田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

2016.5.21 快晴

 

薫風香る5月。

五月晴れというにふさわしい爽やかな天気が続きます。
もうそれだけで幸せ、と思ってしまうのは年のせい?でしょうか。(笑)
とにかく、一年で最高の季節、(どこに遊びに行く訳でもありませんが、)楽しみたいと思います。

今日は一日デスクワークの予定。

だったのですが、先日、天王寺の大阪市立美術館まで足を運んだにも拘らず、長蛇の列に負けておずおずと引き下がった書の展覧会『王羲之から空海へ』の終了が明日だという事を思い出し、チケットを持っているだけにこのまま引き下がる訳には行かないと急遽予定を変更、電車の中でもデスクワークぐらい出来る!と自分に言い聞かせながら、リベンジに再度大阪、天王寺に行ってきました。

王羲之の唐の時代まで遡っての名書の数々、そして全国から集められた空海からの日本の名筆の変遷と、古典にどっぷりとハマり、見るだけで字がきれいに書ける様な錯覚に陥ってきました。(笑)

天王寺公園を歩くと最高の天気で薫風を満喫、欲しかった図録も買えたし、行き帰りの電車の中ではキッチリと研修資料のまとめも出来たし、非常に充実した一日となりました。(笑)

本日のおススメ本。

そんな電車オフィス?での作業に目処をつけて、余った時間に読みかけの書籍も読了。非常にいい本だったので、紹介をしておきたいと思います。

少し前に、『里山資本主義』なる本がずいぶんと話題になりました。私も大いに共感し、著者の藻谷氏の講演まで聴きに行く熱の入れようだったのですが、行き詰まりを見せているとしか思えない資本主義経済、グローバリゼーションを根本的に見直す新たな価値観を提示するという意味において同じジャンルの本と言っても良いと思います。

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

 

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

あらすじと著者のコメントはこちら、

内容紹介

どうしてこんなに働かされ続けるのか? なぜ給料が上がらないのか? 自分は何になりたいのか?――人生どん底の著者を田舎に導いたのは、天然菌とマルクスだった。講談社+ミシマ社三島邦弘コラボレーションによる、とても不思議なビジネス書ここに刊行。「この世に存在するものはすべて腐り土に帰る。なのにお金だけは腐らないのはなぜ?」–150年前、カール・マルクスが「資本論」であきらかにした資本主義の病理は、その後なんら改善されないどころかいまや終わりの始まりが。リーマン・ショック以降、世界経済の不全は、ヨーロッパや日本ほか新興国など地球上を覆い尽くした。「この世界のあらたな仕組み」を、岡山駅から2時間以上、蒜山高原の麓の古い街道筋の美しい集落の勝山で、築百年超の古民家に棲む天然酵母と自然栽培の小麦でパンを作るパン職人・渡邉格が実践している。パンを武器に日本の辺境から静かな革命「腐る経済」が始まっている。

【著者・渡邉格(わたなべ いたる)から読者のみなさんに】

まっとうに働いて、はやく一人前になりたい――。回り道して30歳ではじめて社会に出た僕が抱いたのは、ほんのささやかな願いでした。ところが、僕が飛び込んだパンの世界には、多くの矛盾がありました。過酷な長時間労働、添加物を使っているのに「無添加な」パン……。効率や利潤をひたすら追求する資本主義経済のなかで、パン屋で働くパン職人は、経済の矛盾を一身に背負わされていたのです。
僕は妻とふたり、「そうではない」パン屋を営むために、田舎で店を開きました。それから5年半、見えてきたひとつのかたちが、「腐る経済」です。この世でお金だけが「腐らない」。そのお金が、社会と人の暮らしを振り回しています。「職」(労働力)も「食」(商品)も安さばかりが追求され、
その結果、2つの「しょく(職・食)」はどんどんおかしくなっています。そんな社会を、僕らは子どもに残したくはない。僕らは、子どもに残したい社会をつくるために、田舎でパンをつくり、そこから見えてきたことをこの本に記しました。いまの働き方に疑問や矛盾を感じている人に、そして、パンを食べるすべての人に、手にとってもらいたい一冊です。

