(このクソ忙しいのに、)今日は朝から国土交通省肝いりの省エネ住宅施工技術者講習に参加して来ました。
分かっている事ばかりで、今更、と思ってしまうのは否めませんが、自社の建築物の標準仕様を決める際、取捨選択の中で切り捨てて来た工法の詳細を改めて聞いてみれるなど、ま、良い復習となったと思うようにします。
今回の講習は希望して参加した訳ではなく、いわば義務です。
地域型ブランド化事業という新築を建てたら国が100万円助成してくれる採択事業に参加しているので、これを受けていないとそこから外されるので、仕方なく。といったところ。
何がなんでも工務店に気密断熱工法の基本と施工方法を確認させたい。という国土交通省の意図が見え隠れですが、全国各地で繰り返し行なわれているということで、莫大な費用をかけて展開されています。
なぜこんな事をしているか、というと、10月から始まった新省エネ基準が7年後には義務化となるからです。
義務化ということは、これが出来ない建築会社は家を建てる事が出来なくなるということです。
私たちは高断熱高気密の重要性を以前から認識していたので既に取り組んでいる、というより常識のようになって来ておりませんが、建築業界全体を見ると、長期優良住宅の新築を建てていない会社や、少人数で営業している大工さんなどはこれから取り組みを始める方も数多くおられると思います。
かなりの棟数をこなされているビルダーさんでも、「この地域は寒くないので気密と断熱はあんまり一生懸命にはしてません、」
と、言われるところは結構あります。
それでも、会社組織であれば法改正に合わせて設計者や現場管理者にがんばって覚えなさい、と言えば何とかなるかも知れません。
問題なのは、一人で現場で作業をしながら棟梁、もしくは社長として元請けの仕事をされている大工さんです。
熱抵抗率や熱貫流率などの計算をして断熱性能を数値で表して申請しなさい。と言われても現場で叩きながらおいそれと勉強してサクサク出来るようになるのは至難の業ではないでしょうか。
自分自身の経験則として振り返ると、大工職人として働く先にあるものは、そんなにたくさんの選択肢があるわけでは有りません。
だんだんと年を取り、身体がいうことをきかなくなってくると職人として第一線で活躍する事が難しくなってくるのは自明の理であり、それまでに身体だけで稼ぐ事から次のステップへと進んでいく事が必要となります。
親方として、工務店としての体を成していくか、もしくは技術者として企業に入って経験を生かすか、というのが選択の中心となるのですが、今回の省エネ基準の改正と、その義務化は一人親方の元請け工務店に進む道のハードルをドンっと上げる事となりました。
厳しい、しかし、我が国全体を見ると、エネルギー問題は深刻であり、化石エネルギーの輸入に頼る現状から抜け出す事は絶対に叶えなければならない必須の方向性だと言うのも事実。
これから独立を夢見る大工さんには、(大変だと思いますが、)この大きな国策の転換になんとかついて来て頂きたいと思います。
どちらにしても、必要な事なので。
がんばって下さい!
創業時から変わらない私達の“想い”
それは作り手側から見た業界の悪習を断ち切りたいと言うその1点に尽きます。
しっかりと社会保障をされた職人が早く出来た事が儲かることではなく、完璧なものを作ることで評価されるシステムを作り上げ業界のスタンダードにしたい。
それがすみれが社員大工での施工に拘る理由です。