コロナ禍のリフォーム業界に求められている事。#やり方ではなく在り方

令和2年9月17日 曇り

世界は変わった。

今日は久しぶりの東京へ。10月から着工する南青山のアパレルブランドのショールーム改装工事の着工前打ち合わせに向かいました。少し前に菅新首相がコロナ問題は東京の問題だと口を滑らして物議を醸しましたが、実際、地方都市から見るとダントツでヤバい場所に見えていたのは確かで、本当は人口比からすると大したことはないのですが、先月までは私も東京(関東)での工事の依頼に対して、若干の躊躇があり、スタッフに工事に行かせるべきか、断るべきか悩んでおりました。依然、コロナ禍が収束したかというとそんなことはないのですが、ウイズコロナの世界で生きていかなければならないのが世の中に浸透してきた事もあり、来週からは熊本の災害復興の仮設住宅の応援にも行く事ですし、そろそろと広域の仕事も進めていかねばと覚悟を固めました。世界が変わった事を認識して、いつまでも悩んでいるのではなく、前に進む時期に来たと思うのです。

新たな細菌感染発生!

昨日の第85回「継塾」の冒頭でも紹介しましたが、昨日のニュースでまた中国の甘粛省の医薬品工場から感染症のブルセラ症の原因となる細菌が漏れ出し、付近の住民ら3000人が感染していたとの報道がありました。今回、世界中を恐慌に陥れ、世界を変えてしまった新型コロナはこれまで人類が戦ってきた細菌と比べて大したことは無く、問題は進みすぎたグローバリゼーションと必要以上に不安を煽り、拡散する情報伝達の技術革命であり、ひょっとすると、同じような感染症の恐怖が毎年のように発生するかも知れません。感染症以外でも、気候変動、地震等、世界はリスクに満ちており、それらに怯え、足を竦まして固まっていても、何らいいことは起こりません。現実にしっかりと向き合い、受け止め、リスクを避けながらも行うべきことを粛々と進めていくしかないと思います。https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000193317.html?fbclid=IwAR0bVUBBYqzSuISHj_6cAfeevEPnLyGN-Epz28dy97akNt-Wr1xTe0Rg5kY 

業界紙報道部長からの取材。

南青山での打ち合わせを終えたあとは、少し前に連絡をもらっていた某有名住宅業界専門誌の報道部長と約束をしており、東京駅近くのプチラグジュアリーホテルのカフェで打ち合わせでした。打ち合わせが少し長引いたのと、東京の土地勘が無いのも合わさって少し遅れてしまったところ、カフェなのに、利用時間は2時間と決められており、時間になるとさっさと追い出されてしまいました。東京は本当に恐ろしいところです。(笑)
取材を申し込まれた内容は、とある政府系リフォーム団体から、コロナ禍でリフォーム業界では随分と業績を落としている会社が多く、今後の売り上げを立て直していくにあたり、チラシなどの販促による反響頼みでは先行きが見通せなくなっていることから、OB顧客からの売り上げを見込める方策を冊子にまとめたいとの依頼がその新聞社に入り、かれこれ10年近く全く販促をしていない私に白羽の矢が立って、取材を申し込まれたとのことでした。

やり方を聞いても意味はない。

F報道部長に、具体的にどのようなOB戦略、フォローアップをされているのですか?とやり方を聞かれましたが、そこで私が答えるのは、大して珍しくも無い、普通のことばかりです。一年に一度の巡回訪問メンテナンス、毎月のOB顧客向けのイベント、隔月のニュースレターの送付、そして、工事終了時のアンケートで100点満点の評価をもらえるような施工品質とコミュニケーションです。面白くも何とも無い話ばかりで、正直詰まらなさそうな感が否めない、といった風情のF報道部長に私が申し上げたのは、それらのLTV(ライフタイムバリュー)を引き受ける為の活動を支えているのは職人の正規雇用と研修、教育を連綿と行って、現場の意識改革を行っているからであり、現場での顧客接点強化ができていない会社が同じ事を行っても全く違う結果になる。と言う事でした。要するに、やり方では無く、あり方の問題なのです。

真の顧客接点はどこか?

