『桧一本、首一つ』への考察。

JUGEMテーマ:日記・一般
今日も夏らしい良い朝を迎えた神戸でした。
朝から相変わらずバタバタして、いつもの朝のルーティンを済ませたのは早かった割には朝食も摂り損ねて、朝から現場に行ったりして(久しぶりに参加するはずの)朝礼にも参加出来ませんでした。
ま、そこは誰も期待も要望もしていないのですが、、(笑)
昼からは京都へ、
8月から着工予定の店舗改装の現場へと最終のプランの確認とご契約。
(またしても京都市営バスで迷ってしまいまして、遅刻してしまいましたが、)気持よくご契約の運びとなりました。
A様、9月の気持ちよくオープンして頂けるようにスタッフ共々誠意を込めて施工に当たらせて頂きます。引き続き宜しくお願い致します。
さて、お題目は先日、研修旅行で裏木曽の木曽桧備林に行って来た時の振り返りです。

ちなみに、備林とは伊勢神宮や姫路城など、国の宝とされる伝統的建築物を建て直したり、改修する時の為に材となる桧を育て、備える林という意味で、天然の桧の大木をこの度の伊勢神宮の式年遷宮でも拠出したとのことで、今は林野庁の管轄となり一般の車両は立ち入ることが出来ない山のことです。

今まで住宅に使う木材を産地の山に見に行く機会は何度もありましたが、全て人工的に植樹されたそれであり、自然の姿そのままの木材産地には行く機会はありませんでした。

というよりも天然林での伐採で材木を取り出すこと自体が今では殆どなく、自然の山から天然の桧を取り出すことがそもそも奇跡的なことのように思います。

そして、その姿には驚きを通し越して感動を覚えてしまいました。

自然の姿と言っても江戸時代には一時、この山の桧は城郭や神社仏閣の普請の為に伐り尽くされたといい、時の権力者であった徳川氏が良質の木材を持続的に供給出来るように天領として一切の伐採を禁じて大事に守ったきたとのことです。

桧一本、首一つ。

当時の尾張藩は留山という制度を敷き、桧を一本切り倒下だけで斬首に処すほど厳しい伐採規制を行なったとのことですが、濃州三カ村と呼ばれた森林資源を糧に生業を立ていた村人に大きな負担を与えると共に、人が入らない山は荒れて行った(悪政だった)と、文献には残っている様です。

しかし、木曽の五木と言われるヒノキ、アスナロ、サワラ、コウヤマキ、ネズコを伐採を禁止した上に、さらにクリ、マツ、カラマツ、ケヤキ、トチ、カツラまでも伐採禁止に指定した、尾張藩の厳格な施策、持続可能な森林資源の回復を狙う天然更新法が後の「六十六年一周之仕法」と呼ばれた伐採計画となり、現在の美林を残す礎となった様です。


本気で末代まで残すなら、そこまでしないと残らないということなのでしょう。


戦後、全国に広がった緊急的に木材の供給をするための杉の植林とは全く違う視点で持続可能な山を作るという強い意志が現代の伊勢神宮の遷宮を可能とする美しい天然木の供給を可能にしたということで、自然のままの多種多様の木や草が共生する美しい林道を歩き、日本古来の価値観は如何に素晴らしかったか、と感嘆せずにはいられませんでした。

厳しい自然の中で育った桧は人工林の桧と全くモノが違います。

それは育つスピードとして顕著に現れるのですが、年輪の詰まり方が全く違うことで、天然木は強さも美しさも植林された桧とは全くの別物になるという事実を見て、自然の摂理の偉大さを再認識せずにはいられませんでした。

岩を割って、岩を包み込むように地に根を張り、太陽の恵みを勝ち取る為に天高く幹を突き上げ、光を受け取る為に谷に枝を伸ばし葉を広げている様を見て、

「なるほどな、」

と妙に納得してしまいました。

木として生を受けて、天高く伸びなければ陽の光を浴びることは出来ず、陽の差す方に新しい枝を伸ばさなければ廻りの木々に埋もれてしまいます。

そして、影になった枝を自ら枯らして更なる高みへと命を集中させてきたその結果が硬く、美しく巨大な姿の桧へと何百年という月日をかけて命をつないで来たのだと。

効果、効率とは無関係の生命が培われる本質的な時間軸がここにある様な気がしました。

自分に振り返って思い返せば、本質的な成長とは相対的な成長ではなく、命をつなぐこと自体が成長と意味を同じくし、それを支える根は深く、広く、そして岩をも突き通す強さで伸ばさなければならず、同時に日の当たる場所を感じて枝葉を伸ばすこと、影になったそれを自ら捨て去ることを行ない続けなければ成長そのものを止めて立ち枯れて死した後に何も残せなくなる。

自然の摂理を知ること、その原理原則に則した生き方を目指すことで私たちが元来生まれ持った価値観を全う出来る。

生きる光と言えば大げさですが、大きな方向性を示唆されたような、そんな貴重な体験をする旅になりました。

『自然の摂理と原理原則。』

しっかり見つめて生きたいと思います。

ご縁(というか無理に誘って下さった清水社長)に心から感謝申し上げます。

ありがとうございました。

心謝。

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すみれ建築工房 ミッションステートメント

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それは作り手側から見た業界の悪習を断ち切りたいと言うその1点に尽きます。

しっかりと社会保障をされた職人が早く出来た事が儲かることではなく、完璧なものを作ることで評価されるシステムを作り上げ業界のスタンダードにしたい。

それがすみれが社員大工での施工に拘る理由です。

設計する者として真剣・誠実にお客様のご要望に耳を傾け、最善のプランを作成します。 工事する者として日々切磋琢磨し、技術・サービス・管理能力の向上に努め、その結果としての低価格への挑戦をし続けます。 工事店として>全ての方に「知って良かった」と言っていただくまで、諦めないサービスに努めます。 建築のプロとして建物の長寿命化を果たします。 日本の伝統工法の継承者として次世代の育成に努めます。 人として常に良心に従った行動をとります。

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