平成30年12月18日 晴れ
喪中につき、失礼します。
神戸は朝から雲一つない晴天が広がり、日中はポカポカと暖かな陽射しの過ごしやすい一日となりました。今日はやっと、夕方まで外出の予定もなく、事務所でデスクワークに勤しむ事が出来ました。あれこれと期限に余裕がないタスクに取り組みましたが、その中でも、ソロソロ手をかけねばまずいと思ったのは年賀状の準備です。実は私、今年は義父が亡くなり、喪中となっておりまして、個人的には年賀状を出すのを控えさせて貰うのですが、事業所としてはそれとはまた別で年の始めのご挨拶を止める訳には行きません。すみれでは既に年始の挨拶を兼ねたニュースレターの準備をしましたが、一般社団法人職人起業塾は全く手付かずのままだったのでした。
年賀状の締め切りが変わった件
そんなこんなで年賀状発送の準備をすべく、筆ペンでおもむろに文面を描き始めました。筆で字を書くには手が馴染むまで少し時間がかかります。夕方からは「ひょうご木づかい王国」の定例会を開催する都合で段々と時間が迫って来るにも関わらず、いくら描いても納得出来る出来栄えにならないのに少し業を煮やし、今日のところは完成を諦めて日を改めようかと思い、「年賀状って何日までに投函したら良かったっけ?」と事務所のメンバーに聞いてみると、「例年は12月25日までなら元旦に着くことになってますけど、今年は郵便局の働き方改革でそれも確定出来ない事になっているらしいっすよ」と運輸業事情通のまっつあんが教えてくれました。
サービスの質を損なう働き方改革
「それじゃあ、悠長にしている間はないな、」と、なんとか無理矢理、書き上げて、「年賀状発送の締め切りにに間に合わせてもらえるようにレイアウト修正と印刷に回して下さい!」と事務局に送りましたが、ワサワサと作業をしながら何となくしっくり来ないと言うか、違和感が頭から離れませんでした。別に働き方改革で労働時間を短縮し、休日を増やしプライベートを充実させるのは全然悪くないと思いますが、その結果サービスの質を低下させるっていうのは何か少し違う気がします。効率や効果性を上げる、人を増やすなど何かしらの手立てがあってこその働き方改革のような気がするんですが、それが思うように進まなくてもまず労働時間の短縮ありきと言うのは、特に公共のサービスでは看過できないような気がします。
サービス低下どころではない業界。
と、郵便局のサービス低下に苦言を漏らしている自分たちはどうかと言うと、なかなか働き方改革は進めていないのが現状で、特に繁忙期になると決まった休みもろくに取れず、休日出勤をスタッフにしてもらいながら何とか工事を進めているのが実際のところです。建設工事業と言う労働集約型の代表代表選手このような仕事こそが最も働き方改革と言う名の労働時間短縮と、サービスの維持向上の両立が難しい業態であり、さらに職人や施工管理等の現場実務者は年々その数が減り付けており、働き方改革どころか着実に劣悪な労働環境に向かっていると言っても過言ではありません。このままではゆとり世代の次のさとり世代と言われる若者たちにより一層人気がなくなり、人材が集まらずさらに労働環境が劣悪になると言う負のスパイラルにどっぷりとはまり込んでしまいそうです。
多能工化。
建築業界全体的な流れとしては、職人不足に対応して、多能工と呼ばれるいくつもの職を兼任できる職人の育成が注目されており、解決案の1つとしては間違いではないと思いますし、実際すみれでも社員大工の施工範囲は結構広く、一般的な大工の職能だけではない多くの役割を担ってもらっています。私の持論は、職人は専門業種を1つ突き詰め、プロフェッショナルとなるとともに、施工以外の工事全体の施工管理、顧客対応や営業、設計等、労働集約ではない知的労働者へのシフトを行い、役割の多能工化を図るべきだと思っています。歳を重ねて体力が落ちてきても同じ生産性を保つには本来の意味での働き方改革が必要だと思うのです。
一筋縄ではいかない職人の意識改革
すみれの職人たちは大工としての木工事の技術だけではなく、施工管理やお客様への窓口としての役割を担い、次の売り上げを作る意識を持って現場全体を管理する役割を担ってもらっています。施工管理をするにはそれ相応の知識と経験が必要で、それ故毎年順番に建築士等の資格を取得してもらうようにしており、会社からもできるだけバックアップを行っています。ただ、この私が提唱する働き方改革はそんなに簡単なものではなく、長年現場作業だけを行ってきた職人に顧客とコミニケーションを取れ、勉強して資格を取れ、工事を行っている近隣から仕事の依頼をもらって来い、と言ったところでどれもやったことのないことばかり、なかなか意識を変えて行動するには至れないのが現実です。実際、私がオーダーする役割を全うできないと会社を去っていった職人がこれまでに山ほどいます。
金の卵募集しています。
そんなこんなで、どっぷりと今までの建築業界に疲れ切った職人の意識改革は難しいとしても、やっぱり建築は現場がすべて。現場で経験を積み重ね、収まりを全て把握する職人になりながら建築のプロフェッショナルとして違う役割を担いるように学び続けることさえすれば職人の未来は非常に明るく、若い人たちにも胸を張って勧めることができる良い職業になると思うのです。何よりものづくりは楽しいし、自分が携わった仕事が何十年も残る、こんな素晴らしい仕事はなかなかありません。私たちすみれではゼロから職人を育てる取り組みを長年続けておりますので、自薦他薦を問わず職人になってみたいと思う人がいれば喜んで歓迎しております。次世代の現地業界を担う金の卵ぜひご紹介してください!
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