2016.8.18 晴れ
昨夜は台湾の最終のフライトで関空に飛んで、神戸港までベイシャトルという連絡船で帰って来るも、(連絡船というには)あまりにも連絡が悪く、結局自宅に辿り着いたのはとっくに日付が変わったあと、、LCCは何かと難しいっす。。
問題解決セミナー@職人起業塾
今朝は朝からスタッフと一緒に姫路へ。【第二期】職人起業塾の第7講の開催日で、川西先生による問題解決講座の1日目、講師は私ではありませんでしたが、問題に対する向き合い方というのは、講座をすすめて行く上で非常に重要な部分でもあるので、塾生さん達の様子を見に伺いに、というか、チョイチョイ口を挟んでしまいましたが。。
問題解決のワークを行なった際、塾生さん同士のディスカッションで常に出る問題に、「人を育てる」という大問題があります。
後輩、同僚、新入社員、子供と対象も様々ではありますが、その問題解決を考えるとき、その人の成長はあくまでその人の問題である、という原則論がつい出て来てしまいます。それはモチロン間違いではありませんが、企業内での人材の育成が本人次第で任せきりという事はあり得ません。経営者であれば、本人のモチベーションをどのようにアゲるか、やる気を起こさせるか、技術や知識を身につけてもらうかを必死になって考えます。
企業は人なり。人材が育たない企業に未来はありません。しかし、中間管理職、役職無しの先輩、同僚と経営側から立場が遠くなるに従って、自分で考え、自分の行動を以て人を育てる事から関心が薄れてきます、確かに役割としても薄まるのである程度しょうがない事ではありますが、それでもワークをする度に「同僚、後輩のスキルアップが問題です。」という声は毎回必ず出てきます。
人は変えれない、変えれるのは自分のみ。
問題とは、理想と現実とのギャップで有り、理想や目標を掲げなければ問題は生まれません。そして人は問題を見ると解決したくなるものであり、その性質こそが人類を発展、繁栄させて来た原動力でもあります。そして、アドラーが言った通り、人間が抱える問題の殆どは人間関係にあり、自分一人では解決出来ない問題に満ちあふれています。結局は、(相手のあることなので)完全に解決出来るかは分かりませんが、それでも問題解決に向けて自分に出来る事に取り組んでみることしか出来ません。
要するに、やるかやらんかのそれだけ、となるのですが、後は自分の問題認識のレベルと優先順位、役割の認識、そして自分の人生をコントロールしようという主体性にかかっています。
職人起業塾に参加されている塾生の皆さんが自社に帰ってリーダーシップを発揮され、簡単ではない問題の解決に取り組んで頂ける事を強く願います。
解決出来れば尚良し!皆さん、いっちょ頑張ってみて下さい。(笑)
教育者の自覚。
後輩、同僚と言えども、人のスキルアップを促す、成長してもらうとはこれはもう立派な教育です。
人は誰しも、一生学び続ける学徒としての立場と共に、人に教える教育者としての立場を同時に併せ持ちます。親となれば尚更、というかモチロンですが。しかし、子供の教育の事はさておき、社会生活においてはなかなか自分の事を教育者だとは認識出来ないもので、「未熟な自分が教育者だなんて、」とつい及び腰になってしまいがち、自分の役割ではないと逃げてしまうことも少なくありません。
しかし、人間1人でできる事はたかだか知れており、周りの協力やサポートがなければ成し得ない事がほとんどです。周りの人の成長を促す事で物事が上手くいく、スムーズに進む、自分自身を含めて全体が良くなると考えれば、他人の成長は他人の問題と単純に割り切って まう訳にも行きません。程度の差はあれ、誰しもが教育者となるべきですし、そんな意識をお互い持つ事で高め合う事が出来ればこんなに素晴らしい関係性はありません。
教育者、吉田松陰。
ここで言うところの教育とは学校で教える勉強とは全く違う社会での実学であり、人間力を高める人間学です。では、教育者となるにはどうすればいいか?と言う難しい問いに対するヒントはやはり先人に学ぶこと、様々な偉人達が思い浮かびますが、私としては、(やっぱり)吉田松陰先生ではないかと思うのです。
(賛否両論、諸説様々有るのは十二分に承知の上で、)チョンマゲに大小の差物を腰に差していた江戸時代に外国からの侵略を受けた後、日本が第二次世界大戦に敗北してアメリカの植民地になるまで、大政奉還、明治維新を経て西欧列強に追いつき追い越せとアジアで唯一、植民地政策の西欧諸国を相手に戦い抜いた事は今の日本が有る大きな礎となっていると思いますし、その源泉は激動の明治維新に多くの人材を輩出した松下村塾であり、戦後71年が経った今の日本の首相は長州出身であることを鑑みても、現代においてもその影響は計り知れません。世界が目を見張った日本の変化と成長は吉田松陰先生の教育に拠る所が大いにあったと思っています。極論すると、今の日本があるのは、松下村塾、吉田松陰先生の教育の賜物ではないかと。
松陰先生の教え。
私達の様な学も無く、危機感も、緊張感も無い戦後生まれの平和ボケ世代の者には松蔭先生の様な教育者を目指すなんてとんでもない事ではありますが、それでも指針や方向性、ヒントを得て学ぶ事は出来る筈、浅はかながらもそのような学びを少しでも活かす事が出来れば誰もが正しい事を正しいと伝える、教育者としての自覚を持つ事が出来るかも知れません。
(私見ですが、)松陰先生の教えは多岐に渡り多くの示唆を残されておりますが、その根源を突き詰めると非常にシンプルです。よく引用されたと言われる有名な孟子の言葉、「至誠にして動かざる者は未だ之れあらざるなり」を基本的な理念とした『一誠』の一語に集約されていると思っています。
歴史小説の作家としては司馬遼太郎と双璧をなす(コレも私見です、笑)山岡荘八の『吉田松陰』には松陰先生の出生前からの生い立ちを追いつつ、精神的、思想的な成り立ちをその背景と共に細やかで丁寧な描写で書かれており、教育者としての吉田松陰像を鮮明に浮き彫りにされています。
■本日のおススメ本山岡荘八『吉田松陰』
https://www.amazon.co.jp/吉田松陰-1-山岡荘八歴史文庫-山岡-荘八/dp/406195072X
以前にもこのブログでご紹介した松陰先生が斬首に処される直前に書残した『留魂録』と一緒に読まれる事を強くおススメします!
