今日は朝から名古屋へと向かいました。
リニモなる、(多分)リニアモーターに乗って長久手古戦場という由緒正しそうな駅近くにあるすみれ飲食事業部が加盟するチェーン店のお店にて全国のメンバーが一同に会しての新年会でした。
私は一飲食店の経営者として、メンバーの一員として参加したのと同時に殆ど全店の店舗改装のお手伝いをさせて頂いた建築会社の代表として、一人二役で参加させて頂きました。
北は山形県から南は鹿児島県まで、全国に散らばるクライアントとお会い出来る数少ない機会という事で、ご無沙汰しています、という挨拶からずいぶんたくさんの方とお話をさせて頂く事が出来てとてもいい時間を過ごす事が出来ました、皆さんありがとうございました。
「変わってますよねー、」
って良く言われますが、たしかに神戸の片田舎で地域密着の地道な営業を続けている工務店が全国各地で店舗改装の設計・施工に関わっていることって、確かになんか不思議な気がします。
しかもその数は60店舗を越え、今年も不景気なんて何のその、十数店舗の出店計画があるとの事でした。
クライアントの明るく希望に満ちたビジョンを聞きながら、未だに衰える事の無いパワーに満ちたそのチェーン店の設計・施工を一手に任されている者として気が引き締る思いでした。
皆様、引き続き宜しくお願い致します。
さて、お題目は今から13年程前の事へと遡ります。
私がまだ大工の職人として現場でバリバリと働いていた頃でして、現場の仕事を終えるとしょっちゅう若衆を連れて一杯飲みに近所のお店に行っていました。
ま、完全なガテン系ですので、仕事の終わりはビールの始まり、といった頃の話です。(笑)
その頃、事務所(って自宅の一室でしたが、)からすぐ近くに新しい焼き鳥屋さんが出来てとても気に入って良く通っておりました。
『やれることならなんでもします。』
というのがキャッチコピーのとても勢いのある美味しい焼き鳥屋さんでした。
ある時、頻繁に通っていたその焼き鳥屋さんの大将が、突然、神妙な顔をして
「話があるねんけど、」と切り出されました、
「なんですか?」と、ちょっといい感じでビールを飲み干した後の私は上機嫌。
「これから全国展開して何十店舗ものフランチャイズチェーンの店を出店したいねんけど、手伝ってくれへん?」
とのこと。
「大吉の社長の本を読んだら、チェーン展開をするなら工務店と組まなあかんって書いとったから」
まずは工事屋さんから、という事だったようでした。
私はというと少しキョトンとしてしまいましたが、(笑)その大将の眼差しは真剣そのもの。
その顔つきを見て、(いまは確かにオープンして間もない大将と女将さんでやっているような小さなお店ではありますが、)この大将は本気だなーって分かりました。
「分かりました、手伝わせて頂きます。」
と、即答の私。
「今は若衆2人とやっているだけのただの大工なので全国でお店を作るのは出来ませんが、チェーン展開が始まるまでには準備して出来るようになります。」
と、ビールの勢いもあって少し大きく出ておきました。(笑)
それからしばらくして、そのお店は神戸に2号店、3号店、と増えて行き何年後かに京都にチェーン1号店を出店したのを皮切りに一気に全国に出店を重ねる事になったのです。
その大将が全国に出店を重ねて行くのと同じように私たちも職人の数を増やし、設計の担当者をつけて共に成長させて頂いて来たのです。
今までの十数年間の間にいろいろな事があり、その度に一つ一つ真摯に誠実に向き合って来た結果、今こうして全国の加盟店さんの工事を全て引き受けさせて頂く事になったのだと思います。
今日の新年会で、その大将(今は社長ですね、、)が言って下さったのは、
「実際、今まですみれさんの事を疑った訳ではないが、もっと安いところが無いか探してみたり、相見積もりもずいぶんとって比べて来たが、結局答えはすみれさんが一番だという事でした、スミマセンでした、」
とのお言葉でした。(涙)
今までコツコツと積み上げて来た信頼という残高がずいぶん貯めてもらえているのだ、と感じると共に、今まで以上に信頼に応えなければならないという想いで胸は一杯になりました。
正直、一度のミスも失敗も無かったかというとそんな事はもちろん無く、クレームもありましたし、苦言を呈される事も多々ありました。
その度にしっかりと誠意ある対応と改善を繰り返して来たことが今ある信頼を積み上げて来た根源だと思いますが、実際のところそれを実践して来たのは私ではありません。
スタッフの皆なのです。
社員の皆がクライアントのメリットを最大限になるようにデザイン、品質、そしてスピードと現場でのモノづくりに真摯に向き合って来た事、それをサポートする設計、事務のたゆまぬ努力の結果が一つずつ信頼を積み上げてこのようなカタチで表れて来たのだと思います。
(人ごとのようですが)凄い事だと思います。
大きな信頼を寄せて下さるクライアントに感謝するのはもちろんですが、クライアントからの信頼を十数年に渡り、得続けてきたスタッフに心から感謝する一日となりました。
ありがとうございます。
そして、ありがとう。
深謝。