事の不具合だけではなく、1時間程度で終わる修繕工事は全て無料で行なっています。卓越の戦略のすみれバージョンと言ったところで、この取り組みを何年も繰り返しながら修正やブラッシュアップを続けてきた事で、社内での顧客との向き合い方、信頼を得る力が変わってきた様に思います。
概念は幾らでも応用が効く。
私達がその様な仕組みで成果を上げていると、事例を紹介したところで、職人を雇用していない企業には同じシステムを採用する事は出来ませんが、「顧客にとって卓越した存在になる」と言うコンセプトに沿ったアクションプランは他に幾らでも考えられます。マーケティング志向への転換は目先の損得だけに囚われる事なく、中長期の視点を持つこと、顧客へニーズを超えたバリューを与えること、強い信頼関係を構築すること、と徹底的に顧客視点に立つという概念(に基づいた習慣)を事業所の全員が身につける事で、現状行なっているあらゆる業務を見直し、その精度や方法を改善し、レベルを上げて、一見、同じ様に見えるビジネスモデルを根底から大きく変容させ、顧客との関係性を圧倒的に変えるキッカケになるはずで、この変容こそがマーケティングを学ぶ意味になると思っています。本日のセミナーにご参加頂いた方の頭の片隅に、「不易流行」「一期一会」「三方良し」の3つの概念が残り、実務に生かしていただければ幸いです。
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