なんのために職人会社を?

JUGEMテーマ:日記・一般 

暖かな春らしい日が続きます。
今朝も早くから現場へ、
国がこれからの住宅の基準として打ち出した『ゼロエネルギー推進化住宅』※1の認定モデルでもあり、神戸市で2棟目となる『オールアース住宅』※2の着工を控えて、地耐力の調査です。
※1、住宅のエネルギー損失を数値化して対比し太陽光発電等の自然エネルギーを利用することで住宅が消費する1次エネルギーを概ね0になると国が認めた住宅。
※2、建物内の電磁波による人体への負荷を軽減した北欧諸国の法的基準値に適合する住宅。
スエーデン式サウンディング調査という、地面にロッドを叩き込んでその抵抗値で地盤の強度を計るという低層住宅では最も一般的に使われるようになった調査方法です。
うららかな春の陽のした、とても順調に調査は進み、
「まあ、しっかりした地盤ですね、」
と調査員の方はさらっと言い残して、サクサクと機材を片付けて次の現場へと去って行かれました。
順調に事が進むというのはとても気持ちがいいモノですね。(笑)
思ったより早く地盤調査が終わったという事で、私もとっとと現場を後にして事務所に帰ってデスクワークに集中。
と、言いたいところですが、事務所にいればいたで、何故かひっきりなしに来客があるもので、結局一日中、人と会い、話しっぱなしの一日となりました。
ま、普段あまり事務所に居ないということのツケなのでしょう、、(苦笑)
忙しい中ご来社頂きました皆様には感謝申し上げます。
ありがとうございました。
中でも、昼からわざわざ千葉から、(では無くて新規に立ち上げられた大阪営業所からでしたね、)神戸の端っこの片田舎までお越しになった千葉の職人会社の若き雄、ユーマペイントの佐々木社長と、ボディーガード風(笑)の末光さんとは、職人会社のこれからの在り方について、陽が落ちかけるまで延々と語り合いました。
職人上がりのこの若き社長はご自身の経験から直工(直接施工)による高品質の工事に拘り、職人を正規雇用する施工会社としてグングンと業績を伸ばしておられます。
非常に優秀な方なのですが、そんな方がわざわざ神戸の私のところまで遊びに来てくれたのは、職人会社としてのこれからを見据えてのことだった様です。
『直工』と彼の口からしきりに飛び出していた工事の内製化を目指す会社にはどこもが内包するジレンマがあります。
そのジレンマとは、『工事品質』と『利益』と『将来』の整合性だと私は思っていて、シクミだけでは決して解決しない難しい問題がその根底にどっかりと根を下ろしています。
工事の品質と利益だけの整合を取るのはそんなに難しいことではありません、それだけが出来ればいいのであれば、そもそも『直工』などというシステムを導入する必要などないと考えます。
では、何の為に職人を正規雇用して『直工』のシステムをしなければならないのか?
その答えは会社の最大の目標は存続することであり、それは将来を見据えることにあると思うのです。
将来という抽象的な言葉で非常に判りにくいですが、ここでの定義は、
会社の将来であり、
職人の将来であり、
顧客の将来であり、
建築業界の将来であり、
(勉強があまり得意でない)子供達の将来であり、
ついでに大きく言ってしまうと、地域社会の将来でもあります。
高度成長期に行われた国土改造計画の時代からバブル期を過ぎるまで、建設業界は大きく伸び続けました。
そこで働く職人も需要の拡大によって社会的保障はなかったにしろ、それはそれでしっかりと稼げる職種であり、学歴社会に適合出来ない者も体力があり、技能を身につければそれなりに人並みの暮らしをすることが出来ました。
私たちの子供の頃は、大工さん=羽振りがいい、というような印象が確かにありました。
バブルが弾け、失われた20年といわれるようになったその後の日本では公共、民間問わず急激に建設業界の需要が冷え込み、膨れ上がった供給側の末端である職人の単価はみるみる下がって行きました。
そして、少子高齢化という構造的不況にさらされている今、新しく家や建物を建てるというパイは縮小の一途をたどっています。
その代わりにリフォーム、リノベーションという違う分野で新しい需要も生まれたりもしたのですが、需要と供給のバランスを整えるまでには至らなかったというのが現場にいるものとしての実感です。
要するに、職人では、まともに生活が出来なくなったのです。
その結果が、こちら、
少し前の時事公論(か、NHKスペシャル)でやってました。
職人全体の数はピーク時の7割に減り、その30%以上が55歳を超えているというのが現状です。
10年後、そんなに遠くない将来ですが、その1/3の職人が引退した時、もしくは身体が今のように動かなくなった時に一体どうなるのか?
地域社会において、地域に根を張って活動をしている建築会社、リフォーム会社というのはある意味においてはインフラ企業であると思ってい
ます。

