Xデザインフォーラム2017@Kyoto

5月27日 快晴 風強し

 

へうげもの美術館から。

今日は京都からスタート、午前中は少し時間があり、(私個人的に)京都で行ってみたいリストベスト10の内の一つ、北山の古田織部美術館に念願かなって行ってきました。日本漫画史に燦然と輝く名作、『へうげもの』の主人公、古田織部が残した織部焼の世界を堪能すべく胸を膨らませて行ってみましたが、思いの外、小さな建物で展示が少ないことに少し落胆してしまいましたが、発掘調査で出土した陶片から京焼と織部焼の関係性を探る展示会はそれはそれで興味深く、勉強になりました。昼からは長岡京に移動して半年に一度、すっかり定期開催となった?第4回目となる職人起業塾@長岡京女子部のワークショップでファシリテーターを務めさせていただきました。今回も非常に盛り上がり、強力な女子パワーに圧倒されました。(笑)その模様はまた後日にアップしたいと思います。

 

 

Xデザインフォーラム2017@Kyoto

昨日はマテリアル京都で開催されたXデザインフォーラムに昼からのワークショップ、夕方からの講演会、その後のビアバッシュにどっぷり参加、”Service design (pattern) workshop”と題されたフォーラムという名にふさわしいハイレベルなワークショップと”Out of box design thinking”をテーマとした日本のHCD(人間中心設計)を引っ張る先駆者の教授達の脳みそが痛くなるような刺激的ではありましたが難解な講演に随分と頭を悩ましました。非常に専門的で難しい内容ではありましたが、教授達が社会学や経済学、心理学の見地から今後のデザインを語られたのはデザイナーではない(理解度の低い)私にしても非常に面白かったので、私のレベルで乱暴にかいつまんだ要点を以下にご紹介しておきたいと思います。

 

 

Service design (pattern) workshop

まず初めに行われたのは参加資格がHCD、UXD中級者以上と括られたハードなworkshopで、私が参加して良いものかと、随分悩みましたが、一応、2016年度のUXD KANSAIの修了証をもらったことだし、と自分に言い聞かせて潜り込むことにしてみました。参加してみると、(私も含めて)中級者のレベルに?がつきそうな方も散見され、ほっと胸を撫で下ろしたり、物足らないような気持ちになったりとちょっと複雑な感じではありましたが、それでもワークショップ自体は内容もさることながらスピード感がハンパなくなるほどと納得させられ非常に勉強になるものでした。

ワークショップの内容はクリストファー・アレクサンダー著『パタン・ランゲージ』にか書かれてあるパターンの原理「すべての設計と建設は、正式に採択されたパターンと呼ばれる計画原理の集合体によって指導される」からグループ内で出したうれしい体験をパターン化して『大人のための学び』と言うメインテーマに対するサービスデザインを考案するというもの。

限られた時間の中でパターンを見出し、そこからテーマに対する解を導いて発表をするのはなかなか厳しく、私が所属したグループでは結局時間内に何らかの結論を出すのが精一杯といった感じになってしまいました。しかし、他のグループの発表を聞いてみるとさすが中級者クラス!と思える素晴らしい発表もあり、レベルの高さ(違い?)を感じさせられることになりました。

 

 

「闘争としてのサービス」

第二部は山内裕氏(京都大学経営管理大学院)と安藤昌也氏(千葉工業大学教授)お二人の講演で、人間中心設計の本来の目的と定義についてもう一度深く掘り下げる対論的な討議が行われました。山内裕氏は「闘争としてのサービス」と言う書籍を上梓され、非常に話題となっており人間中心設計ではなく人間(脱)中心設計と言う新しい概念をその著書の中で発表されました。今回の講演のテーマも「文化をデザインする: 「闘争」としてのサービスの含意」というその著書で展開された概念の説明が中心で非常に楽しみにしておりました。

山内裕氏の講演は人間中心設計の創始者であるノーマンが著した定義の最後に「全く反対のサービスが求められる場合がある」と書かれていることから、人間(脱)中心設計という逆説的な概念こそがこれから求められるサービスデザインだと定義していきなり荒技からスタート。HCDに浅学の私もこれには度肝を抜かれました。大まかな理論構築の要点のみを書き残すと以下の通り。

主客分離から相互主観性へ お互いに相手を理解する相互関係の水準に着目
全ての表現は遂行性を含む
これまでのマーケティングは主客分離の前提に立ってきた。
寿司屋の大将は客を試す
サービスの弁証法 顧客を満足させようとすると客は満足しなくなる。

 

 

デザイナーはアーティストへ?

