今朝は朝から腹が立って、ムカムカしたまま出社しました。
出社前に、いつものように伊川の河川敷にアイドル犬チャックと散歩に行ってみると、日曜日にやっていたのでしょう、またもや河原にバーベキューをした後のゴミが散乱。
チャックがうれしそうに焼肉のタレが残った紙皿をなめてました。(怒)
桜がまだ少し残り、菜の花が川沿いにきれいに咲き誇っている河原にによくもまぁこんなにゴミを散乱させたまま帰れるもんやと、怒りとともに悲しくなってくるぐらい。。
そんな気分を引きづりながらの朝礼を終えて、掃除の時間になり、どうしてもムカムカした気持ちが収まらないので倉庫から一輪車を引っ張り出して雨が降る河原へ、どこの誰かわからない人が散らかしたゴミの片付けに向かいました。
考えてもみれば、一年に何回も人のバーベキューした後のゴミをを片付けてます。
ひょっとして、私のように片付ける人間がいるからいつまでもこんなことをする奴がいなくならないのかなーなんて思ったり。。
ゴミを片付けて、きれいな河川敷に戻ったのを見て少しは気も晴れましたが、これから5月に向けて外ご飯に最適な季節、当分の間、日曜日には河川敷のパトロールをやろうと心に決めました。(笑)
さて、お題目は昨日届いた業界紙大手の「新建ハウジング」の一面の見出しから。
【社員大工は最新トレンド】
実は、少し前に新建ハウジング紙のMさんがすみれに取材に来られてまして、
「職人社会を変えたいと言われる高橋社長の想いを聞かせてほしい」
ということで取材の申し込みをいただいておりました。
『最新トレンド』、と大きな見出しをつけて頂きましたが、ここで取り上げられた私たちの取り組みは実はそろそろ10年になります。『時代がオレたちに追いついて来た』というと、言い過ぎかもしれませんが、いつかこうなる、と言い続けて来ただけに、最先端と言って頂けることになんの抵抗もなく、却って有り難く感じました。
【USPを磨き続けた10年間】
10年近く前、今の本社ビルに移転した頃の事です。自社のマーケティングを構築をする取っ掛かりにと、スタッフ全員を集めて、「私たちすみれの強みとは一体何か?」と言う質問をしました。
あーでもない、こうでもないと長い議論を交わして、その時の結論は、「やっぱり大工が社員でいる事だろう、」という事になりました。全員がすこし自信なさげに、、
マーケティングにおける強みとはUSPと言われるもので、独自のユニークなウリとも訳されます。
しかし、ただ単に大工が社員としているだけでユニークな売りであるわけもなく、それから10年近く、どうしたら自社の職人が『強み』となるかということを考え、社をあげて取り組んできました。
そして、それは決して簡単なことではありませんでした。
私が考えたのは、主体性を持った職人になってもらうこと。職人が経営者意識を持ち、顧客の立場に立って現場作業以外の価値を作り出すということであり、現場で圧倒的な顧客満足を生み出すことでした。
それから、すみれの大工は、現場作業だけをコツコツ丁寧にやればいいっていうものではなくなりました。
社員大工を『強み』まで引っぱり上げる、という取り組みは、あれもこれもと増え続ける私からの難しくもややこしいオーダーとなり、
「勉強が嫌いやから職人になったんです」
「そんなことが出来る位ならはじめから職人なんかしてまへん」
という反発や諦めを招き、ついていけないと去っていった職人が多く出たのも事実です。
職人の地位向上を目指すと言う私たちのミッションとは裏腹に、長年ついてきてくれ、辛苦を共に乗り越えて来た職人達と袂を分かつことにもなってしまいました。
「これって、本末転倒じゃないのか?」と随分悩んだこともありましたが、スタッフに明るい未来を見せるためには自社の強みが絶対に必要だと心を鬼にして舵を切ってきたのでした。
【すべてのコストは顧客が負担をしている】
職人の社会的地位の向上とは、安心して働ける環境作りのことを指しています。
その環境とは、
- 怪我や病気になってもすぐに収入が途絶えてしまうことがない。
- 雨が降ったり仕事が暇だったりすることで収入が不安定になるのを改善したい。
- 年齢を重ね体力的に衰えてきたとしても安心して働けるキャリアプランを作る
- 自分で自分の家を建てられる。
- 将来に希望持ち、やりがいを持って仕事に従事できる。
一般的に考えると、すべて当たり前のようなことではありますが、現場作業員として働く職人の世界ではどれ1つ当たり前には手に入りません。
それでも皆、結婚し、家庭を持ち、人の親になります。そんな中、常におぼろげな不安を抱えたまま未来に目を閉ざして働き続けているのが今の建築職人の現状です。
