11月30日 曇り
アウトプットは最高の学び。
昨日は長野からの客人、ジェルコ長野支部の方々と情報交換会の後、懇親会、2次会と遅くまで盛り上がり、建築業界、リフォーム業界の未来について熱く語り合う楽しい時間を過ごさせて頂きました。私が考える建築業界のこれから進むべき道、激しく変化する時代の流れに対応し、持続していくために若者に支持されるようなものづくり企業へと変容を遂げるべく行うべきこと、その考え方について随分と熱心にお話を聞いていただくことができました。アウトプットは最高の学び、私もいい機会を頂けて大変勉強になりました。遠路はるばるお越し頂いたジェルコ長野ブロックの皆様、ありがとうございました。
悲しい背景。
私が提唱する職人的マーケティング論、実践的マネジメントの考え方について、ブロック長の山崎社長も職人出身と言うこと手伝ってか皆様には非常に共感していただくことができました。とてもいい機会をいただきましたので、以下にその理論の根っこの部分だけを書き記しておきたいと思います。
まず背景としては、私たちが生業として建築業は斜陽産業である、という悲しい事実があります。その理由は言わずもがなではありますが、これからの日本が世界で誰も経験したことのない、そして人類の歴史でも初めての自然人口減少という局面に入り超少子高齢化、世帯数の激減が近い未来に来ることが予測(というよりはほぼ確定している)されるからで、これは建築業界だけにとどまらず、国内産業の全てに大きな影響を及ぼしますが、戦後の焼け野原からの復興、ベビーブームから続いて来たこれまで需要が伸び続けた住宅業界には既に有り余るほど大小様々な業者がひしめき合っており、これから厳しい淘汰と統合の時代を迎えます。今は消費税増税前で市場は活況となっていますが、中長期的な目で見るとまさに、現状維持は緩やかな破滅への道を進む業界なのです。
街の工務店の存在理由。
そんな淘汰と統合の時代に私たちのような中小零細企業はどうすればいいのか?という問いに私が明確に持っている答えは、生き残らねばならない、飲み込まれてはならない。です。それは、住宅産業というものは地域に根ざしてそこに住む住民の住まいの安心を担保する重要な役割を担っているからです。マーケットの縮小に伴って潤沢な資金と優秀な人材を抱える大手住宅メーカーはプロモーション、販促を強めるでしょうし、同じ土俵で戦っても私たちに勝ち目はありません。しかし、家づくりには実際に工事をする職人が必要で、その育成を行えるのは現場での経験則を持つ私たちだけです。株主への利益を重視する大企業にそのノウハウも意思も無いのが現実で、私たちのような地域密着の工務店が大手に飲み込まれて絶滅するのは職人を育てる機関が消え失せることを意味します。それは最終的に建築業界全体が立ち行かなくなることを意味します。
地域のインフラとしての工務店。
若い職人の育成には時間と費用がかかります。すみれでは毎年のように新卒の若者を採用してゼロからの育成に取り組んでおりますが、はっきり言って学校を卒業仕立てのボウズが入社したからと言って全く売り上げには寄与しませんし、言ってしまえば固定のコストがかかるだけです。それでも大工と言う仕事は体が動き目が見える間にしかできない仕事で、次の世代の職人を育てなければ将来はすぐに詰まってしまいます。確かに新築の着工数は減少し世帯数も少なくなるでしょうが繰り返しやってくる台風や地震に対する備えを含め住宅の維持管理を担う使命を私たち地域の工務店は担っています。持続して存在し続ける責任があると思うのです。
失敗という事実に目を向ける。
これからやってくる厳しい淘汰の時代に生き残り、事業を維持継続するためにやらねばならないことが山ほどあります。今現在、足元の売り上げがなくなると経営はすぐに破綻してしまいます。そんな中でも短期の利益に囚われることなく、未来に向けて生き残れる、存続し続ける状態を作り上げる取り組みも足元のタスクと並行して進めるべくもう少し大きな、長い視点を持って自立循環型の事業モデル構築を標榜すべきで、職人の育成はその非常に重要な1つだと思うのです。そして、こんな理屈はこの業界に携わる人なら誰しもが分かっていることであり、これまでも事業所も国も何もしてもなかったわけではありません。国家プロジェクトと銘打たれた「大工育成塾」もその一つで、13年の長きに渡って若者の職人への入職を促す取り組みを続けてきました。しかし、残念ながら若者の建築業離れは加速する一方なのが現実でその事実を真摯に受け止めなければ改善することはないと思うのです。
職人は道具ではない。
現在、若年層(二十歳以下)の大工見習いは全国で二千人を切ったと言われています。それはほぼいないのと同じで、この現状を打開するには目先の対応ではなく根本的なアプローチが必要だと考えます。一言にまとめると、職人を若者が憧れる職業にすることであり、その為に必要なことは他の業種に比べても見劣りしない環境とやりがい、そして将来への希望を持てるキャリアプランを提示することではないでしょうか。これまでの(今も!)大工育成のプロジェクトは若者に技術と経験を身につけさせることにのみ焦点を合わして早く現場で活躍できるようにと教育することに特化してきました。しかし、職人は道具ではありません。もっと根本的に、なんのために働くのか、一生懸命に汗を流した先にどんなものを得れるのか、職人として生きることの意義と意味を考えて未来を標榜できる概念を学び、身につけさせるべきだと思うのです。
未来は今と同じくらい大切。
「概念を持ち、実戦で裏打ちすることが知恵になり、哲学になる」という出光佐三氏の言葉は、ただ、がんばれがんばれを繰り返して目の前のことのみに執着する経験バカを作るのではなく、誇りを持って働ける人材育成の根本理論の方向を指し示すものだと思います。若者に憧れられる職人とは哲学を持って確かな仕事をやり遂げ、顧客に喜ばれ、絶対的な信頼を集めることでがっちりと稼いで豊かな暮らしを手にする人だと思いますし、これから職人を目指す若者にはその全体像を学ばせることが不可欠だと思うのです。これが私が職人にマーケティングの基礎理論を伝えている理由であり、これから深刻になる職人不足を根本から解決する、地域の工務店が自立循環型モデルを構築するアプローチだと考えています。地道で地味で時間がかかり、目先は全く儲からない理論と実践ですが、「今」と同じくらい「未来」を大切に思えばこそ、取り組みを加速させて行きたいと思います。
今日のアタリマエ
- 職人を育成できるのは地域の中小事業者のみ
- 技術習得に特化した人材育成は失敗を続けてきた
- 職人は道具ではない
- 安心して働けるやりがいのある職業にしか若者は興味を示さない
- 稼げる理論を身につけ将来の展望が開ければやりがいは生まれる
- 未来は今を起点としているが、過去の延長線上にはない。
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