令和3年2月20日 晴れ
自転車営業
SNS上ではまだまだ雪景色の画像がチラホラ見られますが、神戸はまた寒気が去って小春日和が戻ってきました。暖かいことはいいことです。昼から、事業所から歩いて15分くらいのお客様宅に打ち合わせに行くのに、久しぶりにロードバイクのタイヤに空気を入れて自転車で伺いました。長らく乗っていないと、少しの坂道で太腿は動きが悪くなるし、息は上がるしでこれはヤバイとロードでのトレーニングを再開ようと思い立ちました。コロナで毎年参加していたセンチュリーライドが中止になり完全に目標を見失っておりましたが、風の時代といえば自転車やろ、と言うことで、今年中に(坂道は大嫌いですが、)六甲山頂まで自転車で登るのを目指して頑張ってみたいと思います。(笑)
脱ルール主義
今日の昼は顧問先の若手大工と電話での1to1セッションの時間でした。風の時代になって私が一番意識していることは、細分化したコミュニケーションで、希望者数名の社員との(半分ティーチングの)コーチングの他にも全社員に対して毎朝チャットで挨拶と「職場の教養」と言う冊子の感想の交換など、できる限り個別にコミュニケーションのきっかけを開くようにしています。私が長年、経営者として会社を引っ張ってきて感じたのは、人はロジックでは動かない。と言うことで、理屈や規則、ルールで縛ったところで、全く状況は良くならないどころか、言われたことだけ守れば良いと、自分で考えることを放棄して最低限思考に陥ってしまうと仕事に対する良心さえ失ってしまいかねません。全くの逆効果です。
1人ずつの声に耳を傾ける。
理屈はわかっていてもやる気にならない事は誰にでもあることで、人はロジックではなく、感情で行動を選択すると言うのは、冷静に考えれば当然のことですが、私ごときの大工上がりの経営者が、感情に訴えるには多くの人を一堂に集めて、壇上からスピーカーで話したところで絶対に無理で、もっと丁寧に伝えるべきなのは自明の理。個別にじっくりと何の為にこの選択が、この行動が必要なのかを伝えなければならないと思っていて、昨年から出来る限り多くの人と個別のコミュニケーションを取るように心がけています。顧問先の社員さんとのセッションもその流れで、その彼とは今日初めて1to1で電話で話しこんだのですが、今までボンヤリと感じていたことが全てはっきりと見えた気がした本当にいい時間になりました。
ミッションは職人の社会的地位向上
私が顧問先でお手伝いしているのは、集客や売り上げ、利益をアップさせるコンサルティングなどでは無く、正規雇用の職人の人事制度(賃金制度、等級制度、評価制度)の運用です。職人が現場作業員から抜け出して、他の付加価値を生み出す働き方に変わることで役割と責任を引き受け、生産性を向上させることで事業所の利益に貢献し、当然、職人の所得も上がるし、年齢を重ねて現場での生産性が落ちても給与は下がることなく、さらに活躍の場を広げられる人材へと成長してもらうのが私の顧問としての仕事です。その結果、将来に渡って安定した生活と面白くやりがいのある仕事、高い地位のキャリアを身に付けて、職人が若者から憧れられる存在になると信じて、自社だけでは無く、職人を正規雇用している事業所さんの応援をしています。
理論を買っても行動は変わらない。
今日の若手大工とのセッションは、大工工務店のブランド化は現場のブランドであり、そこで働く大工のブランディングだと言う説明をなんども繰り返してきたこのところの全体会議の内容について、意見を聴かせてもらいました。目の前の現場、大工仕事だけを一生懸命にやり続けても現状は何にも変わらない。今のうちから業務全体の段取りや図面の作成、お客さん対応などを少しずつ学び、実践することで作業員としての大工では無く、施工管理や設計、営業などのスキルを身に付けて高齢になって現場を離れてもしっかり稼げるようになる。少しずつ、働き方を変えて行くべき。と、3年程前に職人起業塾で私が繰り返し伝えたロジックはすっかりわかっている口調でした。が、しかし、実際には彼の行動はその当時からほとんど変わっていないのが現実との事でした。
理想と現実は違う。
わかっているけど何にも変わっていない理由は、現場が忙しい、若い者が入ってこない、やりかけて見たけど上手くいかなかった、そもそも大工仕事が好き等々、変えるべき問題に埋もれてしまっているとのことで、なかなか最初の1歩を踏み出せずにいるとの事でした。私とのセッションの中で今一度大工としての自分の姿を見て若者が、その親御さんがだいくに憧れを持ってもらえるかと問いかけることで、諦めて目を閉ざしていた未来に視線を上げて、できるところから少しずつ、一歩ずつ歩みを進める。と決意を新たにしていました。
少しのきっかけで人は変われる。
理想と現実の深い谷に足をスクませて思考停止に陥り、考えること自体を先送りして動けなくなるのは誰しものこと。しかし、立ち止まり現状に甘んじていては全く何も変わらないし、年老いた大工が生産性が落ちて使い物にならなくなるのと同じように、導火線に着いた火が時間とともに近づいてきて、そのうち爆発するのは明らかです。まずはいっぽ踏み出すきっかけを与えることで人は買われると信じていますし、そのきっかけをできるだけ多くの人に渡したいと50才を過ぎて初老に近づいてきた私は最近とみに思うようになりました。職人の地位向上は職人の意識改革と自助の努力なくしてあり得ません。何のためにそれをするのか?と言う質問と共に未来に目を向ける機会を作り続けたいと思います。