漸く神戸も冬らしく冷え込んできました。
寒いのは好きでは有りませんが、朝の凛とした空気は嫌いでは有りません。
今朝は月曜日らしく気が引き締まるいい朝でした。
今日も朝から現場廻り、新築工事中の現場の近隣の方になにかとご迷惑をおかけしており、その対応に向かいました。
クレームを頂いた時こそ、企業の本質が問われるとき。
真摯な対応でご納得頂いて、あまり宜しくないご縁を良きものに出来るようにと願いつつお話をさせて頂きました。
ご理解を頂けた事に感謝申し上げます。
気がつけば月も半ば近く。
先月に終わった現場の精算を各現場担当者が報告する期限です。
ある現場の精算書を見ると予定していた予算を大幅に割り込んで大赤字な現場があり、担当者に理由を聞くと収まりよくしようと大幅に工事内容を変更したとの事。
美しい仕上がりができたと胸を張って答えてました。
しかし着工後のよかれと思って行った変更で大きく予算を飛び出したからと言って、費用をお客さんに負担してもらうにはいきません。
でも、誰かが負担しなければなりません。
君が負担するかと聞かれると、まっぴらごめん、とまでは言いませんが、彼は沈黙しておりました。
しかし、自分自身の取った行動は、職人として正しかったと思っているのが言外に感じられ、予算を割り込んだ事はさておき、深く反省はしていない様子です。
確かに予算さえ収まっておれば両手を上げて褒め称えることですが。。。
もし仮に初めからこの大掛かりな工事内容でやりましょうと客様に提案したとしてもオッケーを頂けたかもしれないし、逆にそのような費用は出したくないと言われていたかもしれません。
そう考えると本当のニーズをキッチリよ汲み取って工事内容を提案したのか?
と問われれば果たして、どうだったか、
そこが、はっきりしなければ、彼を責めるのはお門違いも甚だしい。
ただ、現場で物を作る側としてはさっぱりとすべて作り直してしまう方が気持ちよく納得できる仕事になるのは自明の理であり、出来れば、気持よく仕事ができるプランで工事を組み立ててもらいたい、というのが本音です。
しかし、予算なり競争なりというしがらみがそれを許してくれないのも事実です。
そして責任を負う事なく正しいことをするが一番簡単なのかもしれません。
そう考えるとここ最近に大きく広がっている偽装問題も元は同じ様な事が有ったのではないかと思いました。
料理人は誰しも、最高の食材を使ってお客様に美味しい料理を提供したいはずです。
しかし、利益を上げなければ店の存続は叶わない。
出来るだけ、理想のカタチに似せたもので、採算が取れる道を探ったのだと思います。
偽装と言えば絶対悪のように聞こえますが、初めは気持ちは食材の質を落としても調理でカバーして最高の品質に限りなく近いものを提供していたのかもしれません。
それでも、本当の事ではなく、聞こえが良くなる様なネーミングをつけた最初の時は苦渋の決断で正しくないことをしたのではないかと思うのです。
良心を痛めながらでもしたことは悪い事です。
しかし、カンタンに正しい事を行なうよりももっと厳しいハードルを越えて行動に至ったと私は思います。
残念なのは、人間環境の生き物と言われるように、すぐに感覚を麻痺させる事が出来る動物でその正しくない環境に慣れてすぐ当たり前のように偽装を繰り返してしまうようになった事です。
日本全国偽装まみれといってもいいようなこの問題の広がりは、当初消費者も暗黙の了解的にそれを許容してきたということがあるかもしれません。
安易に正しいことをするよりも難しい正しくない事。
正しくないことをするにも本来勇気はいるはずなのです。
しかし、(改めて言葉にするような事でも無い、アタリマエの事ですが、)私たちはもう一つの高いハードルをよじ上ってでも、やっぱりお天道様に向かって胸を張れる、正しい事をするべきでは無いでしょうか。
しっかりと、その責任を負いつつ、人生は魂を磨く修練の場である事を忘れずにいたいと強く思いました。
すみれ建築工房 ミッションステートメント
創業時から変わらない私達の“想い”
それは作り手側から見た業界の悪習を断ち切りたいと言うその1点に尽きます。
しっかりと社会保障をされた職人が早く出来た事が儲かることではなく、完璧なものを作ることで評価されるシステムを作り上げ業界のスタンダードにしたい。
それがすみれが社員大工での施工に拘る理由です。