「企業は人なり」の基礎。

令和2年11月17日快晴

人事制度改革個別WS

今日は遠路はるばる静岡県富士宮司から職人起業塾に参画いただいている工務店の経営者が来神され、人事制度、キャリアプラン構築についての個別ワークショップを開催。一般社団法人職人起業塾では、今年度コロナの影響もあり、集合研修を取りやめてその代わりに人材育成を担う事業所の仕組みづくりのサポートを繰り返し行ってきました。今年は第5回まで繰り返し行い、来年以降も継続して開催の予定をしておりますが、富士宮の熱心な社長はそれまで待たず、出張のついでに神戸に立ち寄って個別に制度作りをして帰りたいとのご要望で、私も意気に感じて半日時間を割きました。帰られる時には晴々とした顔で、これで一気に人事制度の改革が進みます!と力強く言われており、私としてもとても嬉しい気持ちになりました。山崎社長、職人に未来を見せる制度作り、頑張ってください。

人事制度こそ事業の基盤。

企業は人なり。とはあまりにも有名な言葉で、経営者であれば誰もが1度はその言葉を耳にしたことがあると思います。その意味は人材育成こそが企業が存続、発展するには絶対欠かすことができない重要なファクターであり、それを支える人事制度こそが企業がまず整備しなければならない最重要課題であると言う意味だと私は理解しています。ちなみに、人事制度とは「賃金規定」「等級制度」「評価制度」を柱にした就業規定の策定のことであり、中小零細企業、特に建設業の経営者にとってはこれらを労働基準法通りの完全適法で運用するのはなかなか一筋縄ではいかない難しいことのように考えられているのが現実です。

お飾りの就業規則。

ほとんどの事業所は労働法の運用の専門家である社労士にサポートをしてもらい、社労士が提供する雛形をもとに自社にあった形でアレンジしてその運用を始めますが、建設業界、特に職人の世界では一般的に流通?している就業規則の雛形が実情とうまく噛み合わず、有形無実の飾りのような就業規則になってしまっていることが少なからずあります。起業当初の私も全くそうでしたが、本来、事業を支える根幹の最重要の仕組みであるはずの人事制度が全く機能せず、行き当たりばったりの昇給や評価、キャリアプランの提示もなく、職人は全く未来の展望が見えないまま、目先の仕事だけに追い回されるような働き方になってしまいがちです。これでは人も続かず、成長をすることなく、若者も集まる訳もなく、事業所も衰退の一途を辿ってしまいます。

職人不足問題の根本。

特に、建設業界の場合は就業規則の運用を完全適法で行えていると胸を張って答えられる経営者が非常に少ない現状があり、これでは人材育成どころか退社した社員に残業未払いなどの損害賠償で訴えられるのがオチ。全くもって話になりませんが、そもそも親方に弟子入りして仕事を教えてもらうことで独立する力を身に付けるといった職人の世界に完全適法の人事制度を整えなければならないような意識はありませんでした。職人の親方は個人事業主であり企業ではないのですから当たり前かもしれませんが、高校への進学率99%、少子化のあおりでどの業種も人材不足が叫ばれるようになり、若者が就職する先を自由に選べるようになった今の時代、そんな不安定でブラックと言われる様な職業につきたいと思う若者は皆無であるのが現実で、これが深刻な職人不足を引き起こしている根本的な原因だと思っています。

完全適法の労務管理のコツ

労働基準法をしっかり理解しておれば、完全適法の就業規則の運用はそんなに難しくはありません。基本的に守るべき事項はそんなに複雑に決まっている訳ではなく、意外とシンプルです。職人を雇用している方で、就業規則をキチンと整備しなければならないと思いながらも、職人の働き方は法律通りに収まらないと諦めてしまったままになっている方が少なからずおられるともいますので、そんな向けに、誰でも適法の雇用が出来ることをご理解頂けるように、以下に完全適法の賃金規定策定と運用の要点をご紹介しておきたいと思います。

守るべき5つの条件

まず、労働法にある基本事項、前提条件ををかいつまむと、
①労働者は最低限1週間に一度の休暇を与えること
②1週間の労働時間は40時間を超えないこと
③1日の労働時間は8時間までとすること
④半年以上雇用すると5日以上の有給休暇を取得させること
⑤規定就業時間を超えた労働に対しては残業代を支払う事
以上の5点に集約されます。

週休2日にしなければならない。訳じゃない。

一年は約52週、週あたりの労働時間40時間を上限と考えれば、2080時間が年間労働時間の上限となります。また、建設業は特定業種に指定されており、繁閑の季節変動があることから残業時間の上限が定められておりません。(時限措置)なので、上記の条件を満たした就業規則を策定して、はみ出した労働時間について全て残業代を支払えば完全適法ということになります。一日の労働時間を一般的な職人の働く時間8時〜17時とすると休憩時間を2時間引いても7時間となります。これでは「1週間に40時間」を守ろうとしたら、隔週週休二日(2週で77時間)にしなければならず、実質、日曜日だけが休みになっている職人の場合、隔週で休日出勤をすることになります。もちろん、休日手当をつけて残業代を払えば全く問題はありません。

簡単に適法になる就業規則の作り方。

もう少しシンプルに考えれば、規定就業時間を8時〜16時30分にして、6.5時間/日+残業1.5時間(残業36時間/月)にすれば、「1週間に40時間」も守れるし、残業の一般的な上限にも適合します。また、毎週1日の休日は年間休日52日(労働日数313日=年間労働時間2035時間)であり、週休1日=年間52日+正月、GW、盆、祭日で有給消化が簡単にクリア出来るようになります。通常の労働時間で規定残業時間(40時間)をほぼ使い切り、残業ができなくなるのではないか?という危惧は「特定業種は休日出勤、残業代を払えば完全適法」の観点からさほど問題ではありません。ただ、これは時限措置で残り4年となっておりますので、4年の間に残業をしなくても業務が回る様に整備を行わなければなりませんが、時間的には少し余裕があるのでその間に労働環境に改善に取り組むのはそんなに難しくないと思います。

労務管理サポートを行う理由。

私は大工上がりの工務店経営者であり、労働法のプロでも何でもありません。就業規則や賃金規定の策定や運用のアドバイスは完全に畑違いではありますが、職人の働き方は一般の業種に比べて特殊だったこともあり、働く人の当然の権利である労働基準法の遵守を行うのにずいぶんと苦労してきました。私自身も創業当初は当時の顧問だった社労士さんにもらった雛形をもとに就業規則を作りましたが、全く笑に描いた餅的な位置づけになり、「企業は人なり」の原則に全く準じていない、人材育成、人材の成長と全く関係のないものになってしまっていました。蛇の道は蛇と言いますが、建設業には建設業に則した就業規則の策定が必要で、自分が苦労した分、まっとうな経営を行いたいと思われる方には、出来る限りのサポートをしたいと思っています。一般社団法人職人起業塾では就業規則の見直しを皮切りに、キャリアプラン、等級制度、評価制度とその運用のサポートも行っておりますので、労務管理を見直したい、けどなかなか進まないと思われる方はお気軽にお声掛けください。お手伝いします。


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