二つの世界。#若手大工育成プロジェクト

令和2年12月18日 曇りのち晴れ

 

いつもの羽犬塚にて。

昨夜遅くに前のりで乗り込んだ久留米駅からローカル線に乗り換えて大牟田方面に3駅、羽犬塚駅前のホテルで迎えた朝は外気温−2度でした。少し大きめの窓のシングルガラスからしんしんと冷気が部屋の中に入ってくる冷気に参った、と昨夜はエアコンを点けっぱなしでベッドに入るのに攻めて少しでも湿度を保とうとユニットバスの浴槽にお湯を張ったままにしていたら、目を覚ます頃にはガラスだけではなく窓枠から零れ落ちるくらいにびっしりと結露していました。九州だからと言って別段、どこでも南国なわけじゃないよなー、福岡、北九州はどちらかと言うと日本海側やしなー、なんて実感した朝でした。

若手大工育成プロジェクト最終講。

今日はなんでも今年1番の寒波が襲来し、信越や東北方面では例年に比べてずいぶん早く大量の積雪になったようで、テレビのニュース番組ではまた自然の変化に脆弱な人間社会の弱さを映し出しておりました。そんな寒い中、今日は半年間にわたり通い続けた筑後での若手大工育成プロジェクトの実習研修の第12回目、最終講の講師を務めました。いつも感じることですが、研修のスタート時点では半年間の期間をずいぶん長い期間があるように感じるのですが、終わってみるとあっという間だったと思います。それは講師を務める私だけでなく、受講生も同じように感じるようで、終盤になると最終回を迎えるのがなんだか少し寂しい雰囲気が漂います。

ラッキーな若者たち。

JBN(全国工務店協会)の地方組織である一般社団法人人に優しい会を考える会が主催された、この度の若手大工育成プロジェクトの実習研修は3年計画であり、来年度は新しい受講生ももちろん迎え入れますが、基本的に、同じメンバーに継続して3年間実習研修を受けてもらうことになっています。なので、今日の最終講の終わりには、また来年会おう!と言う言葉で締めくくり、半年後の成長した受講生たちと会うのを楽しみにしながら別れをつげました。それにしても、3年間にわたって実際に小さな木造の実習棟を建てて、解体するするぜいたくなカリキュラムの半年ずつの実習研修を3年間継続して受講できると言うのは本当に恵まれていると思います。しかも、ほとんどの費用は全て国交省が負担してくれています。ありえない恵まれた環境に感謝したほうがいいよと今日も受講生達に(恩着せがましく)伝えました。(笑)

私が九州で講師を務める意味。

今回、私が遠く九州まで大工技術の自主研修の講師として半年間通うことになったのは、私が主催する一般社団法人職人起業塾が九州博多で開催する際の現地事務局をお願いしている関係で、一般社団法人人にやさしい家を考える会の事務局の方から新しい研修事業をスタートさせるので講師を務めてくれないかとオファーをいただいたからです。以前から、国交省の大工育成の事業の中で、技術実習の研修は繰り返し行われてきましたが、大体は引退した、若しくは第一線から引いたご高齢の大工の棟梁がやるもので、私のような(大工の世界では)まだ若手の部類になるような現役工務店経営者が務める事は非常に稀です。正直、技術だけを教えるのなら私がわざわざ毎回前日に前乗りして九州まで行く必要はありません。

技術だけではダメ。

研修講師のオファーをいただいたとき、正直、一瞬私じゃなくても良いのではないか?と考えて引き受けることに躊躇しましたが、「塾長が考えている通りにカリキュラムを変更してくれていいから」との熱心なお誘いを受けて、半年間筑後に通い続けることにしました。結果的には、実際に自習棟を建てるので技術的な研修を中心に行うのはもちろんですが、職人として、職業人としてのあり方、そこから生み出される価値を最大限生かせる状態を作る習慣の大切さを毎回の座学の中で繰り返し伝え続けました。1ヵ月に2回の研修のたびに、自分で決めた習慣に対する進捗や成果を発表させ続けることによって、はじめのうちは三日坊主でした等々、全く習慣に取り組めていなかった受講生も、カリキュラムが半ばを過ぎた位から全員がそれなりに実践できるようになり、最終的にはそれなりに、全員が習慣の力を実感してもらえたように感じています。

精神の世界の住人になれ。

研修の終わりは実務のスタート。明日から受講生たちが半年間の実習研修で培った知識やスキルをもとに、それぞれの現場や事業所、お客様先で活躍していくにあたり、本日の最終講義で私が彼らにこれだけは胸に刻んで業務に当たってほしいとお願いしたのは、「この世の中には2つの世界があり、1つは物質の世界、もう一つは精神の世界で、皆さんは物の世界ではなく心の世界に住んでいることを忘れないでほしい。」と言うことです。言い換えれば、理論と感性、表面的に目に見えるものと、目には見えないものの世界となるのですが、とにかく心のこもった仕事をしてもらいたいと言うことです。それは対お客様に向けてだけのことではなく、自分自身に対しても心を込めてもらいたいと言う願いであり、思考の中で理想を描き、心からそれを叶えたいと思った時、人は行動に移します。強い心を持って行動を継続することができれば、必ず手に入れられるものがあり、それはこの半年間、習慣を身に付けることで皆が体感してきたことでもあります。「思考は現実化する」とはナポレオンヒルの有名な言葉ですが、思考と言うよりは心を鍛えて心で感じてもらいたいとの私の願いです。

無限の可能性を秘めた若者たちへのエール。

文明の進化、テクノロジーの発達によって世の中は全て理論で構築されている様に思いがちですが、人と人との関係性は必ずしも理論で片付くものではなく、常に感情がつきまといます。頭の中ではやらなければならない、やったほうがいいと思うことも、心がそれを拒否すれば人は行動には移しません。私たちは建築と言う物理の世界に生きてはおりますが、決して全てがロジック通りではないのは世の常と同じであり、強く願う想いは現実となる世界の中に我々は生きていることを忘れないでいてもらいたいと思います。誰もが奇跡のような確率でこの世に生を受け、しかも大概の若者が忌み嫌い、興味を持たず、圧倒的な若手実務者不足に陥っている私たちの業界に飛び込んできてくれた若者は業界の宝であり、建築現場で働いているだけでもう既に凄いことです。これから未来にものすごい可能性を秘めていると思っています。彼らの輝かしい前途に心からエールを送りつつ、半年後たくましくなった受講生と会うのが今から本当に楽しみです。皆さん、半年間本当にお疲れ様でした。心を尽くして頑張ってください!
そして、サプライズプレゼントのマフラーありがとう。(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

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