5月20日 晴
今日は朝から大阪へ
『日本の木の家づくり』サミットに参加してきました。
『日本再発見ー和の伝統を現代の住まいに活かす』をテーマに全国から工務店が集まって大々的な日本の木の家づくりについての情報共有と意識喚起の講演やディスカッションが行なわれました。
横内敏人京都造形芸大教授による和のすまい設計術では、日本人が持つべき真の豊かさを建築を通して感じれる様になる可能性を見せて頂きました。
淡路の江戸保棟梁、有名左官職人、挟土秀平氏、美山で茅葺きをビジネスモデルまで押し上げようとされている茅葺き職人、西尾晴夫氏、豊岡で里山の伝統文化を守る工務店、池口善啓社長らを、らしさ研究所の佐藤善秀先生がコーディネートして行なわれた職人座談会では守るべき日本の伝統技法の重要さと、多様化を極めたこれからの日本の住まいにどのように活かして行くかを深く考えさせられました。
工務店座談会では、継承すべき歴史と文化とはなにか、それをどう取り入れるべきなのかを、熊本のミズタホーム・水田和弘社長、鳥取の建販・山内智晃社長、宍粟の山弘・三渡眞介社長の取り組みを中心に新建ハウジングの三浦祐成編集長が美しくまとめられておりました。流石です。。
洋服に流行がある様に、住宅業界でも流行があります。
元々は和風一辺倒だった日本の住宅は、生活様式の変化と、供給側の多様化(昔は大工しかいなかった、)と共に、西洋風に変わり始め、北欧風、モダン、シンプルモダン、とこれまで変遷を遂げて来て、現在は一通りラインナップが出揃って住まい手の好みで選べる時代になっていると思います。
そんな中、今、というかこれから大きく注目されるであろう流れは、和モダンだと個人的に思っていて、日本人が昔から持ち続けて来た独自の価値観、スタイルが見直されていると感じています。
昨年は『和食』が文化遺産に認定されましたし、世界で一番訪れてみたい都市に京都が選ばれるなど、世界的に日本の伝統文化が見直されている事もありますし、住宅もその流れを汲んでもあながちおかしくありません。
また、住宅とは人にとっての一番身近な環境で有り、元来、日本の家づくりは四季が有り、夏は暑く冬は寒い風土に合わせて受け継がれて来ている事を考えると、環境、それを担保する性能の面でも日本らしい家に立ち返るのは自然な流れと言えると思います。
南に大きな窓を設け、深く軒を出して、夏の陽射しを遮り、冬の太陽の熱を取り込むのはパッシブデザインという西洋式の考え方ではなく、元来日本人が生活の知恵としてカタチにして来たものです。講演でも、座談会でも原点回帰という言葉が何度も聞かれましたし、市場全体を見渡すとまだまだその存在感は小さいですが、今後大きなムーブメントになりそうな予感がしています。
今回のサミットはその予感を確信に変える場だった様に思います。
多くの学びと気付き、そして確信を得る事が出来た有意義な時間となりました。その中でなるほど、と思ったのは『和』の定義について。
横内敏人教授が丁寧に説いてくださいましたが、『和』の定義を辞書で引くと、
大辞林 第三版の解説
わ【和】
① 対立や疎外がなく,集団がまとまっている状態。仲よく,協力しあう気持ち。 「 -を保つ」② 争いをやめること。仲直り。 「 -を結ぶ」③ うまく調和のとれていること。つり合いのとれていること。④〘数〙 二つ以上の数を加えた結果の数。
足し算の文化であり、それを調和する、多様性を認め、異文化を吸収して融合させて行くことで成熟して来た文化とも言える。と今までぼんやりとしか考えていなかった『和』の価値観を見直す機会となりました。
この考えからから見ると、純和風とは、真の『和』の文化ではなく、もっと柔軟に大らかに様々な価値観やスタイルを受け入れることが、その価値観に合って来る、という事になります。
その中で、日本の風土、歴史、伝統、文化の根源的な部分をしっかりと見つめ、守るべきところを守る事が本当の『和のすまい』になるのだと。
この定義付けは腹に落ちました。今までかかっていたモヤが晴れたようなスッキリとした気分になって気持よく帰途につくことが出来ました。
サミットへの参加を熱心にお誘い頂きました日置社長には心から感謝致します。
ありがとうございました!