8月11日晴れ
Only long drive
今日はしまなみ海道の今治側、自転車乗りの聖地がある島で知られる大三島に向かっています。
ひょんなきっかけで明日からそこで開催される古民家再生のワークショップの大工講師をすることになり、準備と段取りのための前乗りで車に道具を積み込んで(ついでに自転車も)帰省ラッシュでの渋滞を避けながら高速道路西へと車を飛ばしました。
実際は、飛ばしたと言うよりは渋滞に捕まって長時間のノロノロ運転。3時間で到着する予定が6時間もかかってしまう一人っきりのロングドライブとなりました。日本人の民族大移動、侮ってました。(苦笑)
ドラッカー博士の予言
昨日事務所の倉庫で今日の準備をしているとスタッフの連中に「また何か社長がおかしなことをやりだした、」みたいな目で見られてました。昨日のブログにも工務店の無価値化と言うタイトルで書きましたが、私としては今後の事業展開を考えたときに今回の取り組みは非常に重要な試みだと思っています。あらゆるものが陳腐化していくとドラッカー博士はその著書に書かれておりましたが、陳腐化のスピードが速くなればなるほど私たちは新しいチャレンジに取り組まなければならなくて、それができなければあっという間に時代に取り残され、現状維持もままならない状態に陥ると思っているからです。
止まるとこける自転車のように
IT革命、情報革命はこれまでの時間に対する概念がガラッと変わってしまうほどのスピード化を(良きも悪きも含めて)私たちにもたらしました。そのことに冷静に目を向けると、それはつまり、これまで成り立ってきた事業モデルがあっという間に陳腐化してしまうことを示唆しています。「現状維持は緩やかな破滅への道」とよく言われますが、自転車をこぎ続けなければバランスを崩してしまうように、私たちも必死になって新たなことにチャレンジし続けてやっと現状維持ができる世の中になったのではないかと思っています。
ヒントは異業種にあり。
とは言え、闇雲になんでもかんでも新しいことにチャレンジすれば良いというわけでは無いのは自明の理。時代の流れを読んで、ユーザのニーズを吸い上げマーケットに求められているものを提供する取り組みを考えなければなりません。そのために情報収集のアンテナを高くはりめぐらせて業界内外の研修会やセミナーに積極的に足しげく通ったりしているわけですが、正直に言うとこれまでうまくいってきた同業者の成功事例を聞いても未来に対してのアプローチのヒントはなかなか得ることができません。そんな思いから近年は建築とは全く関係ない異業種の方が集まる勉強会に参加することが主になっています。
マーケティングのその先
そんな私のアンテナに引っかかったのは昨年から今年にかけて2年続けて研修に参加しているUXデザインを学ぶUX KANSAIのコミュニティーです。参加されている方は1部上場企業のプロダクトデザイナーや、ウェブプロデューサー、グラフィックデザイナーの(しかも若い人ばかり、)集まりに飛び込んで場違い感満載でしたが、運営メンバーの皆さん、講師の浅野先生にもファーストペンギンだね、とお声掛けをいただいたりと暖かく迎えていただきました。この研修に参加して、ユーザー経験から新たなサービスデザインを生み出すという考え方は非常に勉強になりましたし、1年と少し学び続けてみて今後の事業モデルを考える上で不可欠な思考、マーケティングの次のステップの考え方を身に付けることができる場だと強く感じています。
リアルすぎる実践型研修。
そんなUX KANSAI の前期の課題がしまなみ海道の企業の事業モデルの再構築でして、私が所属していたチームでは限界集落になりつつある島に散在する古民家を再生してビジネスユースに耐えるようなゲストハウスに生まれ変わらせ、自転車の聖地として訪れる観光客だけではなく企業研修や合宿など年中通して集客を見込める施設で田舎暮らし、リモートワークの疑似体験を提供できるサービスを考案しました。今回、私がDIYのお手伝いにすることになった古民家再生のリノベーションは、実はUX KANSASIで私たちが考案したビジネスプランの提案を(サンプル企業ではなく、運営メンバーの方ですが)採用していただいたもので、自分たちが研修のワークショップの中で考えたモデルがリアルなビジネスとして実現すると言うことで俄然張り切っている次第です。(笑)
陳腐化から生まれる新たな体験
考えてもみれば不思議な展開というか面白いご縁がつながっての今回のしまなみ海道行ですが、これも事態の急激な変化を感じ取って事業の先行きに危機感を持ち、アンテナを張り巡らせてこれぞと思ったところには躊躇なく飛び込んできたこれまでの自分の行動パタンを鑑みるとある意味自然な成り行きのような気もします。
15年前にコーチングを受け始めたこと、その後マーケティングの勉強会に通い続けたこと、それらの学びを実際の社業に落とし込み変化と実践を繰り返してきたことの土壌があってこそ、これまで何とか事業を継続することができたのだと思います。それも陳腐化したものと新たな取り組みのバランスがあってこそだと思うのです。とにかく明日からの二日間は1人の大工に立ち戻って、現場でのものづくりの楽しさを目一杯感じながら、自分たちができるサービス、提供できる体験を見つめ直して新しい事業のヒントを掴んで帰りたいと思います。
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