よく耳にする考え方ですが、デザインに限らずサービスにしても市場に出たものは全て陳腐化してしまうのは今の時代、確実でしかも急激にスピードが加速しています。そのように考えると確かに陳腐化しない(していない)価値の源泉は市場の外にしかないとも言えるわけで、今後、デザイナーがデザインするべきは文化であり、これまでの延長線上には全くないということです。

山内裕氏は資本主義社会での成功は文化の世界では失敗だと断言されておりましたが、私としてはアーティストとデザイナーの違いは商業ベースの世界の内外の立ち位置の違いと考えておりました。しかし、今後はそのような生ぬるいものではなく常に社会を批判してきた文化のレベルでサービスデザインに取り組むべきだという論調は確かに『闘争』の域に踏み込むことなのだと感じました。残念ながら、このレベルになると私にはさっぱり関係のない世界に思えてしまい、何らビジネスに生かすヒントをもらえることはなく、面白い話を聞かせてもらえました。という着地になってしまったのは悲しかったですが、そこは浅学と職種の違いとして受け入れることにしておきました。(笑)

 

 

HCDの誤解

二人目に登壇された安藤昌也氏(千葉工業大学教授)の講演は山内裕氏の逆説的なHCDの定義をISO基準の観点から見直し、その中のユーザーのニーズの定義は広範でありステークホルダーも含む利用状況の設計が必要であることを起点にHCDの誤解(ユーザーが要求するニーズに応えることが人間中心設計だ)を解くことで山内裕氏が提唱された人間(脱)中心設計がこれまでの人間中心設計の概念、定義とそんなに大きく変わらないこと?志は同じであることの説明に多くの時間を割かれましたが、正直、定義を深く掘りまくり解釈を広げる的な学術的なお話は私にはよくわかりませんでした。(苦笑)
ただ、印象に残った「お客さんが言っているので作りますではダメ」という言葉を聞くと、そもそもHCDの考え方に(大げさにいうと)闘争する姿勢がなくもないのだと少しばかり納得したような、、

私個人的には講演のテーマだった「利他的UXデザイン(仮)」の実際の事例を延々と紹介してもらえた方がよかったなー、なんて思いましたが、UXD/UXの中級者以上が集まったフォーラムで学者さんが登壇されるというのはやっぱり概念的な話が多くなるのは致し方ないというか、こうゆうのが重要なのでしょう。きっと。

 

 

まとめになってないけど、まとめ。

以上、ここまで自分自身への備忘録も兼ねてXデザインフォーラム@京都での学びをレポート風にまとめてみました。今回得られた学びをまとめてみると、ハイレベルな議論をたたかわされたサービスデザインのこれからの方向性や指向性はさておき(←この時点で全然ダメですが、、笑)これまでも度々行ってきましたが、定義の見直し、深堀することの重要性を再確認出来たことではないかと思います。頑固オヤジのいる高級寿司店の様に既に世の中に確立され、権威があるサービスがその他の一般的なサービスの概念や定義から大きく外れているいるが存在しているのは確かで、相反する二つが同じサービスの分野で両立している時にその整合性もしくは特異性を確認するための調査や思考を巡らしてみることで新たなサービス、デザイン、ビジネスのヒントを得られることがあるというのは非常に面白いと感じましたし、今まで私が持っていなかった観点でもあります。
知らない世界に飛び込んでみるのは刺激的で面白いし、何かしら為になるものです。(笑)

美味しいコーヒーが飲める会場、goodでした。(^ ^) 

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