気密と断熱についてのおさらい。


今日は朝から完成まぢかの新築の現場でお施主様とエクステリアの打ち合わせ。
内部は完了検査も受け終えて最後の仕上げを待つのみとなっており、出来ましたねー、なんて言いながらもお施主様と一緒に見て回りました。

引き渡し前になっていつも思うのは、家を建てられるお施主様のことを羨ましいってこと。(^_^;)
皆様それぞれに夢を叶えられているのを見て、正直そう思います。
私が言うのもなんですが、、(^_^;)
昼からは、今日も大阪へ、建築のマニアックな勉強。
NPO法人新住協の今年一発目の研修会ということで、今一度気密断熱の基礎の基礎のおさらいです。
今更ですが、非常にいい学びだったので備忘録として残しておきたいと思いますます。

気密と断熱はセット、と良く耳にしますが、その実務を改めて見直すこととなりました。
いくら高性能の断熱材を使っても、家の中に風が吹き抜けていては一向に暖かくならない、事ぐらい子供でも判ることです。
しかし、少し前までの木造建築はそんなことを見逃した設計、施工を行なって来ているのが現状です。
以下は、社内用にまとめたメモの転記です。
*****ここから*****

 

今までの寒い木造住宅の問題点は壁内の気流が止まらないことにあった。

 

壁内の空気が暖められて上に上がるのに引っ張られて、床下の冷たい空気が壁内に上がってくるのが壁内結露、断熱が効かない原因。

 

上の写真をサーモグラフィックを見ればその一目瞭然である。
 

 

少し前までの木造住宅は土台の上に根太がコロガしてあり、床下と外壁(間仕切り)が通じていることが非常に多い。

 

また、内装のボードも天井下で止まっている、もしくは胴まで張り上がっていないことも多く、また、軒天井は外気がはいってくる構造になっていれば床下から気流が起こるのも当然と言える。

 

 

逆に考えると、壁の上下の気流止めをすることによって、大して高い性能を持たない断熱材もそれなりに性能を発揮する可能性があるという事。
たとえ、ウレタン吹き付けなどの熱透過率の低い断熱材を採用しても気密が連続して取れておらず、壁内で気流が起これば暖かくならない。(数値の性能が発揮出来ない)

 

床下からの現場発泡ウレタンは非常に効果的だと思われるが、壁の上部でファイアーストップなどの処置をしなければ片手落ちだといえる。

 

 

これが、断熱と気密がセットと言われる所以です。

 

 

断熱改修を行なう際に、断熱材の見直しをしても、気密、気流止めの改善がなされなければ、室内の体感温度は変わらない可能性があるという事。

 

現場での実務としては、土台からの気流止めは床下からでも出来るが、天井との取り合いの気密層、断熱層の連続、気流を止めることが難しいので、その部分の施工をどのように行なうのかが肝になる。

計画時、施工時共に肝に命じてもらいたい。


*****ここまで*****
来期から国土交通省が肝いりで進めるのは長期優良リフォームということで、強度と温熱環境と省エネに留意したリフォームを行なえば、国から工事費に補助金が支給されることになっていますが、(諸条件あり、)この断熱と気密の関係性を良く理解しないまま、仕様材の数値計算を行なって断熱材を付加した所で、工事が終わってみたら全く暖かくも、省エネにもなっていない、という事が起こる可能性が高いです。

そもそも、住宅の性能について数値の計算が出来ないことは致命傷ですが、計画通りの性能を発揮出来る様な施工方法、施工理論を判っていなければ話にもなりません。
設計、施工共、社内のスタッフ全員と共通の認識としてしっかりと理解する様にしたいと思います。
気密断熱の基礎の基礎、非常にタイムリーな良い研修会でした、事務局の会沢さんはじめ新住協の皆様、ありがとうございました。

深謝。

 

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