既に若年層の大工はいないも同然。

3月17日 曇り

昨日の一雨もあってか、暖かい週の初めとなりました。

月曜日は着工の日。

朝から着工現場に説明に行って来ました。

2日間の短い期間のリフォームでは有りますが、盛りだくさんのお客さんのご要望を現場担当のサトリーヌに説明、「全て把握しました!」と、心強い声を聞いて現場をあとにしました。(笑)

昼からは京阪神木造住宅協議会の総会と研修会に出席。

理事の末席に名を連ねさせて頂いているという事で、早めに会場に入り、講師を勤めて頂くJBN青木会長と一緒に昼食を摂る稀な機会を頂き、あれこれと質問攻め。(笑)

JBN青木会長ご講演
JBN青木会長ご講演

 

総会を終えて、研修会ではまず、(私たち工務店の星、)JBN青木会長のご講演。

唯一無二と言っていい、2700社もの全国の工務店が加盟する、まさに工務店の工務店による工務店の為の団体である、一般社団法人JBNを立ち上げから長年先頭に立って引っ張って来られた青木会長の言葉はひとつ一つに重みが有り、これからの工務店が向かうべき方向性と目の前に立ちはだかる大きな危機を感じさせて頂くことになりました。

 

2時間はゆうにかかる内容をぎゅっと濃縮して簡潔にJBNの取り組み、これからの住宅産業の大きな流れ、そして工務店が取り組むべき具体的な事柄を示唆頂きました。

 

近藤典子さんセミナー
近藤典子さんセミナー

第二部では、TVでおなじみの『住まい方アドバイザー』の近藤典子さんに御登壇頂いて、ハード面(デザイン、最新の設備機器、構造)と同じ様にソフト面(住まい方!)の提案が出来なきゃダメ、と叱咤激励を頂きました。(笑)

 

心地よい住まいには『3つの間』が重要である。という独自の理論を展開されて、「私は住宅のプロでは有りません。」と言われながらも、モノではなくコト、とよくわかっているはずなのに、本当に細部まで気を配って住宅の提案を出来ているか?と聞かれると胸を張れない工務店の経営者に対して、住まい方の本質の部分を軽快な、そしてパワフルなトークでご説明頂きました。

 

はっ!と気付くことも有りましたし、なるほどねー、と関心することも多々有る濃密な講演をして頂き、非常に勉強になりました。

あちこちのTV番組で引っ張りだこの人気になるのも良く分かった気がします。

青木会長、近藤典子先生、本日は誠にありがとうございました。

おかげさまで非常にいい研修会になりました。心から感謝申し上げます。

 

この夏開講となる近藤典子さん主宰の『住まい方アドバイザー養成講座』を設計スタッフ向けの研修事業の一環として検討させて頂こうと思います。引き続き宜しくお願い致します。

近藤典子さんと、
近藤典子さんと、

 

さて、お題目は青木会長の講演の中でもピックアップされており、また、講演の中でも名指しですみれを褒めて頂いたこと。

 

このブログでも今まで繰り返し書き続けておりますが、建築業界は今大変なステージに差しかかっています。

 

それは、職人不足の問題。

大工就業者の推移
大工就業者の推移

本日の講演の中で青木会長が示された最新の資料には衝撃的な数字が列挙されておりました。

1980年代に84万人いた現役世代の大工が現在27万人、そして2020年には18万人になるとの予測が!

なんと、半世紀も経たないうちに、1/5に激減してしまう計算になっています。

その最大の理由は若年層の大工がいないこと。

1980年代に3.3万人いた未成年の大工見習いが現在2千人、もう既に殆どいなくなっています。

これは古くから業界を支えて来た徒弟制度の崩壊や、長引くデフレにより、職人の単価が下がって魅力が無くなった、とか様々な要因が有りますが、根本的な原因は、

「職人を守り、育てる強い意志を持った工務店がいなかったこと。」だと青木会長は言われました。

新卒の若者を受け入れるには一般的な社会保障くらいは整備されていてアタリマエですが、そんなことさえも出来ずに誤魔化しながら採用をしているところばかりだから、若者にもその親にも背を向けられたのだと。

「全くその通り!」

と、そのお話に多いに共感すると共に、

「弊社では就業規則、賃金規程は全て労働基準法に適法で運営しています。」と、申し上げました。

すると、全国津々浦々の工務店を知り尽くしている工務店業界の重鎮は、

「いままで散々社員大工を雇っている、と言う会社はあったが、就業規則までキッチリ整備している工務店は、君のところ唯一つだ!素晴らしい。」

と、全く予期していなかったお褒めの言葉を下さいました。

何でも、国交省もこの問題には非常に危機感を覚えている様で、JBNでもこの職人の正規雇用の実現に向けて就業規則のひな形を準備しているところだそうです。

「一度君のところのモノと照らし合わして見なさい」と、(発表前の)書類を送ってくださることになりました。

 

 

工務店は現場で作るモノが全て。

いいモノ作りはいい職人作りから、そして現場で勝ち取った顧客満足を積み重ねることで循環して受注が取れるシクミを作り上げることが出来るはず。

そんなことを信じて、私たちが10年間もがき、苦しみながら取り組んで来たミッション、『職人の社会的地位の向上』に向けて、やっと世の中が動き出してくれるようです。

『本物の時代がやって来る』

楽しみになってきました。(笑)

 

青木会長、大きな勇気を頂きました。

ご縁に心から感謝致します。ありがとうございました。

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