若手大工育成の要諦。#職人起業塾の意味

令和2年10月8日 曇りのち晴れ風強し

やってみ、的実習研修

今日は九州、筑後にて。JBN人にやさしい家を考える会主宰の若手大工育成プロジェクトの講師役で若者達と一緒に実習棟の現場で声を張り上げて指導に当たりました。このプロジェクトは若手の大工をはじめとした建築実務者達に座学で要点をレクチャーしながら実際に小さな建物を建てさせると言う贅沢な研修で、簡単な作りの建物ながら、自分達で段取りや役割分担、そしてタイムスケジュールを決めて、主体的に工事を行ってもらっています。聞かれたら作業自体も教えますが、基本は座学で必要な事を伝えたあとは、まーまーほったらかしで、実習棟だから許される失敗も経験してもらう様にしています。

大工の育成方法?

私は創業前の個人事業主当初からかれこれ二十数年、大工の育成を行なってきており、よく内製化に取り組み始めた工務店経営者に「若い大工の育成をどの様にしておられます?」との質問を受けます。多分、殆どの方が、単なるコストになっている坊主の大工見習いに、早く技術を教え込んで稼げる様になって貰いたい、その為にどうすれば良いかを聞かれているのですが、私の答えは技術に限って言えば「現場に放り込んでおけばいい」と言う、教育でも何でもない素っ気ない回答で、皆さん結構ガッカリされた顔をあからさまにされます。(笑)

放り込んどけば(一般的)技術は身につく

昔と違って今は随分と道具が良くなり、また一般的な住宅から和室が無くなり、新建材なる安くて簡単な材料が普及して、階段さえも既製品を使われるようになり、鉋で材料を仕上げるどころか現場で鑿を使って刻むことさえ無くなりました。「取り付け大工」と言う情け無い呼ばれ方をされる事もあるくらいで、そんな現場では、いわゆる、新築現場で使える大工(日当を稼げる程度)になるのには5年もかからない様な内容です。それで良いのなら現場に放り込んでおけば、簡単な仕事から順番にこなしていくだけでそこそこ出来る様になります。経営者は若者が楽しく働ける環境を整えて、3年ほど先行投資の覚悟を持って若手の成長を待って居ればいいのです。

失敗法則の踏襲

しかし、残念ながらそれでは決定的にダメなのが現実で、その結果、今の建築業界は圧倒的な人手不足、若手離れが進行し続けて来ました。今まで通りの若手入職人口の推移が続けば、あと10年で現在、職人業界で人口ピラミッドの頂点を形成している50代、60代のおっさん連中が引退することになり、一気に建築業界から職人は居なくなってしまいます。ちなみに、現在、20歳未満の大工見習いは全国で2000人を切っていると言われており、単純に47都道府県で割ると一つの県で各40人程度、更に市町村の数で割ると1〜2名程度しかいない計算になる上に、これまた離職率も高く歩留まり3分と言われるくらい、若者はこの業界から去っていきます。大袈裟ではなく、絶望的な状況です。

職業選択の自由

若者に見捨てられた業界は破綻します。そうならない為には、若者に入職してもらえる魅力ある職種にする事が我々の喫緊の課題です。そしてその前に今いる若衆が仕事に嫌気が差して辞めるような事がない様にすべきなのは自明の理。当たり前の理論を重ねると、若者に入職してもらうには、若しくは離職を食い止めるには、今活躍している職人が、彼らに憧れられる人にならねばなりません。先輩を見て絶望されては話にならないのです。憲法でも定められている通り、日本国民には職業選択の自由が定められています。若者の目線で見て、他の業種と比べて遜色ないレベルにないと、だれもこの業界に来る事は無いのです。最低限必要なのは、所得の安定、今どき、日給月給で社会保険もないような不安定な職種が人気な訳がありません。ちなみにこれが、私達が(畑違いながら)熱心に人事制度のWSを行う理由です。

人間力を磨く場

そして、最低限の条件整備をしたくらいでどん底に落ち込んでいる不人気業種がV字回復する事もありません。給与や待遇面だけではなく、やりがいや誇り、将来に対する希望や夢を持ってもらわねばならず、上述した様な決められた簡単な作業をこなすだけの「取り付け大工」では、日々の日当を稼ぐところ止まりです。しかも、年齢を重ね、肉体的な労働生産性が落ちたら余計に稼げなくなるばかりか壊れた道具の様にポイ捨てされるのがオチです。よって、大工の育成には作業効率や技術的なスキルよりももっと、広い教育が必要で、単なる現場職能者では無く、工事全体の施工管理や設計、コミュニケーション力を身につけて営業的な側面までこなせる様に教える必要があると思っていますし、私は長年、その部分に注力してきました。要は人間としての力をつけさせる、学びの場を与えるべきなのです。

経営者感覚を持った職人の育成。

その様な教育を受けながら、現場で経験を積んで技術を身につければ、極論、勤めている会社を辞めても、よしんばその会社がなくなったとしても、一生飯が食えるようになります。本人にその意思があれば起業して経営者になることもできるかもわかりません。職人は道具では無く人間であり、その人がそこにいる効果性を最大限発揮できるような教育を与えるべきだと考えています。工務店経営者の中には、余計な事を教えると若衆が独立したいと辞めていく。と作業以外の知識を与えようとしない人が見受けられますが、そんな事を言っているからそもそも人が続かないのではと思うのです。ドラッカー博士が「最終的に誰も経営者の覚悟と責任を引き受ける組織を作らねばならない」と著者に書かれておりますが、起業の支援をするくらいの勢いで社員に向き合う事が、瀕死の建築業界全体を救う唯一無二の在り方だと思うのです。「なるほど、しかしどうやんねん」と突っ込まれた方は私が主宰する一般社団法人職人起業塾にご参加下さい。6カ月コース募集再開しています。(笑)


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