令和の初めに読むべき1冊 〜法令遵守が日本を滅ぼす〜

令和元年5月2日快晴

祝!令和。

平成の終わりから令和のスタートにかけて関西の空を覆っていた分厚い雲はようやく東のほうに立ち去って、今日は朝から気持ちの良い五月晴れの空が広がりました。巷では昨日の改元の瞬間を機に「平成最後の〜」から「零和初めての〜」に人々の興味は移ったようで、SNSを覗いてみてもそんなおめでたい投稿が花盛り。元来おめでたいというかミーハーの私もそれに乗っかって、昨日は令和一発目のゴルフコンペ、今朝は令和一発目のランニングに出かけ、ランチも令和一発目のラーメンを食べに行きました。あーおめでたい。(笑)

沈思黙考の1時間。

来週1度の習慣である10キロ程度のランニングは基本的に日曜日で、週の真ん中に走る事はほとんどありませんが、先週の日曜日が出張で早朝からの移動が続いて走れなかったこともあり、ゴールデンウィーク真っ最中で日中の予定が入っていないのをこれ幸と最高に爽やかな天気の下、大蔵海岸からの海沿いののお気に入りのコースを走ってきました。私にとって週に1度のランニングは健康の状態管理の面で非常に重要な意味合いを持っていますが、同時になかなか外部からの情報をシャットアウトしてオフラインの状態で考えに耽る時間を持てないを解消する意味もある貴重な沈思黙考の時間でもあります。

お祝いムード一色。

1時間程度、周りの風景を眺めながら物思いに耽りつつ、大蔵海岸から垂水までの往復で10キロ少しのランニングは明石海峡大橋ときれいな砂浜を見ながら走れるお気に入りのコースで今日のような天気の良い日は最高です。私はいつも走りながらコース内にある社寺仏閣には足を止めてお参りする様にしていて、もちろん今日も3つの神社にお参りしながらのランニングでした。いつもと少し違うのは海神社や舞妓六神社の鳥居の周りに改元と天皇陛下即位を祝う万歳の幟が立ち並び、手水舎には花が浮かべられるなどいつになく華やかに飾られてありお祝いムード一色となっていました。五月晴れの空と相まってなんとなく晴れやかな気分でいい汗をかくことができました。

世の中はすべからず表裏一体。

昨日のブログにも書きましたが、新しい令和の時代は令を大切にすべしとの示唆を与えられていると思っていて、辞書(漢字ぺディア)を紐解くとその意味を①いいつける。命じる。いいつけ。「令状」「命令」 ②のり。きまり。おきて。「訓令」「法令」 ③おさ。長官。「県令」 ④よい。りっぱな。と書かれています。走りながら想いを巡らせると、普段は深く考えない様な事も深掘りしたりするもので、思い出したのはずいぶん前に読んだ「法令遵守が日本を滅ぼす」という書籍です。「令を守り和を尊ぶ」のがこれからの時代を生き抜くヒントでは無いかとは思っておりますが、世の中は決して単純な構造にはなっておらず、複雑さを加速させています。すべからず表裏一体であると考えるのであれば、令を守ることに囚われ過ぎるのもまた危険性をはらむと思うのです。

法令遵守が日本を滅ぼす 法令遵守が日本を滅ぼす

法令遵守が日本を滅ぼす。

この本の著者である郷原 信郎氏は元検事で、コンプライアンス関係の書籍を数多く上梓されています。私は「法令遵守が日本を滅ぼす」以外は確か1冊程度しか読了していないと思うのですが、この本は非常に印象に残っている1冊で、最近とみに増えている不正や偽装が露呈する事件を目にする度にこの本に書いてあった「表面的な法令遵守は思考を停止させ、本質を見誤らさせる」という一文を思い出すのです。無論、法令を遵守しなくてもいい訳はありませんが、法だけ守れば良いんだと硬直的に考えるのは危険です。横断歩道を青信号で渡るという法に縛られて、何の迷いもなく信号が赤から青に変わって歩き出して信号無視の車に跳ねられる人が、信号無視して横断歩道を渡っていて事故に遭う歩行者よりも多いとの統計を聞くと、本質的に重要な自分の身を守るという意識を消し去ってしまう法の脆弱さを感じずにはいられません。

日本は法治国家にはなれていない。

私は、15年前から日給月給の外注扱いだった大工を正社員、正規雇用に切り替えて、未だに珍しい職人雇用の労働基準法への完全適合への取り組みを行ってきました。本来なら費用をかけて当たり前の社会保険等の従業員への福利厚生費は建築業界ではうやむやにするのが暗黙の合意の様になっており、国民保険、年金しかかけないで老後を迎えるのと、社会保険、厚生年金を40年間続けてのそれとの違いさえ口を閉ざしている現状があります。そもそも、法令は実際と全く乖離している現実が少なからずあり、建築業だけに関わらずコンプライアンス違反だらけが常態化しています。そういう私が聖人君主の様に正しい事ばかり行ってきたかと言うとそんなことはなく、自分でも気づいていないうちにパワハラ発言を(しょっちゅう?)行っていたり、複雑で実態とかけ離れている建築基準法の完全遵守を出来ていなかった事実に気付き、昔建てた物件の再チェックをしたりしており、正直頼りないものです。(涙)

古典に学ぶ。

令を尊ぶこれからの時代、カタチだけのコンプライアンスと表面を取り繕う法令遵守が蔓延する中、法令を守っていると言うだけの思考停止を回避するべきだと思います。私は労働基準法を遵守してきた、と言ってもこの15年間、法に定められた有給休暇を社員全員が消化したかと言うと、そんなわけはなく、厳しい業績の時に社員が全員、法律に則って有給を取得していたら、今まで事業は続いていなかったと思います。まさに、法令遵守が日本を滅ぼすパターンです。では、どうすれば良いのか?と考えた時、この度即位された天皇陛下の若き時代の語録に、「天皇になり(象徴として)日本国を統べ治めるには古典に学びたいと思う」と紹介されていたのが思い浮かびました。
単純に「法律で決まっているから良いんだよ」とか「法律には書いてないから良いんだ」と言った浅い思考ではなく、本質的な価値観と判断基準を自分自身で持てる学びをするべきなのだと思った次第です。。


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