出典:Amazon商品の説明

 

 

パンと建築の共通点。

マルクスの資本論を引用しながら、現代の西欧型資本主義経済を否定するという切り口が新鮮ではありましたが、経済論としての帰着を見る様な決して経済の本ではなく、あくまでもこだわりのパンを作る、地域に密着したスモールビジネスの紆余曲折、成功体験を通して、自立循環型の暮らし、社会への価値観の転換を喚起する内容になっています。

私としては、著者の方と同じ様に、ものづくりに従事して、地域密着のスモールビジネスを行い、食に対する興味もあり、なにより自立循環型社会を目指しているという共通点が有るだけに、非常に多くの共感をすることが出来ました。作品の中でも、斑鳩工舎の小川棟梁を引き合いに出され、パン作りと建築の共通点を指し示されていたので尚更。(笑)

ま、確かに矛盾や疑問が数多く存在する今の社会をよりよくする為のアプローチの方法論は少し違いますが、それでも尊敬してやまない(私達が農業に取り組むきっかけを下さった)自然農法の第一人者、河名さんにも影響を受けたとも書かれており、仲間意識を持たずにいられませんでした。

 

 

マルクス主義への失望と憧憬。

資本論に書かれていることは、今なお研究され、紐解かれて、理想論として引用されることも少なく有りません。しかし、私としてはソ連、中国、東ヨーロッパと、マルクス主義を掲げた大いなる社会実験は、結局、資本主義経済に呑み込まれ、失敗に終わったのは1つの事実だと思っています。しかし、昨今の世界情勢を見ると、少しのタイムラグが有りましたが、世界の覇者となったアメリカを代表とする資本主義経済もどうやら破綻への道を進んでいる様に感じずにはいられません。要するに、共産主義、社会主義と資本主義のどちらが正しかったかという答えは今も出ていないし、資本主義社会とはいえ、北欧をはじめとする手厚い社会保障を担保する国もあります。富の分配という観点から考えると、両方のバランスを取れている国が住みやすそうにも見えますし、国の未来を作る教育に焦点を当てればその方が未来は明るい様に感じます。
とにかく、どちらか1つを選択しなければならない時代では無くなったということです。

 

 

「地球は有限」という原則。

そもそも、地球の資源は有限であるのに対して、どこまでも経済発展を遂げ続けるのはどだいムリがありますし、日本で言えば少子高齢化が進み、人口減少の局面になってもなお、GDPの成長を必須と考えるのはどうかと思います。

人が減れば消費も減る。経済成長はリセッションに陥るのは致し方ないと受け入れて、ちょうどいい生産、ちょうどいい消費、持続可能な社会と自然環境の保全にシフトして行くことこそが社会の成熟ではないかと思っており、経済成長戦略の為に借金を繰返すのではなく、子供達に託す次の社会への負の遺産をなくすることに注力するべきだと思っています。

 

 

グローバリゼーションの欺瞞。

「世界中がカップリングしているこのグローバル社会でなにを眠たいこといっとんや、」というご意見も有ろうかと思いますが、西欧式資本主義の根幹を成してきたフロンティア思考、植民地政策とあまり変わらない後進国への資本投資で経済成長を促し、利潤を求めることによって人口減少局面の先進国でも経済成長の継続が可能だと論理にはどうもしっくりとしない、というか、絶対にムリが有ると思ってしまいます。人類が皆アメリカ人と同じ成果をすると、地球が4個必要、という試算を発表された学者さんもおられましたし。。
グローバル化で1つに見える世界経済も実際は多様な地域の集合体であることを考えると、個別の地域で持続可能な『ちょうどいい』経済圏を作ることの方が現実的ではないでしょうか。

そんな事を思いつつ、神戸の片田舎で自家製エネルギーで環境に負荷をかけずに住まえる家づくりや、近所の農家さんとコラボして積極的な地産地消、自産自消を提案することが私達に出来る社会貢献ではないかとじみちーな活動を行なっている私にとっては、仲間を見つけた様な、ちょっと嬉しい気分になれた一冊でした。

おススメします!

 

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