5月4日 快晴
今朝の余震は震度4。
昨日の大荒れの空模様から一転、爽やかな青空が広がりました。雨上がりの澄んだ空気の中、引き続き今日も一日、熊本にて震災後の応急処置の巡回訪問です。
グッドハートの平田社長と共に朝から夕方までみっちりと10件のお宅を訪問してレベルやタチ(鉛直方向の歪み)など建物の危険度のチェック、歪んで開かなくなったドアやサッシを開くように直したり、落ちかけている天井材を仮復旧したり、天井裏に潜ってホゾ抜けの確認をしたり、と一軒ずつの方の気になるところをお聞きして応急的ではありますが、ある程度の安心出来るところまでの対応を心がけて作業に勤しみました。
職人冥利
訪問した先がグッドハート社の顧客という事で元々信頼関係があったとは思いますが、全てのお宅のご家族の方が、作業を終えて車に乗り込むと道端まで出て来て感謝の言葉を口にしながら見送って下さいました。
「熊本の人は皆さん心が温かいねー。」等といいながら、大工として生きてきて良かった。と、熊本に来ての4日間は「職人冥利」の一言に尽きる日々を過ごさせて頂くことが出来ました。
(私の様な長きに渡り現場から離れていた50歳前のオッサン大工に活躍の場を頂けた事に)心から感謝したいと思います。
復旧、復興はまだまだこれからですが、
今回の被災地応援は一旦これで終えて、明日は神戸に戻ります。予定より早くなりましたが、どうやらもう少し落ち着いてから再度お手伝いに来た方が良さそうで、(私では無く、苦笑)精鋭の大工が必要となる本復旧にはもう少し時間がかかりそうです。
雨漏りや倒壊の危険回避、戸締りなどの応急的な対処の後は、被害を受けた箇所をどこまで直すか、同じ被害を受けない様に対策を施すか、耐震性を高める予防まで行うか、などそれぞれの住人の方の判断に拠りますし、その原資の問題もあります。
余震も未だ毎日のようにありますし、ここからは慌てる事無くじっくりと腰を据え、考えて判断されるべきかと思います。
保険会社の迅速な対応。
そんな中、気になったのは、保険会社のこの度の対応について。
少し驚いたのですが、私達が訪問したお宅は殆ど地震保険に加入されておられました。
当然ですが、保険金の支払いを建物の補修費や対策費に充当しようと思われています。
被災された方にとって「いくら保険金がおりるのか?」という事は大きな不安であり、また希望でもあります。
地震発生から半月が経った今、全国から保険の鑑定士が集結して被災地を走り廻られている様でして、迅速な対応は一定の評価に値すると思います。しかし、その人達はそれなりの知識と経験を備えておられると思いますが、建築のプロでは無い人が殆どだと思われ、簡単な検査と見た目で判断を下す事が少なからずあるようなのです。
即断、即決にて被害額確定?!
今日伺ったお宅では、(80歳を過ぎたご老人がお一人でお住まいのお宅)昨日、某保険会社からの依頼で被害鑑定に来られ、短い水平器で床のレベルを見て、家財の被害を簡単にヒアリングをしてその場で一部損壊の判定をして、保険金支払額の決定をし、お婆さんにサインを求めて帰ったとの事でした。全壊の15分の1、半壊の7分の1の査定額です。
お婆さんの「もう、昨日保険会社が来たから、」と言う言葉のニュアンスに少し違和感を感じて、念の為に床のレベルの計測をして見ると、1.5間で3cmも2階の床が二方向に下がっており、明らかに構造材の確認をした方が良い状態でした。
梁が外れている、柱のホゾが抜けているといった問題の可能性も高く、もしそうで無くても床の高さを元に戻すには大掛かりな工事が必要です。2階床梁の組み直しとなると、屋根瓦が落ちて野地板の補修も必要なことを勘案すると、主要構造材の被害が50%とされる全壊の判断基準に相当してもおかしく無い被害状況です。
逆保険金詐欺の危惧。
これは少しおかしいのではないか、という事になり、保険会社に問い合わせてみると、「もうサインを頂いて処理に廻してしまっていたら保険での支払額は決定となりますので、見直しは出来ません」と高飛車かつ横柄な態度。(と、平田社長が怒っていました。)
モチロン、お客様の代わりに電話をされた平田社長が査定の見直しをしてもらうように依頼をされておりましたが、こんな電話にいちいち対応していては、保険支払いの業務が滞って進まないと言うのが正直なところでしょうし、非常時の対応として「もう処理が進んでましたので、」と、保険会社が押し切ることも十分に考えられます。
今サインしてくれたらすぐ払います。って手口。
昨日伺った違うお宅でも、基礎が割れ、擁壁が傾き地盤が陥没したのに引っ張られて床が下がっておりましたが、「床のレベルの歪みが9mm/1000mmないので、一部損壊です。」と保険会社の査定担当者に言われ。「一部損壊でよければ直ぐに保険金をお支払いします。」と目先の不安につけいるように言われたとのことでした。
私達がレーザーをあてて念入りに調べると、9mm/1000mm以上の勾配になっている箇所があった事から、「保険会社に再度の査定をお願いする、」と言われてました。
保険調査員の判定結果に釈然としていなかった事もありますが、公の罹災証明の結果を待って、と思われていた様です。
しかし、非常に残念ですが、(私も知りませんでした!)自治体が発行する罹災証明の判定と、地震保険の査定とは関係がありません。と地震保険の約款には書いている様で、あくまでも保険調査員の判断によって保険金が支払われる事になっている様です。
要は保険会社の担当者によって大きく左右される契約にそもそもなっているというのです。
地震による構造の被害は見た目には分かりません。
大きな地震の被害に遭われて未だに余震が続く中、皆さん不安な夜を過ごされています。
数少ない希望を見いだせる事のひとつに地震保険に入っていて良かった、と思われている方も少なく無いと思いますが、「よくわからんけん、」というお年寄りのところに行って、軽めの被害算定をして即断で合意を求めて保険処理を終わらせる今回の様な保険会社の姿勢が蔓延すると、いざ本復旧の段になって修繕する原資に困る、希望を摘み取る事になりかねません。
全国から集まっておられる損害鑑定人の方々には、金額の事もモチロンですが、地震保険に加入していたことが、被災者の心の救いにもなっている事を十分に考慮して真摯な姿勢で査定、判定に臨んで頂きたいと思うと共に、被災者の方々には、鑑定人により水平器一本の簡単な調査での即決にはサインする事無く、建築のプロに被害の状況を確認してもらう事を強くおススメします。
私がこの4日間お手伝いして来たグッドハート社の平田社長は『良き心』ば持ったよか男ですから、もし、頼りに出来る建築関係の人の心当たりが無かったら一度相談ばしてみて下さい。
熊本を中心とした被災地の皆様が一日も早く以前まであったアタリマエの日常に戻られる事を心から願いつつ、今回の訪熊での作業は一旦終了とさせて頂きます。
熊本の皆さん、そしてグッドハートの平田社長とスタッフの皆さん、ありがとうございました。
おまけ、
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