平成30年7月21日 快晴
ご安全に。
殺人的に暑い日が続きます。風の噂によると明石では大工さんが熱中症で亡くなったとのこと、屋根屋さんも次々病院に搬送されたり、足の裏を火傷したりとまさに殺人的。建築現場作業に勤しむ人には厳しい季節となりましたが、小まめな水分補給と休憩を心がけて、体調管理にはくれぐれも留意して貰いたいと思います。それにしても、炎天下の屋根仕舞の苦しさは私もよく知っており、野地板を張りながら「死ぬな、」と思った事は何度もありますが、発表される気温が40度近く、しかも連日となったのは記憶にありません。屋根の上だけではなく、空調設備がないどころではなく足場とシートに囲まれて風も通らない建築現場の中で身体を動かす過酷さを思うと心配になってきます。皆様、ご安全に。
家づくりを始めるにあたっての4つの提言。
今日は午前中、新築を計画中の方にご来店頂き、私も初回面談に立ち会わせて頂きました。設計・プランニングには殆ど口を挟む事は無いのですが、はじめに家づくり全体の計画についてのお話をさせて頂くようにしておりまして、今日もご来店頂いたお客様の疑問、質問に答えると共に私の話も熱心に聞いて頂きました。いつもお話をさせてもらっているのは、大きく4つの考え方で、話を聞いて頂いた方は全員が全員、知らなかった、聞かせてもらって良かったと言って下さいます。ただ、全く家のデザインや間取りの話はしないので物足りないと思われる方もおられるようですが、私にとっては「住宅の取得は単なる手段であり目的ではない」というのが基本姿勢であり、(弊社にご依頼頂かなくても)絶対に後悔して貰いたくないという想いで熱く語っています。その4つの考え方とはこちら。
1.住宅取得の目的と最低限の知識を身につける事
2.家族の幸せから逆算する住宅取得計画の立て方
3.性能とは暮らしを豊かにする方法
4.地元産の木材を使う意義とメリット、デメリット
いい機会なのでここでも簡単に説明を書き残しておきたいと思います。
1.住宅取得の目的と最低限の知識を身につける事
上記にも書き記しましたが、住宅の取得は単なる手段であり目的には絶対になり得ません。私たち建築会社はその手段をお手伝いするという事を良く理解して設計・施工の計画を立てるべきで、お客様も工事ではなく「その後の暮らし」を鮮明にイメージして土地・建物の購入先や依頼先をチョイスして貰いたいと思っています。特に、高額な費用を住宅ローンを組んで長年に渡り支払い続ける場合は、ローンの支払いが生活を圧迫するようなことには絶対にならないような計画を立てる事をお勧めしています。その為に、最低限の知識を身につけて貰いたいと、銀行や不動産会社では絶対にレクチャーされることがない住宅ローンの金利の仕組みを説明させてもらうようにしており、万が一、金利が上昇した時のリスクを理解して頂くようにしています。具体的には現在の超低金利時代に住宅ローンを「元利均一」で融資を受けると、元金の返済が多く、利子は知れていますが、1%〜2%金利が上昇するとそれは逆転してしまいます。そして、返済金額が上昇するのですが、殆どの銀行では上昇率は1.25倍までと規定されており、そこからはみ出した上昇分については元金返済を減少して処理されます。結果、返済期間が完了したと思った時に多額の未払金が残り、一括返済を銀行に迫られることになったりします。住宅ローンの仕組みをまず理解して、融資の契約を結ばないととんでもない悲劇が待ち受けていたりするのです。
2.家族の幸せから逆算する住宅取得計画の立て方
今までの私の経験則からすると、住宅取得にかける費用を算出するのに綿密な計画から割り出しておられる方は稀で、殆どの人が感覚的に「これくらいなら大丈夫だろう」という感じで土地建物の購入費用を決めておられるように見受けられます。しかし、生命保険に入ってまで高額の借金を背負い購入する大きな買い物なのですから、ここは少し慎重に検討して、絶対に後悔しない計画をたてるべきだと思います。私が提案するのは「家族が幸せになる状態」から逆算して住宅取得の計画を立てると言うことです。要は、綿密なライフプラン(=人生計画)を作成し、子供の成長に伴う教育費や結婚にかかる資金、家族で過ごす余暇、車の買い替えや趣味に費やす費用、そして老後資金等を所得と共に整理して、安心して暮らせる貯蓄ができる範囲内で月々いくらなら住宅費用に充てれるかを算出してもらうようにしています。ご自身でなかなかまとめきれない場合は信頼できるライフプランナーをご紹介したりもして、まずは自分自身で毎月の費用を決めてそこから自己資金と合わせて住宅ローンの選択をお手伝いしています。この範囲の金額なら間違いない!と思える家づくりの計画を立てることが重要だと思うのです。