以前のブログはこちら→吉田松陰『留魂録』
教える事など出来ない教育者。
その松陰先生は自らを学者とはいえども、教育者と名乗る事は無く、「教えるという様な事は出来ませんが、一緒に勉強しましょう、諸君に勉強する気があれば私もそれで教えられるに違いない」と16歳の入塾したいと申し込んで来た若者に言ったとのこと。
江戸で迎える最期への護送の際にも、「今更何も言う事は無い。われ日に三度、我が身をを振り返る。これからもおなじ事だ。人の為に謀りて忠ならざるか、盟友と交わりて信ならざるか、伝えて習わざるなきか・・・ただそれだけの事じゃ」と語った通り、どこまでも自分自身に対し厳しい姿勢を持って、周りの人、門下生、世間、国に対して『一誠』を貫く事こそ、私達にとっても最も重要な事でないかと思う次第です。
私も、曲がりなりにも私塾を営む者として、決して驕る事なく、塾生諸氏やスタッフ、クライアント等のあらゆる人に学ばせて頂くという誠実さを持って、共に学び合い、共に教え合う関係を築いて行きたいと思います。
最期に、すみれ本社での職人起業塾で引用している松下村塾の士規七則を引用して今一度の戒めとします。ご参考までに。
吉田松陰遺著 士規七則
原文
披繙冊子。嘉言如林。躍躍迫人。顧人不讀。即讀不行。苟讀而行之。則雖千萬世不可得盡。噫復何言。雖然有所知矣。不能不言。人之至情也。古人言諸古。今我言諸今。亦詎傷焉。作士規七則。
- 凡生為人。宜知人所以異於禽獣。蓋人有五倫。而君臣父子為最大。故人之所以為人忠孝為本。
- 凡生皇國。宜知吾所以尊於宇内。蓋皇朝萬葉一統。邦國士大夫世襲禄位。人君養民。以續祖業。臣民忠君。以継父志。君臣一體。忠孝一致。唯吾國為然。
- 士道莫大於義。義因勇行。勇因義長。
- 士賢以質實不欺為要。以巧詐文過為耻。光明正大。皆由是出。
- 人不通古今。不師聖賢。則鄙夫耳。讀書尚友。君子之事。
- 成徳達材。師恩友益居多焉。故君子慎交遊。
- 死而後已四字。言簡而義廣。堅忍果決。確乎不可抜者。舎是無術也。
右士規七則。約為三端。曰立志以為萬事之源。選交以輔仁義之行。讀書以稽聖賢之訓。士苟有得於此。亦可以為成人矣。
書き下し文
冊子を披繙すれば、嘉言林の如く、躍躍として人に迫る。
顧ふに人読まず、即し読むとも行はず、苟くも読みて之を行はば、則ち千万世と雖も得て尽す可からず。
噫、復た何をか言はん。
然りと雖も知る所有りて、言はざること能はざるは、人の至情なり。
古人は諸れを古に言ひ、今我は諸れを今に言ふ、亦た詎ぞ傷まん。
士規七則を作す。
-
凡そ生まれて人たらば、宜しく人の禽獣に異なる所以を知るべし。蓋し人に五倫*1有り、而して君臣父子を最も大なりと為す。故に人の人たる所以は忠孝を本と為す。
-
凡そ皇国に生まれては、宜しく吾が宇内に尊き所以を知るべし。蓋し皇朝は万葉一統にして、邦国の士大夫、世々に禄位を襲ぐ。人君は民を養ひて、以て祖業を続ぎ、臣民は君に忠して父志を継ぐ。君臣一体、忠孝一致たるは、唯だ吾が国のみ然りと為す。
-
士道は義より大なるは莫し。義は勇に因りて行はれ、勇は義に因りて長ず。
-
士道は質実欺かざるを以て要と為し、巧詐文過を以て恥と為す。光明正大、皆な是に由りて出づ。
-
人、古今に通ぜず、聖賢を師とせずんば則ち鄙夫のみ。読書尚友は君子の事なり。
-
盛徳達材、師恩友益多きに居り。故に君子は交遊を慎む。
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死して後已むの四字は言簡にして義広し。堅忍果決、確乎として抜く可からざる者は、是を舎いて術無きなり。
右、士規七則は、約して三端と為す。
曰く、立志を以て万事の源と為し、選友を以て仁義の行を輔け、読書を以て聖人の訓を稽ふ。
士、苟くも此に得る有らば、亦た以て成人たる可し。出典:東洋・西洋の古典書籍
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