令和元年6月13日快晴
巣から落ちた雛鳥。
昨日の夕方、アイドル犬チャックといつもの伊川の河川敷を散歩していると、草むらの中にチャックが何か見つけて勢いよく入っていきました。このパターンは大体何か小さな動物を見つけて咥えてくるのが常で、先日は土から出てきたモグラだったし、その前は死にかけの生まれたての子猫でした。その度にオモチャを見つけて喜んでるチャックからそれらを取り上げて、モグラを土に戻したり、子猫の介抱をしたりと手を煩わすことになります。
昨日もいやーな予感を抱えつつ、チャックについていくと今回はいつになく慎重にワンワンと吠えながら距離を保っており、見るとムクドリの雛が巣から落ちた様で、ピーピーと大きな口を開けてチャックを威嚇しておりました。
親鳥おるんかーい!
巣から落ちた雛は親に見捨てられたのかと思い、腹ペコの風情だったのでしょうがなく自宅に連れて帰ろうとチャックを制して抱えてやろうとすると、意外と1mくらいは生えかけの羽で飛べる様になっており、チャックと三つ巴のちょっとした追いかけっこをしてしまいました。
やっと保護したと思ったら今度は親鳥がやってきて雛を返せとばかり私の頭の上でピーピーと騒ぎ出し私を威嚇し始めました。親鳥が見捨ててないのなら、私の出番はないと思い返して雛を元の草むらに返し、後ろ髪を引かれて動かないチャックを引きずって帰途に着きました。
野良猫の餌?!
そのあと、書道のお稽古をしながら「無事に育ってくれたら良いんだけど、」と、そんな一連の話をしていたら、事の顛末を聞いてた先生が「親鳥が雛を巣に戻せる訳でもあるまいに、野良猫に食べられるんでしょうね、それがその小鳥ちゃんの運命やったってことやわ」と批判めいた指摘を一言。その言葉がぐさっと胸に突き刺さってから、見捨てた雛のことが頭から離れませんでした。やっぱり連れかえって育てるべきだったのでしょうか?
そんな事があったからか、今朝も早くから4時には起きだして一仕事と朝のルーティンを済ませて、いつもより少し早めにチャックと連れ立って散歩に出ました。もちろん、昨日の草むらには雛鳥はいませんでしたし、猫に食べ散らかされた後もなく、少し気持ちが楽になったというか、安堵した次第です。
知らんがな。
五十歳をとうに過ぎたおっさんが何を女の子みたいにちっちゃ過ぎる事でウジウジしてるのか?と思われても致し方無いですが、このところこの手の悩ましい事案が多く、胸に小さな棘が刺さった状態になる事が少なからずありまして、どうしたものかとしょっちゅう思い悩んでおります。
雛鳥が巣から落ちたのは多分、雛自身が少し羽が生えてきて飛ぶ練習をしたからで、それは全く私の責任ではありません。チャックが咥えようとしたのを止めた事で私は監督責任を果たしましたし、後はどうなろと関係ないし。助けに来た親鳥が何とかすれば良い事です。関西人なら「後は知らんがな」で済ますのが一般的だと思います。
自己責任の世界への疑問。
今の世の中、自己責任の時代と言われて久しいですし、資本主義の前提条件である契約社会では責任の所在を明らかにして、責任があるものが責任を負うのが社会通念の根底を支えていると言っても過言ではありません。私も長年、そこに疑問を感じることはあまりありませんでした。
しかし、様々な本を読んだり、学びの機会を持つ度にルール、契約、責任について疑問を持つことが徐々に増えてきました。特に、近年は業務をスムースに、ミス無く進めるにはマニュアルやチェックリストを作成、活用するのが効率が良いと聞く度に違和感を感じずにいられません。
ノールール、ノーマニュアル。
先日、長野のLocas会議なるカンファレンスに出席した際、今の建築業界で最もデザイン思考の建築家だと私が思っている、谷尻誠さんが講演の最後に、「人数が増えた今の事務所では出来るだけルールを作らないようにしている、所員が何かミスを犯す度に、ルールを作るのが嫌だからもっとよく考えて行動してくれと言っている」と言われていました。確かにノールールでなんの問題もなく業務が進むのに越したことはありませんし、クリエイティブな仕事にルールは邪魔者でしかない気がします。
ずいぶん昔、TOTOの小倉第2工場で5S活動の真髄を見学させてもらった際、「作業員が主体的に生産管理を行いながら作業されているのは詳細なマニュアルがあるのですか?」と質問したら、「マニュアルなんかで主体性は生まれない、だから5S活動をしているのです。」との答えを貰い驚愕したことがあります。工場での組み立て作業(単純作業)でもルールでは真の効率化=人の効果性は作れないと学びました。
世界を良くするのは思いやりと愛。
雛鳥を見捨てた話からだいぶ飛躍してしまいましたが、要するに、世の中を良くしたり、幸せにするのは「ルール」「責任」「コンプライアンス」ではなく(くさいですが)「思いやり」や「愛」だと思うって話で、上杉鷹山公が破綻しかけていた米沢藩を日本一豊かな藩に改革した根底に自らの「あり方」を正すこと、城内、領土全域に思いやりと愛情の念を行き渡らせて、皆が皆、周りの人のために何ができるか、国を良くするにはどの様に働けば良いかを考える主体性を持つ様にコミュニケーションを取ったという話から、親鳥が助けに来たとしても、助ける実力が無いと判断すれば「知らんがな」ではなく、手を差し伸べるべきだった、という話です。
正直、「愛やろ、」という言葉を私が口にするのはずいぶん似つかわしくないし、気恥ずかしいのも全開ではありますが、全国で行なっている建築現場実務者向けの研修の中で「マーケティングって愛やで」と言い続けておりまして、普段、偉そうに「愛があるのか?」と問うている立場として、巣から落ちた雛を見かけた責任を取らなかったことが悔やまれてなりません。
ルール守って満足してんじゃねーよ!
言うは易し、行うは難し。と言いますが、こう見えても私、愛を持って生きたいと願っておりますし、「知らんがな」という責任がなければ親切心も発揮できない様な人間に戻るまいと日々努力しております。なかなか思う様な思いやりに溢れた人間にはなれておりませんが、今回の雛鳥事件と同じ様に見て見ぬ振りとか、知らんがなとか、俺の責任じゃないし、なんて割り切った判断をしているのを見かけたら、「ルール守ったら良いってもんじゃねーよ!」とお叱りの言葉を頂ければ幸いです。
行き過ぎたコンプライアンス重視の生き難い今の時代に、お節介や非効率やお人やしといったルールを飛び越えた行動を少しでも行うことで、楽しい、幸せな、生きやすい世の中に少しでもなれば良いなと思います。結局、古来から先人たちはそんな事の為に学び続けてきたのだと思うのです。改めて、なんのために?と問いながら、小さなことから気に留めて行動を選択していきたいと思います。
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担当 西田、岩川、西村
☆☆内容☆☆
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