3月4日 快晴
奈良市・東大寺二月堂では修二会(しゅにえ)(お水取り)の本行が始まっているとのこと。
この行事が済めば、本格的な春の到来、という風に良く言われます。
一足早く今日もポカポカした陽気ですっかり気分は春。(単純すぎますが、)あたたかいってだけで何となく気分がアガってしまいます。(笑)
職人起業塾【第6講】
今日は一日大阪にて、京阪神木造住宅協議会を事業主体とした『職人起業塾』の講座の第6講。
朝10時から夕方の6時半までぎっしりと研修講師を務めました。
私が担当するマーケティング理論のレクチャーも終盤戦に差しかかり、段々と塾生さん達自身の『在り方』や『行動』に焦点を合わして実際の業務におけるアクションにシフトする段階へと進んでいます。今回のテーマは『リスクリバーサルと日本式マーケティング論』と題して講義を行いました。
リスクリバーサル
リスクリバーサルとは『返金保証』をつけて消費者のリスクを消し去る事で購入行動の障壁を下げること、と訳される事が多いですが、私の講座では、もっと根本的なコト、表面化していない潜在的なリスクに向き合う事を勧めています。
具体的には、私達の様な(風が吹けば飛ぶ様な)中小企業の工務店に対して何百万、何千万と言う高額の工事の依頼をする事自体、大きなリスクで有り、顧客はどこかで大丈夫かしら?と心配をしている。その不安に対して正面から向き合い、誠実な説明責任を果たす事でリスクをリバース(逆転)して信頼へと結びつける事が出来る筈、という理論です。
あらゆるスピードが急激に早くなっている現代、資本力がある大手だからといって盤石とは言えません、マクドナルド然り、シャープ然り、東芝然り。
巨額の損失を計上されているニュースを見る度に、一消費者の立場として、大きな会社であるが故のリスクを感じる事も少なくありません。
結局は人。
私達の様な起業してたかだか15年程度の若い会社は脆弱な財務状況、低い資本力しか持ち合わせておりませんが、会社の規模が小さい分、リスク回避も大企業に比べて容易であるというのもまぎれも無い事実でもあります。
そして、やっぱり企業は人なり。経営者を含めてその会社で働く人がキッチリと約束を守り、責任を果たす姿を見せる事が出来れば小さな会社だからヤバいという単純な式には当てはまらないと思うのです。
結局は『在り方』の問題となるのですが、誠実さを持って顧客、自社、ステークホルダーとの良好な関係性を維持するのは至って日本的な考え方であり、近江商人の『三方よし』がとみに有名ですが、共生という価値観は世界に誇る日本の伝統的な価値観です。
今日はそんな事を一日中、塾生の皆さんに熱い口調で語り続けました。
シャープ破綻の根本的原因
そして、そんな日本的な『在り方』が崩れ去ったとき、一時の売上げ、利益は上がるかも知れませんが、持続的な会社の発展は無くなるだろうという事を併せて。
少し前の日経新聞のWeb版にこんな記事がありました。
シャープ追い詰めた「社徳」のなさ
日本を代表する大企業がとうとう外資にその身を委ねたというのは衝撃的なニュースでしたが、その根本的な原因となったのは、企業内に蔓延した『徳の無さ』だと書かれています。
目先の利益に囚われて、今まで取引して来た顧客を蔑ろにする社風を痛烈に批判、『在り方』がマーケティング、いや、商売、仕事全般の根本だと改めて認識を新たにさせられる記事でした。
経営権が外資に移ったのは、経営陣の残留を選択したかったから、とも言われていますが、この根本が正されない限りシャープの再生は無い気がします。
逆に、世界に冠する様な素晴らしい技術、そしてその技術を開発する優秀な人材が揃っているコトを考えると、意識改革を行なう事が出来れば今の苦しい状況から抜け出す事もそんなに困難では無いのかも知れません。
責任を果たすのは拡大ではなく持続
私の様な吹けば飛ぶような小さな会社の、しかも駆け出しの経営者がグローバルに活躍する日本有数の大企業に対して苦言を呈するのは非常におこがましいとは思いますが、企業は売上げの大小ではなく、存続する事でその責任を果たす事が第一義だと考えると、売上げの拡大、利益の最大化を目指し兎にも角にも成長戦略にひた走るシャープを始めとする今の日本の大企業の姿勢、風潮には疑問を感じずには居られません。
私としては、職人起業塾の活動を通して、(神戸の片田舎、地方都市の端っこでチマチマではありますが、)地域の人達と共に、自社はモチロン多くの志を同じくする建築会社さんと共に、小さくても強い会社、長く続く会社を目指して地道な歩みを続けたいと思います。
職人起業塾に御参加、ご賛同頂いております皆様、やっぱり私達が目指すべきは『三方よし』
じみちーに気張って行きましょう!