令和2年8月15日 晴れ
終戦から75年
今日は終戦記念日。正しくは敗戦の日の日なのかもしれません。コロナの影響で大規模な会合が自粛される中、それでも各地で追悼式典が行われていたようです。終戦から75年が経ち、リアルな戦争体験を持っている人、遺族が急激に減り続ける中、追悼集会に参列した3分の2の人が戦後生まれだったとの報道がありました。現代に生きる日本人にはすっかり過去の出来事と化した戦争ですが、世界ではずっとどこかで紛争や戦闘が行われており、また、今の世界情勢もアメリカと中国が激しく対立していたり、新型コロナによるパンデミックで世界的な大恐慌が起こる兆しが見えたりと大きな抗争が起こりそうなキナ臭い雰囲気が漂っています。今こそ、今一度、いかに戦争が悲惨で絶対に繰り返してはならないものであることを学び直す必要があるように感じます。
多可町 ヒノキの山のツアー
今日は朝の間にお墓まいりに行った後、神戸の北西に位置する多可町へと車を走らせました。不肖、私が代表を務めている地域の森で生産される木材を地域で建てられる家に使って、循環型の地域経済構築を目指そう!との目的の元、50社もの工務店や建築関連のメーカーや流通業者、団体が加盟している「ひょうご木づかい王国学校」の研修で、文字通り、木づかいの根本を学びに兵庫県でダントツにヒノキの植林が多く存在する生産地である多可町の山から森林組合、製材所、超低温乾燥庫、製品の加工場を見学し、多可町産ヒノキのフローリング、羽目板の価値を再確認させてもらいました。木づかい王国のメンバー以外にも一般の方にもご参加頂き、神戸から車で1時間ちょっとの身近な山にこんな素晴らしい資源が(山ほど)ある事を知って頂きました。
本当に良い物を、多くの人に。
この夏から、いよいよ本格的に製品化が実現し、木づかい王国のメンバーが仕入れる事が出来るようになった多可町産ヒノキのフローリングをはじめとした製品はいわゆる一等級という、節の多さで綺麗なものを選り分けた製品ではなく、安価な価格帯で使える製品なのですが、実際に使ってみると非常に節が少なく、まるで上小節、無節と呼ばれる高級品のような仕上がりになります。美しいヒノキの板をふんだんに使って家を建てるなんてすこぶる贅沢を、決して特別な事ではなく、誰にでも使ってもらえる、画期的な商品として出来上がりました。一般的にはありえないその特別な価値の理由をこの度、生産の現場を見せてもらい、学ぶ機会を設けた次第です。
多可町ヒノキの秘密。
多可町は兵庫県で唯一、ヒノキの植林の方が杉よりも多い林産地です。一般的に兵庫県で育てられて木は杉が圧倒的に多く、杉よりも朽ちにくく、美しいとされるヒノキが大量に植林されているというのは非常に貴重な存在です。今日はそのヒノキの山に入り、製材所と加工、製品化を担われている太田工務店の太田社長に(美しいヒノキにしては)圧倒的に安価で供給される秘密を解き明かしてもらいました。普通ではあり得ない事というのはそれなりの理由があるもので、説明を聞き、実際に山に入って現場を見て、深く納得した次第です。以下に多可町ヒノキがなぜ、そんな価値を生み出せるのかの理由を列記したいと思います。
美しく、強い木は厳しい環境で育まれる。
多可町ヒノキの大きな特徴は木目が非常に細かく詰まっている事です。これはぬくぬくと生温い環境で成長したのではなく、養分の少ない土壌、厳しい環境で時間をかけて少しずつ年輪を重ねていった事を示しています。それは、木を育てる場所に由来しているとのことで、山に降り注いだ雨は谷に向かって流れます。当然、尾根よりも谷の方に山の養分が多く流れ、蓄積するのですが、多可町のヒノキはあえて養分の少ない高い場所に植えられており、150年経った木でも直径50センチに満たないくらい細く育っています。山に入って実際に江戸時代から生き続けている木々を見て、厳しい環境下でこそ、強く、目の詰まった美しい木肌の材が生み出されるというのは、材木だけに限らず、あらゆる生物に当てはまる原理なのだと甚く納得させられました。
選りすぐりの材。