それをなんとかしたいと言うのが長年目指してきた私の事業の目的でもあるのですが、このギャップを埋めるには当然、コストがかかります。
そしてそのコストは全て顧客に負担していただかなくてはなりません。
そのコストの増加に見合う価値(value)を職人たちが生み出さなければ絶対に成り立たないのです。
そのために職人達には随分厳しいオーダーを与え続けてきて、(今もですが、笑)それが理解できる者だけが今のすみれに残ってくれている、もしくはグループ企業として卒業してからも現場の責任者として働いてくれているということになっています。
そして、そのお陰でこの3年間くらいはチラシや雑誌といったマスメディアでの宣伝広告に全く費用をかけずに、口コミ、リピーター様からの受注で一定の売上げをあげ続けることが出来る様になりました。宣伝広告に使っていた結構な金額が不要になったのは、経営者感覚を持った職人が生み出した間接的な価値に他なりません。
【業界の異端児からスタンダードへ】
顧客が幸せに暮らすための住まいは、幸せな職人が作るべき。もっと言うと、幸せな職人でなければ作れない。と私は考えています。
建築は工業化が進んだとは言え、まだまだ現場で組み立てる手仕事の部分が非常に大きい割合を占めます。作り手のコストを絞りに絞って安い価格で顧客に提供しても最終的にはろくなことにはなりません。
工事を終えて、建物に住みだしてからも顧客の満足を得続けるには、作り手を高い意識を持った職人に育てるしかないと考えて、就業規則を整えて職人の正規雇用に踏み切った時、同業者の経営者からは、「アホやろ」と言われました。
確かに、就業規則を適法にし、社会保険、厚生年金に加入するとそれらの費用負担だけで前年まであげていたささやかな利益は全て吹っ飛びました。
資金繰りに苦しんだ時、銀行に相談に行くと、担当者から、
「こんな人員の在庫になる様な雇用体制じゃダメでしょ。」
と、利益が上がる工務店は工事はすべて外注ですよ、常識でしょ、と言われました。
しかし、工務店とは、そもそも販売会社ではなくモノ作りの会社です。その本質をかなぐり捨てて利益を残したところで将来は無い、今にきっと私たちの時代が来るはずや、と自分で自分に言い聞かせたことを覚えています。
そんな、決して平坦ではなかった私たちの10年来の取り組みがこのような形で、全国に紹介された事は本当に喜ばしい限りです。
新聞が発行されて、昨日から今日にかけて遠くは東北の方からも職人にマーケティングを学ばす手伝いをしてもらいたいというオファーを数件いただきました。
東京オリンピックの影響で一気に顕在化した職人不足問題、特に若い次世代を担う若手職人の不足は待ったなしの大問題です。
私たちのような職人の内製化に取り組む企業が、しっかりと現場で価値を顧客にお渡しし、信頼関係を構築して宣伝費をかけずに安定した受注を重ねるビジネスモデルを構築することにより、徐々にそれが業界のスタンダードになっていけば、職人の働き方が変わり、工務店のあり方が変わり、そして業界が未来のある業界に変わっていくと真面目に思っています。
職人の社会的地位の向上は絶対に一般のユーザーに良い結果をもたらし、日本の基幹産業である建築業界の未来を作ると信じて、これからもスタッフと一緒に精一杯の努力を続けていきたいと思います。
新建ハウジングのMさん、このたびは立派な記事というか、私の想いをしっかりと汲み取って頂きまして本当にありがとうございました。
心から感謝します。
心謝!
【職人さん、工務店経営者の方に伝えたいことがあります。】
新建ハウジングの紙面にも取り上げられている『職人のためのマーケティング講座』『職人起業塾』はお申し込みをいただくと誰でも無料で受けていただきます。
ただ、開催は神戸の西の果ての片田舎、すみれ本社3階のセミナールームです。
今月の開催はこちら、https://www.facebook.com/events/633408923460432/
遠方の方に対しては出張での講座も行いますし、SNS上には、毎月開催される塾の内容が見れる情報共有の場もありますのでお気軽にお問い合わせください。
腰を据えて社内にマーケティングマインド根付かしてたいという方向けには助成金を利用しての研修も準備がありますので、ご興味がある方は是非お声掛けくださいね。
お問い合せはこちらから、http://sumireco.co.jp/craftsman-seminar.php
建築業界の未来を一緒に作っていきませんか?