地震や台風等の災害が起こったときの応急処置や修繕はモチロンですが、人間にとって一番身近な『家』という環境を人生のステージの変化に合わせてリフォームしたり、メンテナンスしたりすることは地域社会にとってとても重要なことでそんな細かなことを全国展開している大企業がやり切ることは出来ないと思っています。
そして、そのインフラを担う会社が営業マンしかいない営業会社だったとしたら、これから一層少子高齢化が進む日本において顧客のニーズに応えるのは難しくなって行くと思います。
そんな『将来』の不安を払拭するには、今、ここにいる職人を守り、そして次世代を担う人財を育成して行かなければならないという事だと思うのです。
その為にはひとり一人の職人の将来を明るいものとしなければなりません。
若者にも「職人っていいね、」と思ってもらわないといけないのです。
今の職人社会では、殆どの人が(サラリーマンに比べて)社会的な保障を受けていません。
国民保険と国民年金には加入していても、病気や仕事以外で事故にあった時には全くの無収入になってしまいます。
その家族が安心して暮らせるかというと、疑問を持たずにはおられないのが現状です。
まともな家を建てる職人がまともな生活をしている。というごく自然な姿になるべきだと思うのですが、現在あたりまえになってしまっている社会保障が無い状態から、しっかりとした労働条件を整えるようにするには大きくコストが掛かります。
しかし、この問題を解決しない限り、高い品質のモノづくりを(一時的なものではなく)長きに渡って継続して行くことは出来ないと思っています。
そして、そのコストの引き受け手が誰か?というのが『直工』会社のジレンマの根源でもあります。
今の建築業界は底まで下がり切ったデフレ価格がマーケットの基準値になっており、
そのコストを顧客に転嫁してしまうと、顧客に取ってはデメリットでしかなくなります。
また、会社でそのコストを吸収しようとすると経営は苦しくなるばかりです。
業界全体を巻き込んだ職人の雇用体制を根本的に変えるべきだというこの取り組みは結局、職人が変わり、働き方を大きく変えながら自助努力を繰り返してコストを吸収するしかないと思うのです。
こんな理屈をしっかりと理解してくれる職人達が集まって初めて『直工会社のビジネスモデル』は実現するのではないでしょうか。
それはやはりシクミではなく、なんのためにやるのか?という問いに対する答えである、『想いの共有』をしっかりとやり切るしか具現化することは出来ないと考えています。
「ま、めっちゃ時間は掛かるけどね、、」
と、私が思う職人会社論を散々ぶったあと、
「実は私も未だ試行錯誤の真っ只中なんです、」と正直に締めくくっておきました。(笑)
帰りの車の中で
「陽が昇るまでやりますし、」
とつぶやいていた佐々木社長、
長い時間ありがとうございました。
業界の若手社長の勢いを感じてとても良い刺激を頂くことが出来ました。
これからも何のために?
をしっかり目的をみつめながら、がんばっていこ。
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全ての人に快適な住環境を提供したい! 私たちすみれ建築工房は
『建築業を通して地域社会に貢献する』
を理念に掲げ、



3.21日完工システムでこだわりの繁盛店を作る店舗デザイン施工。

を神戸の西の果てで誠心誠意の自社設計・施工で行っています。

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