平成30年12月24日快晴
昭和世代の働き方。
世間的には三連休の最終日のクリスマスイブ。イベント事の多そうな、いかにも楽しそうな印象を持つ響きですが、建築業に旗日なし店の若い時に親方に教わった教えの通り、私はもちろん通常営業ですし、どちらかと言うといつもより早く出社して年末恒例の社員との個人面談を早朝から行い、そのままお客様先で打ち合わせ2件、帰ってきてからも個人面談マラソンの続きといつもより忙しい位の勢いで働いてます。昭和世代の中小企業経営者に働き方改革は関係ないですね、(苦笑)
日曜日のお楽しみ。
昨日の日曜日は毎週楽しみにしていた「下町ロケット」の最終回、先週の「西郷どん」の終了とともに、唯一テレビを見る楽しみが終わってしまったのは少し残念ではありましたが、池井戸淳さんのいつもながら爽やかな結末に明るい気持ちになって眠りにつくことができてよかったです。中小企業が絶対に勝ち目はなさそうな大企業に立ち向かい、問題解決を繰り返しながら絶体絶命のピンチをなんとかしのぎ、未来に希望を抱く様は、私たち中小零細企業の経営者にとっては本当に勇気づけられる物語であり、またものづくりの本質に真っ正面から向き合う姿を見ては、スタッフとともに思いを1つにして精魂込めて仕事用に向き合わねばならないと襟を正さずにはいられません。たかだかテレビドラマとは言え、受け取り方は人それぞれ、今回の放映も多くの示唆を頂くことができて感謝しています。
報酬は役割なり
話は変わって、私が年に2回の個人面談の際に最も重要視しているのは役割の確認とそれに沿った目標設定、検証です。昨年大ベストセラーとなった「サピエンス全史」の中に、「人類の最も大きな発明は「役割」である。」と書かれていましたが、私も以前から個人面談の際の事前アンケートや社内研修でも「役割」について繰り返し言及しており、まずは自分自身の役割に向き合い、全うすること。また、現状での役割が果たせるようになれば、次の段階に進み新たな役割を自らに課すことを強く推奨しています。報酬とは役割とその責任によって与えられるものであり、役割を広げれば当然手にする見返りも大きくなって然るべしですし、逆に役割を縮めれば与えられる報酬は少なくならねばならないと思っています。
すみれの大工のキャリアパス
これは技術職や営業職との職種にかかわらず、どのような立ち位置で働いていても、経験を積み重ねキャリアを積みあげていく中で徐々に経営者の立場、役割に近づいていくのは同じことだと思っていて、キャリアパスとは経営陣に近づいていくためのマイルストーンといっても過言ではありません。すみれの社員大工の人事考課のステップでは、新入社員はジュニア層と言われる見習いで、上司から言われたことをできるようになることでランクが上がっていきます。次はスペシャリスト層で、いわゆる職人として専門的な技術を習得する段階、その上はリーダー層で現場を担当し施工管理やお客様の窓口、また工程を組み立てたり、協力業者さんの手配、段取り、また顧客の要望を聞いて見積もりを作成するなど、営業的な側面もこなして貰います。現場、お客様担当が出来る様になった大工達をまとめる立場になるとマネジメント層へと昇格し、現場以外にも社内でのマーケティングアクションの取り組み、事業計画への進捗管理など、経営にも携わってもらう様になります。ちなみに、リーダー層から給与体系も裁量労働制へと移行して、大きな裁量を持って働いてもらえる様にしています。
大工が尻尾を巻いて逃げる工務店。
元々、営業や経営の事など学んだ事も、興味も無い大工が、年数を積み重ねるに従って、技術だけではなく、施工管理や顧客とのコミュニケーションの役割を担う様になるのは結構高いハードルがあり、中途採用で就職志望で面接に来られる大工さんは上述の業務内容である「すみれでの大工の役割」を私から説明を聞くと、「そんな面倒な事をやるのはとんでも無い!できません。」と尻尾を巻いて自ら就職を辞退されます。面接に応募に来られる大工さんはほとんどがハウスメーカーやパワービルダーの下請けをされており、全く何の保証もなく、単価も絞られて苦しい生活を余儀なくされています。そんな暮らしを抜け出そうと、安定して収入が得られる社員大工になろうと考えて面接に来られますが、私達が考える大工の「役割」は到底自分にはできそうにもないと思われるようです。
意識を変えて行動を変えて役割を変える。
私に言わせれば、1人親方で手間請として大工をしていれば、経営者の端くれであり、現場作業以外のことも積極的にできて当たり前だと思いますが、分業化が進み下請け大工として決められた作業のみをする職人が増えたのか、新たな役割を自分から進んで受け入れ、そこから自分の未来を切り開こうとする職人はほとんどいないのが現実です。私は創業時から事業所のミッションを「職人の社会的地位の向上」と掲げておりますが、今まで通りの役割しかこなさない職人が高額の社会保険や厚生年金の恩恵に預かり、天候に左右されないのはもとより、体力が衰えてくる年齢になっても安定した収入を得られるようにするには、意識を変えて行動を変えて、自分の役割を広げていかねばならないと考えています。
役割は人類最大の発明。
マーケティングの世界では、業界の問題を解決することができればビジネスとして成功することができる。と言われますが、それはすなわち、業界に貢献する役割を担うことであり、人類最大の発見と言われる役割の力を使うことで、大きなビジネスチャンスがあることを示唆しています。私としては、職人に新たな役割を自ら進んで引き受けるようなマインドセットを伝えたり、その役割を全うできるようなサポートをする役割を担うことで事業所のミッションを叶え、今までいないビジネスモデルを構築できるのではないかと考えています。役割には義務と責任がつきまといます。それを面倒だ、邪魔くさい、しんどいと感じるか、成長のための大きなチャンスだと捉えるかはその人次第ではありますが、役割と報酬は一体であると言う事を深く認識して、今回のスタッフとの個人面談でも応援と激励の気持ちを込めて繰り返し訴え続けていく所存です。スタッフのメンバーには、頼まれごとは試されごと、やってくれるか?と問われたら返事はハイ!かイエス!か喜んで!の精神で前向きに取り組んでもらえることを心から願ってます。(笑)
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