建築業界、特にリフォーム業界で人事制度(賃金制度、等級制度、評価制度)を完全適法で明確にしている会社は未だに多く無く、さらにそれを大工などの職人にも当てはめて運用している会社は皆無といっても過言ではありません。殆どのリフォーム会社では、営業兼施工管理を行うスタッフが多くの現場を掛け持ちして、各現場は外注の手間請大工が半分取り仕切りことになってしまいます。それが悪いとは言いませんが、現場で顧客接点としての機能はほとんど果たせず、契約するまでは熱心にコミュニケーションを取るが、契約後の本来、本番であるはずの工事は最低限の約束さえ果たせればいいと、おざなりになってしまうのは想像に難くありません。建築業の真の顧客接点は現場でのモノづくりであり、工事を終えて引き渡した後の暮らしそのものであるはずが、その部分を担保する人材の育成を殆どのリフォーム会社は行っておられません。

幻のストックビジネス

リフォーム事業はストックビジネスであるべき論は昔から根強く語られています。ストックビジネスとは即ち、接点を持った顧客のLTVを引き受けることによって、年数を重ねるごとに事業は安定するという意味であり、リピート、紹介で売り上げを立てられる状態を作る事を指しています。ストックビジネスのモデルを作るには、初めて工事を行った顧客に満足してもらえるのが大前提であり、その上で長年にわたりフォローを続けて信頼関係を固く築いていくしかありません。やることは至って簡単ですが、出来ていない会社が圧倒的に多いのは、厳しく言っちゃうと、目の前の収益を上げる事に囚われて、未来に目を向けていないからだと言わざるを得ません。

未来への投資なくして未来なし

そして、その未来への投資として最も分かりやすいのが職人の正規雇用と若者の育成です。リフォームの現場で顧客満足を高めるには、担当者が現場に付きっ切りで施工するに越したことはありません。ならば、施工管理も出来る職人を育てるべきですし、私達が若い頃の大工さんは設計から営業、施工管理まで全て普通に行っていましたし、私自身もそうでした。細分化した木工事、内装下地工事だけを安い賃金でやってくれる大工を重宝がるのではなく、経営者と同じ感覚を持って、事業所の理念を理解した棟梁を育てるべきだと思うのです。ただ、長年、言われたことだけ、図面に書かれたことだけをやっていれば良いとの考えで大工として働いてきた者に、顧客の窓口や現場の全体的な段取りをやれと言っても、簡単には出来ません。凝り固まった考えの大工の意識改革を小なうよりも、新卒の大工見習いを雇用して、将来へのキャリアプランを示した上で教育をすべきです。

企業は人なり、建築は現場なり。

大工の正規雇用、大工見習いの採用、OB顧客へのフォロー、どれも目先の売り上げには繋がりませんが、未来を見据えた時、欠かす事が出来ないものばかり。そこに経営資源を投下するか否かはやり方の問題ではなく、在り方だと思っています。確かに、コロナ禍の先行き不透明な今の時代、未来のことどころでは無いと思う気持ちも分からなくはありませんし、私とて10年後の自社の存続に確固たる自信があるわけではありません。しかし、だからと言って、未来から目を背けても良いわけは無く、未来を食いつぶす選択は必ずそのツケを支払う事になるのも自明の理。勇気と決意と覚悟を持って、足元と行く先の両方を支える判断を行うしか無いと思っています。そんなこんなで、F報道部長には一般社団法人職人起業塾が関西で行っている職人育成のための人事制度のWSの内容をお伝えしておきました。リフォーム業界に少しでも、「企業は人なり、建築は現場なり」の原理原則から事業を組み立てる事業所が増えてくれる事を心から願っています。


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