令和2年9月23日曇り
彼岸明け。
秋の大型連休、シルバーウィークの4連休が終わり、世間様も動き出し忙しい日常が戻ってきました。とは言え、私はこの四日間も別に休みを取って遊びに行ったわけでもなく、最近やたら多くのお問い合わせをいただいている新築のお客様との打ち合わせや敷地調査に走り回り、唯一昨日、京都から滋賀へと遠出しましたが、これも着工中の現場確認とお客様へのご挨拶でした。ただ、昨夜の夕食はスタッフとともにお客様に手配いただいた瀬田川沿いの料亭で滋賀ならではの料理とお酒をご馳走になり、楽しい時間を過ごさせていただくとともに、少しだけ休み気分を味わうことができました。H様いつもながら過分なお心遣い、心より感謝いたします。
木造中学校新築工事完了検査
今日の昼からは新築工事中のインターナショナルスクールの建築確認申請の完了検査があり、私も検査立ち会いに現場へと向かいました。当初の契約時に取り決めていた契約工期よりも、ひと月近く短縮して完了検査の日を迎えられた事は、契約時に出来る限り工期短縮に努力します、と言っていた私としても非常に嬉しく、最低限ではなく、最大限クライアントの意向を叶える努力をしてくれた担当の大工の大ちゃんを始めとしたスタッフや関係業者の方々に心から感謝するばかりです。また、多様性と共生をコンセプトに掲げた今回の建築はDIYの工事も多く、学校関係者とともに工事を進め、言葉の壁を越えて良好な関係を築きあげてくれたのには、本当に頭が下がります。中途半端に私が口出しせず、現場担当者を信じて、任せ切ることの重要さを改めて感じさせられました。
大工の定義
我々つむぎ建築舎では、現場代理人、施工管理を社員大工が務めます。今回の学校建築のような大規模な案件になると、毎日10人近くの大工が現場に入り、他の専門業者の職人さんと入り乱れ、全体の工程の段取りをするのさえなかなか大変な上に、言葉があまり通じないアメリカ人のクライアントとの窓口も勤め、日々コミニケーションをとりながら、自分自身でも作業を進めなければなりません。世間一般で言う大工の仕事に比べると、全く違うレベルの仕事量こなしてもらわなければならないのですが、私たちの大工の定義は現場の全責任を一身に引き受け、クライアントの期待値を超える建物を作ることとしています。要するに、大工は決められたことだけをこなす作業員ではなく我々の事業の目的の1つである圧倒的顧客満足をマネージメントするリーダーだとしています。
現場コミュニケーションが全て
私たちものづくり企業である工務店の評価は、現場でしか得ることができません。その結果の良し悪しで、未来に受注する仕事の質と量が決まるわけで、現場担当者に我々の未来を託していると言っても過言ではありません。そして、工事の規模が大きくなればなるほど、着手前に図面やパース、模型などでイメージの共有をしているつもりでも、あやふやな部分が残りがちで、着工した後のコミュニケーション量が顧客満足に大きな影響を与えます。現場叩き上げの私としては、着工後、顧客が持つイメージの確認と、ギャップをどれだけチューニング出来るかが、「これからもずっと御社にお願いします。」と言ってもらえるレベルでの顧客満足を勝ち取れる肝だと思っており、工期、工事品質と共に現場でのコミュニケーションが何よりも重要だと思っています。
マーケティング×マネジメント一体論
そのような現場主義の持論から、社員大工による施工、施工管理にこだわり、長年、大工の育成、意識改革に取り組んで来ておるのですが、その根本は20年前から様々な学びを続けてたどり着いたマーケティングとマネジメントは一体であるべきだとの考え方です。先行き不透明、不安定な時代にこそ原理原則に立ち返るべきだと言われますが、当たり前の思考を繰り返すことで見えたのが、大工に経営者と同じ意識を持ったマネジメント層にまで成長してもらう人事制度(賃金制度・等級制度・評価制度)と教育制度の構築と運用でした。未だに完成したとは言い難いですが、それでも工期の厳しい現場を顧客の期待に応えて納め、着工後の変更のコスト管理までしつつ、学校のフェンスにバナー広告を取り付けても良いと顧客言ってもらう位まで信頼関係を深めてくれている姿を見ると、目的達成へのコミットメントをしてくれていると感じます。
連休中にチカラボに寄稿した記事はこちら→マネジメント改革無くして市場の創造なし。
ものづくり企業の原理原則論
当たり前のことを当たり前に行うことこそが難しい。とよく耳にする言葉ですが、これが真理とするならば、私のような身体が丈夫な他に何の取り柄も無いような職人上がりの経営者でも、難しい理論をこねくり回さなくても事業を行える可能性があるのでは?と一条の光を見出したのは、世界で最も多く読まれたビジネス書と言われる「7つの習慣」を読んだ時でした。そこに書かれている当たり前のことを積み重ねた結果が私にとっては大工の正規雇用であり、作業以外の付加価値を生み出す社員大工の育成であり、現場マネジメントとマーケティングの構築です。私たちが取り組んできた当たり前のロジックを以下に整理してみます。深刻な職人不足解消の足がかりとしていただければ幸いです。
完工なくして売り上げなし。
→高い評価を元にした地域での信頼がなければ受注なし
→建築業は現場でしか評価を得られない。
→図面や仕様書、見積書等で完成イメージの完全な共有は出来ない。
→顧客満足を得るには現場での確認、調整、コミュニケーションが不可欠
→顧客からの評価が職人の評価(報酬)に直結すべき
→顧客と職人に利益の相反があってはならない
→職人は事業所と同じ立場で、顧客と同じ目的を持って工事を行うべき
→最も多く工事の割合を占める大工が社員として顧客に相対するべき
→大工は現場での全ての窓口を受け持てる知識と技術を身につけるべき
→大工が資格取得、施工管理、コスト管理、顧客窓口業務を行えば付加価値を生まれる
→高い付加価値を生む大工は所得を増やすべき
→安定した暮らしを営む職人こそが安定したサービスを提供出来る
→職人が未来に希望を持ち、安定した豊かな暮らしをしていなければ若者の入職は無し
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