おとなしく、無口な若手職人の変容

令和2年12月14日曇り

冬空

小春日和が続いた先週までとはうってかわり、冬らしい曇天が広がる寒い1日になりました。今日も早朝から早出して、スタッフとの個人面談マラソンの続きからスタート。年末が押し迫り、忙しくなっていくのと並行して、朝夜関係なく隙間の時間を埋めていく個人面談はすっかり私の年末の風物詩になっております。今年はそれに付け足すかのように、顧問先の職人さんとのミーティングや、コーチングも入っており、例年に比べて目まぐるしい感じが加速してるように思います。

無口な若者との電話セッション

今日も、昼休みの時間を利用して、顧問先のシステムキッチン組み立て施工の職人さんと電話でのワントゥーワンコーチングを行いました。その彼は一般社団法人職人起業塾の第14期の卒業生で、高校卒業して社会に出てきてからまだそんなに年数も経っていない若者で、無口で、おとなしく、引っ込み思案で、はっきりとものが言えないタイプ。開講当初、全く職人の雰囲気が漂っておらず、こんな感じで我々職人の世界に馴染めるのか?と心配になってしまったほどです。当然、1人で現場を任されて施工に行ったこともなく、職人さんと一緒に行く手元をやってます。と、自信なさげに自己紹介をしていました。

頼りない期待の星

半年間の研修を終えて卒塾式の後、送り出す際も、1人前の職人になってがんばります。とは言っておりましたが、どうにも頼りない感じで、大丈夫かよ?と心配しておりましたが、とにかくその会社にとってははじめての新卒採用の社員職人であり、事業所の次の世代を担って立ってもらいたいと社長が願う期待の星です。何とか一皮向けるきっかけを与えたいと思って私も講義をしておりましたが、打てば響くタイプでもなく、いまいち手ごたえを感じきれていなかったというのが正直なところです。

職人の考え方と働き方改革

一般社団法人職人起業塾では、今年はコロナの影響で従業員を対象にした新規の集合研修を一切中止して、そのかわりに経営者向けの人事制度改革のワークショップを開催してきました。それは、職人や現場監督などの建築実務者向けの等級制度を軸にしたキャリアプラン構築のサポートで、現場実務者達に意識を変え、役割を変え、働き方を変えて決められたことを決められた通りに行うだけの道具のような職人から一方足を踏み出して、現場で付加価値を生み出してもらうように促すのと同時に、将来に希望を持って働いてもらえる環境を整える取り組みです。

僕、変わりました。

今日電話でコーチングを行った若者の所属する会社も、そのワークショップに参加して人事制度を刷新すると表明してくれた流れで今回私が顧問に入り、その運用をサポートすることになりました。今回は来年に向けて本格的に改革を進めるにあたり、目標設定をテーマに話す予定でしたが、約束の時間ぴったりに電話をかけてきた彼の声のテンションにまず驚かされました。今まで対面で話していた時には考えられない位、ハキハキした声でしっかりした口調で挨拶をしたのです。以下、彼とのやりとりです。

私「今日は何しとん?」

彼「今日は1人で新築現場にキッチンを組みに来てます」

私「やるやんかぁ、1人で現場行けるようになったんか」

彼「簡単な現場ならひとりでできるになりました」

私「凄い進歩やなー」

彼「ハイ!研修にいかせてもらって本当によかったです。」

人は変われるんや。

(私を含めて)職人の世界に就職する若者は自分から好き好んでこの世界に入ってきたと言うよりは他に行くところがなくて消去法で建築業界に入ってきた人が少なくありません、と言うよりその方が大多数かもしれません。将来への大きな夢を持っているわけでもなく、意欲が低い若者は、セルフイメージが低く自分なんて・・、と変わる事も成長する事にも否定的になりがちです。そんな彼らに小さな成功体験を感じてもらいながら、小さな一歩を踏み出させて、やった分だけ成果が出る、地道な努力が報われる世界がある事に気づいてもらえれば、今日の彼の様に一年足らずで人が変わった様な成長を遂げる事は少なくありません。私が職人向け研修事業を行う醍醐味であり、こんな若者へのサポートをするのが私の存在意義なのだと感じられるとても良いセッションでした。クラちゃん!どんどん行け!(^ ^)


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