亀の恩返し。#情けは人の為ならず。

令和2年8月7日 晴れ

九州ツアー本格スタート。

昨夜は2週連続2回目と本格的にスタートした、久留米での若手大工育成プロジェクトの講師の後、一人で久留米の路地裏の江戸前寿司で打ち上げ&反省会をしてから、最終の新幹線で帰神しました。半年間、12回も久留米に通い続けることになったこの講習は朝8時スタート、終了は夕方5時で毎回前乗り&最終の新幹線で戻ってくるまぁまぁハードなツアーになっています。いつも職人起業塾で行っている研修は、同じように6カ月間15回のカリキュラムではありますが、小田全宏先生にお願いしているアクティブブレインセミナーや横山桂子先生にご登壇頂く接遇コミニケーション研修など、私の担当外の研修も約半分あり、実質は7回程度しか講師を務めないことを考えたら、今回の若手大工育成研修は倍のエネルギーを使うわけで、しかもフィーは、ほぼボランティアに毛が生えた程度しかないと言う厳しさです。(笑)

大工育成研修の意味と価値。

それでも、建築業界への入職3年程度未満の若者たちが、真剣な眼差しで私の話を熱心に聴き、目をキラキラさせて楽しそうに実施研修に取り組んでいる姿を見るのは非常に嬉しいもので、次世代の大工育成の研修講師は売上や利益だけでない価値があるのだと自分に言い聞かせています。(笑)
実は、JBN主催の若手大工向け研修は以前から全国各地で行っており、3年ほど前には関西での研修につむぎの若手大工スタッフも通っておりました。規矩術や墨つけ、刻み等を座学と実習で学んでいたようですが、残念ながらその当時、実際の業務内容と研修内容があまり重ならなかったようで、当時、、若衆たちに研修に行った感想を聞いてもあまり反応がありませんでした。

信頼が障害を乗り越えさせる。

そんな若手大工があまり積極的な参加をしていない印象だったJBN主催の大工研修事業の講師を私がやるようになるとはつゆとも思っていなかったので、今回のお話を引き受ける際もどうなることかと思ったりしましたが、事務局をされている「一般社団法人ひとにやさしい家を考える会」の方々が職人起業塾の内容を把握されており、私の考え方を深くご理解してくださっていたこともあり、「一応、カリキュラムの内容は抑えながらも、塾長の思うようにやっていただければ良いですから、」との言葉をかけてもらったこともあり、「では好きなようにやらしてもらいます。」とこの度のハードな研修講師ツアーをお引き受けした次第です。(笑)

現役実務者の講師。

昨日で2週連続2回目の九州での研修を終えての私の感想は、講師を引き受けて本当に良かったと思っています。長年、自社内で職人育成を行ってきて、この20年間あまり、若い職人たちに実務を教えながら、顧客からの信頼を得て次の受注につなげる、信頼第一のマーケティング的考えを教え込んで来た私にとっては今まで自社内で行ってきたことをそのまま場を改めて研修会場で行っている感じで、昨日の実習研修にしても、即実践に使える、丸のこの定規の作り方や使い方などをレクチャーしました。若手大工たちにとっては丸ノコは常に定規の使い方を考えて使うものだと言う概念を聞いて目からウロコの面持ちだったので、今日から、今までモタモタしていた作業の生産性を一気に高めているかもしれません。(笑)

技術よりも人としての在り方。

そんな私の研修では、今回は実技も教えておりますが、技術は身に付けて当たり前で、それだけじゃ機械や道具と同じだと繰り返し、耳にタコができる位言い続けています。昨日も、小便をする際に便器に座る座らない問題で、「人が見ていない時にこそ、自分の良心に従った裏表ない行動ができるかどうかが重要で、技術うんぬんを語る前にまず人間として信頼に足る人になるべきだ!」としつこく語り続けました。そんな昨日の講習の余韻を若干引きずりながら、今朝アイドル犬チャックといつもの伊川の河川敷に散歩に出てみると、またチャックが何か小動物を見つけてうれしそうに遊び始めました。

亀の恩返し。

またモグラでも掘り返していびってるのかと思い、やめてあげなさい!と近づいてみると、仰向けにひっくり返った小さなミドリガメが目に飛び込んできました。とりあえず、川に戻れるようにうつぶせに戻してあげて、そのまま未練タラタラのチャックを引っ張って散歩の続きをしましたが、約15分後、帰り道にまたチャックがその亀を見つけてうれしそうに走り出そうとしました。なるほど、亀の歩みは確かに遅いんだと納得しながら、通りがかりの犬たちにいじめられないように甲羅をつかんで川に戻してあげました。亀の恩返しがあるかどうかはさておいて、朝からなんとなく良いことをしたような気分になり、今日は普段より少し機嫌よく1日を過ごすことが出来たように思います。陰徳を積むのはその相手が人である必要はなく、自分の良心が示すことに素直に従い行動に表すことなのだと改めて感じた次第です。

情けは人のためならず、

大工育成プロジェクトの講座の中でも、信頼を得られる職人とは高い志、目的意識を持つ者であり、相手の立場に立ってコミュニケーションが取れる者であり、自分の良心に従った行動を選択できる者だ。と、そんな論語の教えの現代語訳の様な話を繰り返しておりますが、良き行いをするのは、結局、自分の心が軽くなったり、機嫌が良くなったりと、まさに「情けは人のためならず、自分のため」なのだと気づいてもらえたら嬉しい限りです。技術だけでは無い、誰からも仕事を頼みたいと言われる、一度出会ったら最後、一生あなたにお願いしたいとお客さんに言わしめる、本当に良い職人さんを量産できる研修会になる様にしたいと思います。気合を入れて年末まで、足繁く久留米に通い続けたいと思います。(笑)


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