疑わしきは、用心すること。

3.11 晴れ

 

水曜日という事ですみれ事務所は定休日。

私はというと愛知県の春日井市までパナソニックエコソリューション社の工場に旬真っ只中と言っても過言でない住宅の空気環境に関する研修に換気システムを勉強させて頂きに来ています。

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あれこれと学んだことを書き残しておきたいとも思いますが、今日は3.11。あの日から4年が過ぎた日という事で、被害に遭われ、亡くなられた方の鎮魂を祈りつつ、神戸で震災を体験した者として今日感じたことを綴っておきたいと思います。

 

朝のTV番組では、4年の年月を経て、東日本大震災後の復興が進んだところ、未だ叶わぬところの映像を映し出しておりました。

改めて感じたことは4年も経ったにも拘らず未だ23万人近くが避難生活を送っていると言う事実の異常さ、過酷さ、というか難しさです。

阪神大震災の時、元の都市機能が戻るまでに10年かかると言われた神戸はわずか3年で表面的では有りますが、大まかな復興(復旧?)が進み、殆どの仮設住宅の撤収が行なわれました。

それから考えると、今の福島やその周辺の地域が抱える問題は、とんでもないくらい根が深いもので、しかも、この異常事態を解消する目処も計画も立っていないことにもっと真摯に向かい合わなければならないのではないかと思いました。

誰もが分かっていることでは有りますが、神戸と福島の違いは、津波が襲って来たことと原発のメルトダウンです。

津波によって大勢の方の尊い命が失われてしまったことは非常に残念なことですが、自然界の内包する強大な力が牙を剥いたとき、人間では太刀打ち出来ないというある意味真理なのかも、と一種の諦めを感じずにはいられません。

しかし、原発のメルトダウンの件は全く話しが変わります。

自然が凶暴さを鎮めても何時まで経っても故郷に帰ることが出来ない人々、その故郷に対して、しょうがないな、なんて到底思えません。

昨日も「福島第一原発の汚染水が漏れて地中に染み込んだ、海に流れ込む心配は有りません」とフツーにTV番組でニュースが流れていましたが、これって完全に神経が麻痺してしまっていると思いました。

国と東電をはじめとする電力会社は今起こっている取り返しのつかない現状をもっと真摯に受け止めるべきだと思いますし、このことを棚上げにしたまま原発の再稼働を進めるなんて、どんな論理を持ってしても説明することなんて出来ないと思います。

隠しても隠し切れないと言われる福島の現状はあちこちで目にする機会がありますし、東京以北で危険が叫ばれる放射能によるリスクはどれが本当でどれが嘘なのかもはっきり言って良く分かりません。

しかし、、

疑わしきは、無視すべし。

では無く、

疑わしくは、用心すべき。

と言う姿勢がアタリマエの議論になっていないのが本当に不思議ですが、「ふーん、汚染水がまた漏れたんやー、」「海まで流れんかったんや、よかったね、」といった、麻痺、もしくは無関心だけには当事者でなくても日本国民全体でならない様にしなければ、と思った次第です。

 

福島で絶対に有ってはならないと言われていたメルトダウンが起こったとき、実は私たちも関東で店舗の工事をしていました。

関東全域まで放射能汚染が広がってくる、という噂をいち早く教えてくれた友人の言葉に絶句しましたが、聞いたその場で関東に出張に行っていたスタッフよーへーに現場をそのままにして即刻帰神する様に指示をしました。

クライアントには、事実は分からないとしても、もし、万が一のことが有ったら、社員にもその家族にも私は償い様が有りませんので、福島が落ち着くまでとにかく工事をストップさせてください。とお願いして。

その後、2ヶ月が過ぎても福島は一向に収束の気配が見えないまま、計画停電をしながら関東の街は普段の暮らしに戻って行きました。

3ヶ月が過ぎた頃、その関東のクライアントから、「周りの店舗はみんな営業を始めている、工事を再開して早くお店をオープンさせてくれないか、」と連絡が入りました。

しかし、福島原発は以前なんの進展もしておらず、スタッフにもう一度現場に戻れと言える状況ではありませんでした。

もしものことが有る可能性が残っている以上、自分で責任を負える範囲の選択をするべきだと考え、私が単身関東に赴き、工事を進める選択をしました。

「大丈夫やと思う」

と言いながら特大のスーツケースに大工道具を詰め込んで新幹線に乗り込む時は、今では考えられないですが、ひょっとしたら、神戸に帰って来れないかもしれないな、という想いが脳裏をよぎりましたし、度重なる余震と夜中に大音量で急に鳴り出す地震警報にはずいぶんと肝を冷やしたことを今も鮮明に覚えています。

 

たった4年前のこと。

忘れること無く、目を背ける事無く、憶えておきたいと思います。

疑わしきは、用心すること。

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