『この世界の片隅に』に思ふ本当のこと。

1月28日 快晴

引き続き大阪から。

朝から顧問社会労務士、川西先生の事務所にて社内整備の打ち合わせ、今期から大きく変わった賃金規定に合わせて就業規則や人事考課制度の整備を続けています。元々は日給月給の外注扱いだった大工を10年前に正規雇用に切り替える大きな転換を行いましたが、今回は大工、設計共に管理職手当、業務手当の支給を付加してある程度の裁量を渡し、時間だけではなく業績で給与を支給する、簡単にいうと(成果は上げなければなりませんが)残業してもしなくても給与が変わらない裁量労働制を導入しました。

スタッフに安心して働ける環境を提供したいという私の想いを具現化する取り組みは、捉え方によってはサボったもん勝ちの側面も内包しているとも言えなくはありません。社内にそんな人はいないという大前提に立って制度改革を進めておりますが、成果を上げるための仕組みを同時に整える必要があります。今日は部門ごとに目標を達成できる様に、スタッフと一緒に目標設定、検証、改善へのスキーム作りを川西先生のアドバイスを頂きながら進めました。信頼関係をベースにした正のスパイラルが大きな螺旋を描いてくれることを目指し、願ってます。

 

知らない世界。

昼からは京都へ。木屋町にある立誠シネマプロジェクトで「この世界の片隅に」の上映会と片渕須直監督のトークイベントが開催されることをfacebookで見つけ、ちょうどまだ「君の名は」での感動を引きずっており、アニメ映画への認識を新たにしたところだったので(尊敬する新潟の同業の経営者さんが絶賛していたこともあり、これ→「この世界の片隅に」を見た!)これは見逃せないと昼からお休みを頂いて向かいました。


しかし、なんと!上映の1時間前に到着したにも拘らず、映画のチケットは立ち見まで全て売り切れ、当然、トークイベントにも参加できずに、楽しみにしていたノスタルジックな古い小学校の旧校舎での映画鑑賞は断念しました。スタッフさんに聞くところによると、チケットの販売と同時に長蛇の列ができて、一瞬にしてチケットは全て売り切れたらしく、アニメ映画の人気ぶり、トークイベントに興味がある人がこんなに多いとは夢にも思いませんでした。(この歳になって)全く初めての体験だったのですが、知らない世界ってまだまだたくさんあるものです。。

 

100年先まで愛される名作

しかし、このまま引き下がっては男が廃る?と、気を取り直して同じタイトルを上映している近くの映画館を探して、京都に来る意味は全くありませんでしたが、しっかりとお目当の「この世界の片隅に」を見ることはなんとか叶いました。思った通り、非常に素晴らしい映画だったので、強くオススメする意味も含めて以下に映画の感想を書いておきたいと思います。

上述のこの映画を「100年先まで愛される名作」と絶賛されていた新潟のカリスマ社長のブログによると、「ほんわか明るい火垂るの墓」との評でしたが、実際観てみると確かに戦争の悲惨さ愚かさを伝えながらも凄惨な描写は殆ど使うことなく、(空襲の激しさを防空壕で怯えている姿など)どこか明るさを残しつつ、時代の激流に押し流されながらこの世界の片隅でひっそりと生きることの無力さ、不安、憤りと同時にささやかな幸せの存在を終始明るめのタッチで描写されていました。

 

「この世界の片隅に」

太平洋戦争終盤の呉、広島が舞台で激しい空襲、そして無条件降伏を受け入れるきっかけと言われている原爆投下など厳しい背景にも拘らず終始ユーモアを切らさないストーリー展開は涙腺崩壊、ハンカチが手放せない、号泣必至、という類の泣かせられる映画ではありませんでしたが、その分じわじわとくるというか、じっくりと考えさせられる作品に仕上がっている様に感じました。

私の場合、一番胸に残っているのは、主人公すずが投げかけた「よかった」に対する疑問です。戦時中という非日常の極みの中で、悲しい出来事と狂気が蔓延し、普通の人々の感覚もとめどなく麻痺していく中で、未来への一縷の希望なのか、起こってしまったどうしようもないことへの諦めなのか、怒涛の様に迫って来る厳しい現実に対して不幸中の幸いという意味の「よかった」という言葉を口にすることに対して「よくない」と主人公のすずが慟哭する場面は普通の感覚、時代の波に流されず、本来あるべき感覚や感情、思考を持つことの難しさと共に、重要さを示唆している様に受け取りました。

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軽い狂気の世界。

アメリカ大統領に保護主義を明確に打ち出しているトランプ氏が当選し、ヨーロッパではイギリスがEUを離脱、日本では紙幣を刷りまくり、株式、国債購入による資金供給量(マネタリーベース)拡大に比重を置く「リフレ派」が台頭して、未来のことはさておき、とにかく今をなんとか良くしようという現実主義が世界を席巻しています。

自国だけが良ければいいというアメリカの保護主義が世界に蔓延すると、戦争の引き金になるのはごく自然な流れでしょうし、国境を越えて平和を求める理想を捨てたEUは第二次世界大戦前の血塗られた歴史をもう一度繰り返そうとしています。国家100年の計を立てずに、赤字国債を発行し続けてもなんら根本的な問題解決にはなり得ず破綻するのは目に見えているのに、誰も止めることが出来ずにいる現代もひょっとすると軽い狂気の渦の中に入っているのかもしれません。

「何にも良くない。」右手を爆撃で吹き飛ばされ、大好きな絵が書けなくなったすずが呟いた言葉は間違い無く真理であり、時流に流されることなく、その声を上げる『普通の感覚』を持ち続けるためには一体どうすればいいのか、また、持ち続けられとして、どの様に声をあげれば破綻への転落を止めることができるのか、と、私たちが置かれているぬるくもヤバイ状況への危機感を見直すべきだと改めて感じた次第です。

 

 

原作をのぞいて見た。

本編が終わってエンドロールの中に、本編の中では登場しなかったコマ割りがいくつか写し出され、隠れたエピソード的に用いられておりました。そういえば!と、先日見に行った映画「海賊と呼ばれた男」で原作を読んでから映画で感動を再度味わうのが正解だと実感していたことを思い出して早速原作をウェブ上で立ち読みしてみたところ、当たり前ですが映画のストーリーをもっと細かなエピソードを織り交ぜて丁寧に描写しておりました。これは読まればなるまいと、早速購入してみました。今回は映画が先、原作が後でもう一度感動を味わってみたいと思います。
立ち見はこれ→http://dre-fp-pc8.papy.co.jp/sc/view_jsimg2/sample/9-905372-84/FIX001/index.view

読み終えたらすみれ本社のすみれ文庫の蔵書として本棚に並べておきますので、逆パターンを試したい方は貸し出しを受けて先に原作を読んでみてください。(笑)

とにかく、強くオススメします!

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