ジャパンスピリットとTED

平成30年11月5日 晴れ

草刈り機の進化に思う。

月曜日は大体、着工の日。と言うことで今朝も朝一番に事務所を飛び出して定期的に剪定をしているクライアントのお宅に向かいました。ま、作業は植木職人さんにお任せで、顔を出した程度のことですが、久しぶりに剪定の現場に立ち会うと見慣れない草刈機の先端工具を見つけて興味津々、なんと草刈機に刃がついておらず、ビニールワイヤーがヒョロリとついているだけで、草程度ならチップソーのような大層な刃物がついていなくても遠心力の力でワイヤーで刈れるとのこと、小さなことですが以前から住宅の庭を刈るのに床や建物に傷をつけまいと細心の注意を払っていたのが、際まで気にせずにストレスなく刈り取れるのは非常に素晴らしいアイデアで、テクノロジーの進化というには大げさかもですが、植木職人さんによるとこの工具のおかげで随分と作業効率は良くなったとのこと。しかし問題は、作業が早く済むようになってもその分職人さんの稼ぎが良くなるかと言うと一概にそうとは言えないところで、一体誰のための技術革新なのかと疑問を感じてしまいました。

アイデアとテクノロジーがもたらすべきもの。

私たちはもっとアイデアやテクノロジーの進化でそれを使う人が幸せになる根本的な問題解決を目指さなければならないと思います。植木屋さんとの話にも出ましたが、鉄筋工の作業が圧倒的に速くなる結束機なる自動で鉄筋と鉄筋を結束する機会が発明され、近年ずいぶんと普及してきました。土間の配筋の結束などで大活躍しており、結束に終了する時間は3分の1位になったのではないかと思いますが、その分鉄筋工の稼ぎが良くなったかと言うと一概にそうとも言えず、元請けからの工期短縮のオーダーに応えるために高い機械を買い、早く作業が終わるようになった分、工数で計算される労働集約型の職人は結局同じ日当をもらっていることになっていると耳にします。高い品質を低価格で提供したいと言うのは我々事業者にとっては常に目指すべき、考えるべきことですが、誰かの犠牲の上に立っての低価格高品質はあってはならないと思っています。

目指すべき「三法よし」の世界。

近江商人を始めとする日本人が持っている商売感として「さんぽうよし」と言う概念があります。日本的経営の根本とも位置づけられる、「売り手よし、買い手よし、世間よし」と言う考え方は成熟していく世界経済において不可欠な持続可能な社会を形作るための自立循環型のエコシステムであり、より良い環境を次世代に残すためにわれわれはその考え方をビジネスに落とし込み、実践しなければならないと思っています。しかし、近年アメリカを始めとする保護主義の台頭と蔓延とともに資本主義社会に身を置いている私たちは厳しい弱肉強食の資本主義経済の中で勝ち残って行かなければならず、「きれいごとだけじゃ飯は食えない」と言う、「今だけ、金だけ、自分だけ」と言う人として最低の価値観に陥ってしまいがちなのも現実です。そうならないためには、足元のビジネスに直結することばかりではなく、もう少し社会全体を俯瞰できる広い視野をもって実業以外のことを学ぶ必要がある、学びの場に足を運ぶ必要があるのではないかと思っています。

刺激と学びの週末。

そんな意味からすると、先週末は非常に大きな学びと刺激を得る時間になりました。土曜日は昼からUXデザインを学ぶエックスデザイン学校大阪分校に顔を出して、私が勝手に師匠と崇めている浅野先生の講座のイントロダクションを聞き、そのまま東京へと移動。一般社団法人職人起業塾の15回6ヶ月コースのカリキュラムに絶大なご協力をいただいている小田全宏先生の還暦祝いのパーティーと長い期間をかけて小田先生が執筆されている日本人の心を明らかにし、学び直す著書、ジャパンスピリットを実践して広める会の発足にあたっての基調講演に参加して、小田全宏先生の熱い気持ちを瞼と心に焼き付けました。歴史を学ぶ意味は、「感謝」「誇り」「誓い」だと悠久の歴史を刻み続けてきた日本の先人たちの思想や行動を今一度、襟を正して学ぶべきと言われた小田先生の提言には諸手を挙げて賛同するとともに、曲がりなりにも私塾を主宰する身として、目指すべき方向性を明確に示されたように感じた次第です。

TEDx Kyotoでのご縁。

翌日の日曜日は京都に移動して毎年楽しみにしているTEDx Kyotoに参加、総勢15名のスピーカーによる世界を良くするためのtechnology、entertainment、designにまつわるアイディアやパフォーマンスをエンターテイメントとして楽しみました。京都駅から会場である国際会議場への道すがら、一昨年のTEDx Kyotoの登壇者であり、私たちが主催する自主上映会で映画の配給と講演をしてもらった上に、その当時私が取り組んでいたクラウドファンディングにも大いにご協力くださった、女流映画プロデューサーの益田さんとばったり出会い、相変わらずすごいパワーを発散してる姿を見て会場に着く前からテンションを上げるとともに、再会を喜びました。すごく嬉しい提案をいただけたことも併せて、ご縁に心から感謝します。

balance &Unbalance

今回のTEDx Kyotoテーマは“balance”となっており、トークだけではなく音楽でも調和をテーマとしたパフォーマンスが繰り広げられました。どのパフォーマーも非常に素晴らしかったので、ぜひともYouTubeに配信される動画を見ていただければと思います。私が今回のTEDx Kyotoへの参加で強く印象に残っているワードは「ソーシャルネットワーク」「コンプレックス」です。この世界の片隅に」と言う呉市を舞台にした名作漫画が原作のテレビドラマが前クールで放映されていましたが、誰もがこの広い世界にとってちっぽけな存在だと言う事実を目の当たりにする瞬間というのはあると思っていて、どこか自分の限界を知るというか無力感を感じる部分は持っていると思っています。世界がインターネットでつながりカップリングして1つの経済圏になりつつある今、個としてのちっぽけさが余計でも感じられる人の存在と、ソーシャルネットワークで誰もが簡単に世界とつながり、その存在を発信できるのは絶妙かつすばらしいバランスをもたらしてくれたのではないかと思うのです。

想いは伝わる、むしろ届きやすくなった。

「ダンスで世界中の子供達を笑顔にしたい、」「日常の社会にライフセービングと言う考えを浸透させたい、」「障害と言われるバリアをバリューに変えて誰もが暮らしやすい世の中を作りたい、」「医療の届かない紛争地域で苦しむ人を笑顔にしたい、」等々、どれも素晴らしい志と内なる想いを実現されたスピーカーの人たちは、もともとは私たちと何ら変わらないコンプレックスに囚われたちっぽけな存在であり、そのプレゼンテーションの中で、私たちも人生の中で感じた不条理や蹉跌、やり場のない憤りを解消したいと言う思いをまずは言葉に変えて口にして、志を掲げて、小さな一歩を踏み出すことで世界のバランスに影響を与えることができる可能性を繰り返し示唆されていました。バランスはアンバランスと表裏一体、バランスが崩れているからこそ、バランスを取る価値があるし、美しすぎるバランスは次のアンバランスを生み出す。私たちの心の中に芽生えるアンバランスこそが社会や世界の調和に少しでも寄与出来る、そんな勇気をもらえる素晴らしい経験となりました。外に出て、刺激を受ける機会を持つことが、悪いバランスを崩す第一歩なのだと思います。以下は自分自身の備忘録のためにグラレコの画像あげておきます、ご参考までに。(笑)

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