桧林の次は森林組合で伐採された木材が仕分けされている貯木場を見学させてもらいました。そこには木の芯からびっしりと均等に年輪が詰まった自然木のヒノキと、苗のうちにたっぷりと養分を与えられ、すくすくと成長してから厳しい環境の山に植林された木が分けて積み上げられていました。一般の市場に出されるものと、地域で製品化される原木を分けられているのは、当然、良いものを地元で使えるようにという配慮であり、普通に製材しただけで、節の少ない、目の詰まった美しい柱や板が取れるのは、森林組合と製材、製品化する太田社長との密接で強固な信頼関係のなせる技なのだと理解する事が出来ました。
ヒノキの良さを生かすのは丁寧な乾燥。
原木で素材の違いを確かめた後は太田社長が作られた低温乾燥庫と製材、加工場に行って、原木から美しい板材が出来上がる工程をご説明頂きました。木材の製品化で非常に重要なのは乾燥方法です。木材は乾燥と同時に収縮しますし、水分を多く含むと膨張します。適度な含水率まで乾燥させる事で、木が変形、暴れるのを防ぐのですが、高い品質を保つにはその乾燥方法が非常に重要になってきます。現在、一般的に採用されているのは人工的な加熱釜で短時間で強制的に木を乾燥させるのですが、木材は70度を超えると細胞が死ぬと言われており、無理に乾かせると木の中は水分と一緒に木の強さの元である油分も飛んでスカスカになってしまいます。多可町ヒノキは35度くらいまでの超低温乾燥で丁寧に水分を抜いており、製品にした時にもしっとりとした木肌と香り、そして耐久性を維持しています。
効率ではなく効果性。
最後は製材、製品化を行なっている加工場の説明を受けました。そこには最新のデジタル化された機械設備が整っている訳でもなく、年代物のアナログな機械が並んでいたのですが、その代わりと言っては何ですが、短時間で機械的に大量生産しているのではなく、フローリングの面を一枚ずつ鉋で取るなど、時間をかけて一つずつを丁寧に作っておられるのがよく伝わりました。「効率は人を幸せにしない、人を幸せにするのはそこにいる人が最大限に効果を発揮する時である。」というのは私の持論ですが、それは人にだけ当てはまるのではなく、製品にも同じ事が言えると思っています。実際、現在出荷を待っていたフローリングは短く加工され、ヒノキのヘリンボーン柄で施工するフローリング材として依頼主のところに届けられるとのことでした。少数多品目を超えて、オーダーメードで加工して貰えるのは本当に凄いことで、私たち工務店側からすると本当にありがたいことです。
謝辞。
以上が、現在私たちが強くオススメしている多可町産ヒノキをなぜそんなに強く推すのかという理由です。今日ご参加頂いた、工務店関係者では無い一般の方にも単に言葉で伝えるだけではなく、実際に目で見て、手で触れて、生産者産たちの熱い想いを聞いてもらう事で、きっと伝わる事があったと思います。お盆休みのど真ん中、忙しい時期にも関わらずご参加頂いた皆様、ご案内頂いた太田社長、そして今回の研修会の準備、段取りに尽力くださった事務局の池川さん、本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げると共に、多可町ヒノキのブランド化、兵庫県が誇る宝の山をもっと多くの人に認知して貰える活動を続けて参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(^ ^)
コロナ禍の下、大きく世界が変わってしまった今、生き残るには、マス・マーケットに広く浅くアプローチするセールススキルではなく、狭く、深く質の高い顧客との関係を築くマーケティング思考です。理論と想いを仕組みに転換し、社内に落とし込んで運用できる様にリーダー向けに少人数での研修を開催する事にしました。経営者、経営幹部、リーダー候補の方に一緒にご参加頂き、マーケティング思考のマネジメントを社内に根付かせて頂きたいと思います。
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