実は最近何故か繰り返し耳にして、気になっている言葉があります。
昔から言い古された言葉ではありますが、なぜ今?あちらこちらで聞こえてくるのか分かりませんが、とにかく全然関係がないところで同じような話によくなるのです。
理由はさておいて、そのよく耳にする言葉とは、
「見た目が8割。」
という言葉。
すみれでも社内研修でも何度も繰り返して言い続けていることでもありますが、身だしなみや身なりを正しなさい、ということの根拠としてよく言われる言葉です。
とにかく、まずは見た目から正そう、ということですね。
確かに人の評価って表面的に見えるイメージで判断することが殆どであることは間違いないと思います。
人的にいうと、服装や清潔感、挨拶や表情など。
仕事でいうと、プレゼンテーションやデザイン、企業イメージなどでしょうか。
とりあえず、見た目が全くイケて無くて、拒絶されるようなものはどうしようもない、
という事はありますが、本来は人の印象にしても仕事にしても表面的な部分で評価を下してしまうのは非常に危険なことだと思っています。
そしてその反語として言われるのは、『本質は中身にあり。』という言葉。
あいだみつおさんの言い回しを借りると、
『きれいな玄関と床の間だけでは生活できねんだよな、』
というところでしょうか。
私たちは建築に携わる技術系の会社として、本当の評価を頂くのは、建物が出来てお引き渡しをして、お施主様が住まれた後になされると思っています。
なので建物が出来たその後の生活に焦点を当てた提案を最重要事項としています。
そんな訳で、表面的な価値観ではなく本質で勝負!したいのはやまやまなのですが、実際は、『見た目が8割』というのが現実には多くのユーザーが選択する根拠となっているとも思うのです。
いくら中身を磨いてもそもそも興味を持って頂けなくては意味がありません。
人は第一印象でほぼ評価を決める。と良く身なりのことを言われますが、
それは会社であっても仕事であっても結局おなじ事だと思うのです。
住宅や店舗の依頼先を決めるのも、カッコいい、素敵、いい感じ、カワイイ、
というデザインやぱっと見た印象から興味を持ってそれを作っている会社の門を叩くパターンが
非常に多いと思います。
しかし、見た目だけがいくら良くても中身がスカスカでは話になりませんし、良かったのは外見だけだった、という結果程、人を失望させることはないと思います。
逆に、中身(性能)をいくら充実させて心地よい空間を作ったとしても、
見た目がダサい、となるとこれも話になりません。
要するにバランスか、と言う事になる訳ですが、ここで問題になるのは
善し悪しを決める基準だと思うのです。
そして、その判断基準を持っているべきユーザーは住宅に関して言うとそんなに性能について深い知識を持っている訳では無いと思います。
見た目や雰囲気での善し悪し、自分の趣味志向とあうかどうか?は判断出来てもその建物を手に入れることによってもたらされる実際の暮らしは非常に分かりにくいのではないでしょうか?
技術的なことについては、いわゆる素人な訳ですが、その素人に評価される為に私たちはマニアックで専門的な知識を習得して商品価値に磨きをかけます。
そして、それが評価されるかと言うと、やっぱり難しく、その努力は実際に購入して生活してみないとなかなか評価されることはないと思いますし、違う選択肢をしたとしても比較検討することも出来ないので、例え失敗していたとしてもなかなか気付く事さえなかったりする訳です。
『見た目』と『本質』
要するにどちらも大事、ということだと思いますが、同時にバランスよくレベルを上げて行くというのもなかなか難しく、、
卵が先か鶏が先か、というジレンマに陥ってしまいそうになります。
そんな事を考えながら今回の研修に参加して感じたのは、
北海道の同業者の経営者さん達が学会と二人三脚で住宅の性能を高める事を突き詰めて来た結果、住宅メーカーがシェアを広げることが出来ないまるでドイツのような住宅市場になっているのは決して高気密高断熱住宅に対するニーズが大きかったせいだけではなく、地場の工務店が住宅性能とセットで高性能な建物だからこそ出来る大胆なデザインや現場でモノづくりをする会社だからこそ出来るディティールに拘った提案をセットで行なって来たからだと言うことです。
結局、いつもの表裏一体論になってしまいますが、住宅の性能と、その性能が許すオリジナル性溢れるデザインというのはセットなのだと改めて理解した次第です。
中身を磨けば、見た目は自然とかっこ良くなるし、
見た目を良くする為には中身について一層の吟味をすることが必要になる。
優先順位を考えるのではなくて、迷わずにそしてがむしゃらに両方やる。
最近の私のテーマです。(笑)
鎌田教授の講義を聴いて、沢山の先輩経営者の方のリアルな素晴らしい取り組みを目の当たりにしてそんな風に思いました。
皆様、本当にありがとうございました。
そして、今後とも宜しく願い致します。
深謝。