3.性能とは暮らしを豊かにする方法
前項ではライフプランを根拠にして毎月捻出できる住宅費用を明らかにすべきと書きましたが、これは住宅という高額商品の購入ではイニシャルコスト(初期費用)に目が行きがちですが、実は住宅ローンで毎月払い続けるランニングコストであるという意味を含んでいます。例えば、同じ3000万円で住宅を建てたとしても金利が1%の固定金利なら35年ローンの支払い総額は3,557 万円ですが、2%になると4,174 万円に、もし3%になると4,850 万円と1300万円もの違いが生まれます。ほんに金利って怖いもので、ローンの商品、タイプを間違うだけでひと財産失う可能性があります。また、近年やっとスタンダードになりつつある高断熱高気密の省エネ性能についても同じことが言える訳で、月々6000円(初期投資で200万円)増額してZEH(ゼロエネルギーハウス)仕様にしておくと光熱費がゼロになり、35年の収支を勘案すると大きく総支払い費用を軽減させる事が可能です。その他にも、住宅の取得時に団体信用保険に加入する分、生命保険との重複分を見直すなど、ランニングコストをトータルで計画する事で暮らしを豊かにする事ができるはずです。
4.地元産の木材を使う意義とメリット、デメリット
最後にいつもお伝えするのは、住宅とは地域に根ざすものであり、地域との共生無くしてはあり得ないという事で、それは私たち地場工務店と言われる地域に根ざした事業所も立場を同じくするという事です。上述のようなやもすれば建築費用を抑える事になる提案を行うのも、大手ハウスメーカー、ビルダーの様などんどん新規客を集めて売り切りの商売ではなく、地域のお客様との長いおつきあいの中で生業を立てているからで、お客様が安心して余裕のある暮らしをされる事は私たちにとってもメリットとなるからに他なりません。その立場をご理解頂いた上で、金額的なメリットは無いですが、地元産の木材での家づくりで、森を守り、地域を盛り上げる活動にご協力をお願いしています。もちろん、個人住宅を建てるお客様には全く興味が無い事なので、兵庫県産材を使用した際に受けられるメリットとして、日本で最も低金利の長期固定ローン「兵庫県産材特別ローン」を利用できることと、国土交通省から出される「地域型住宅グリーン化事業」の補助金を活用できる可能性をお伝えしています。循環型の持続可能な地域、社会に少しでも近づける様にと地道な努力を重ねている次第で、今日も「兵庫県産材特別ローン」にはご興味を頂けた様で、ご理解くださる方にご縁を頂ける事に感謝するばかりです。
耐震は?
その他にも電磁波環境の改善や自社大工による施工と10年以上も続けているスタッフブログによるリアルな情報公開など、様々なお話をさせて頂きましたが、そんな初回面談の終わりに差し掛かり、「最後に一つ聞いてみたい事が、」と申し出があったのは耐震性能について。先日、大阪での地震もあり、南海トラフのリスクが年々高まると言われる中、やはり建物の強さが気になられる様で、耐震等級の基準についてどの様に考えているか聞いてみたいとの事でした。すみれの新築の標準規格では耐震等級2以上としておりますが、現在は全棟、許容応力度計算(構造計算)を行う様にしており、4号建築物の特例を使って構造計算をしない耐震等級3よりも信頼度は高い事、そして神戸で震災を身近に体験した建築屋として直下型地震には耐震等級をいくら高めても(ビルがバタバタ倒れましたから、、)倒壊の可能性を消す事が出来ない旨をご説明させて頂きました。実際は間取りや窓の配置を計画し出してから、耐力壁の量と配置で構造強度と使いやすさやデザインのせめぎ合いに悩む事になるのですが、それはまた後のこと。理論については大まかにはご理解頂けたのではないかと思います。Tさま、本日は朝早くから、また暑い中お越しいただきましてありがとうございました。引き続きお付き合い頂けましたら幸いです。
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