平成30年10月13日晴れ
お天道様の恵みに気づく季節。
秋らしい爽やかな日が続きます。だんだんと朝夕が涼しいくなり、と言うより寒いに近づいてきて、季節の移ろいを肌で感じるようになりました。我が家のアイドル猫のニャロは(私のベッドでは無いですが)布団に潜り込んで眠るようになり、朝起き出してくると朝日が当たる窓際の陽の当たる場所を陣取って毛づくろい。そんなに寒いかー、とツッコミを入れておきましたが、寒くなるほどお天道様のありがたさを見に染みて感じるものです、そんな季節になってきました。
出張前の分刻みのスケジュール。
今日は朝から築50年ほど経つ和風住宅のエクステリア工事のご提案に行って、他社さんが提案されたピカピカのカーポートを設置する提案から(地味な)鉄平石と洗い出し土間と孟宗竹の生垣を作る和風の駐車場の新設の提案を持っていて、住宅、暮らし方に沿った佇まいのあるエクステリアの案に大筋の合意をいただいけるという幸先の良いスタートから、新築の打ち合わせ、RC造のリノベーションの打ち合わせ、マーケティング部のミーティング、夜も店舗グループと工務部リーダーによるミーティングと来週からも出張が続く事もあり、パンパンに予定が詰まっておりましたが、精力的に建築実務に勤しみました。忙しいのは本当にありがたいことです。
心の汚れを洗い流す時間
そんな慌ただしい日常を送り、やもすれば仕事漬けの毎日になりがちな日々の暮らしの中で心を落ち着かせ、心の疲れをリセットする時間と言えばやはり毎晩の読書の習慣です。ここ数年はすっかり「為になるビジネス書」の類を読むのはやめて、もっぱら小説ばかりを読み進めておりまして、特に高橋克彦さんの陸奥を舞台にした歴史小説にどっぷりとつかり込んでおりましたが、最近はまた昔から大ファンである司馬遼太郎の「義経」をはじめとして幅広いジャンルの読書を楽しんでいます。「義経」は日本人なら誰もが知っているであろう源義経の英雄伝説と、兄である源頼朝に追われ、非業の最期を遂げた物語で、栄華を極めた平家の栄光必衰の理を表した平家物語と共にその名はあまりにも有名ですが、英雄の一生を事細かに書く司馬遼太郎で復習して見ました。
木を見て森を知る。
源義経が平家を打ち滅ぼした戦歴の発端となった一ノ谷の合戦場は神戸にあり、ちなみに須磨寺には(司馬遼太郎曰く)日本で初めて騎馬による奇襲戦法と言う戦略を用いて大きな勝利を収めた様が詳しく展示されています。私にすれば、現在のランニングコースでもある地元の須磨の海岸が日本の歴史を大きく転換させた場所と言うこともあり、以前から非常に興味を持っておりましたが、おおまかな知識だけで稀代の英雄である源義経の生涯について、それ程詳しくは知りませんでした。少し前に高橋克彦さんの「風の陣」を読んで奥州藤原氏と源義経との深い関係を知り、再び興味をそそられてこの度、司馬遼太郎の小説を手に取ってみた次第です。まるで数珠つなぎのように興味の対象が広がって、これまで大まかにしか知らなかった歴史を事細やかに知ることで、現代に脈々とつながる奈良時代から近代までの歴史の流れを俯瞰して見れるようになるのは非常に面白く勉強になることも少なくありません。
結果ではなく原因を知る。
小説「義経」については、父である源義朝が平家に敗れ、罪人の子となり鞍馬山に押し込まれ、不遇の少年期を過ごした後、奥州に身を寄せて陸奥の王として君臨していた藤原秀衡に息子のように愛されながら鍛錬し、源頼朝の挙兵とともに奥州を飛び出して鎌倉軍に参戦し、鎌倉に居座る頼朝に代わって京に上って木曽義仲を討ち取り、そのまま平家に向かって軍を進めて一ノ谷の合戦を皮切りに平家に対して連戦連勝の日本の有史始まって以来の武将として大きな戦績を上げて一躍時の人となるも、兄である頼朝に疎んじられ最後は奥州平泉に戻って自害する。と言うおおまか誰もが知っているストーリーのままですが、なぜそのような数奇な運命を辿ることになったかを司馬遼太郎はいつもの調子で義経の人となりや心のひだの機微を表現しており、(あくまで小説ですが)歴史に名を残した源義経の人生の詳細を知ることになりました。学校の歴史の授業では大きな戦功を挙げた義経がなぜ頼朝に討たれなければならなかったかまで教わっていなかった様に思います。
戦いの歴史を俯瞰する。
日本の歴史上初めて騎馬隊による奇襲の策を立て、それを実行し、圧倒的な勢力を誇っていた平家を滅亡に追いやった源義経は、それまでの武将と全く違う思考回路を持っていたと小説には書かれていましたが、義経が身を寄せていた陸奥、奥州では源氏の中興の祖である八幡太郎義家よりも遥か前の坂上田村麻呂が初めての征夷大将軍に任命された時代から騎馬隊による戦略を立てて朝廷からの侵略?を繰り返し追い返していたと高橋克彦の「火怨」を読むと書かれています。義経が一ノ谷の合戦で使った奇襲が圧倒的な栄華を誇っていた平家を打ち破って鎌倉幕府を生み、その後、戦国時代になってからは、義経の戦略を学んだ織田信長が桶狭間の戦いで上洛を目指していた大軍の今川軍を打ち破って天下統一を果たす糸口にしたことを考えれば、日本の歴史に大きな影響を与えたのは、蝦夷と言われ、中央政権と隔絶した文化圏を持っており、優れた馬の産地であった東北地方にその源流を見いだすことができるのではないかと思った次第です。
ありが巨像を倒す方法を知る。
陸奥の国の阿弖流為、源義経、そして織田信長と歴史と時代を大きく変えた英傑たちが私たちに残してくれたものは、圧倒的に力で劣っている弱者でも策を立て敵が考えもしないことを行えば到底叶う事がない様な強大な敵をも倒すことができる。と言う弱者にとっては非常に大きな勇気をもらえる示唆ではないかと思います。繰り返し、様々な偉業を成し遂げた先達の物語を読み、その人生を疑似体験もしくは間接体験することによって脆弱にすぎるスモールビジネスに取り組む自分たちの考え方を変え、策を巡らし、深く読み切った思考に沿った行動を行うことで勝てるわけがない強大な敵に立ち向かえるのではないかと妄想を膨らましてしまいます。歴史小説を読むと言うのは、空想の世界に遊ぶだけでなく、英雄達の人生を間接体験すること自分のセルフイメージを上げる、もしくは書き換えることにつながると思っていて、このセルフイメージの書き換えこそが「俺はもっとできる」「俺はこんなもんじゃない」とモチベーションを高め行動に移す原動力になると実体験を通して感じています。これから、ちょうどいい季節、秋の夜長にセルフイメージの書き換えに精を出したいと思います。(笑)
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