8月23日 曇り時々雷雨のち一時晴れ。
茶の湯のお稽古に向かった湖西の和邇駅に降り立つと、ほぼ同時に激しい通り雨に襲われました。
しょうがない、と駅前の100円均一のお店で傘を買い、歩き始めたらいきなり行き交う車に水を撥ねられてズボンはびしょ濡れ、、
気を配る方向が間違っていました。。
お稽古の後に京都、滋賀のクライアント先を回る予定をしていたのでどうなる事かと思いましたが、思いの外泥水ではなくて、すぐに乾いて元通り、ツイテル事にしたいと思います。(笑)
さて、お題目は少し前からTVコマーシャルで某宅配ピザの新商品を宣伝しているのを見てちょっぴり気になっていた件です。
某宅配ピザチェーンのCMなんですが、ピザの耳にポケットを作り、チーズやウインナーを充填する事によって端っこまで美味しく食べられる、というもの。
ピザといえば中央にたっぷりとチーズがかかった具材が集まり、端のほう、(耳)は少し寂しい感じが否めない食べ物ですが、最後まで美味しく食べれる、という事を他社との差別化に大きく打ち出しています。
そのCMでは新商品の特徴を際立たせる為に、悪役?の対抗するピザ屋(その名もピザブラック!)がその新商品を見て、なるほど、耳に特徴があれば売れるのか、と気付き、『耳だけのピザ』しかもチーズもウインナー等の具材一切無しの商品を販売する事にした。という設定になっています。
「耳無しのピザ、がっぽり儲かる」
とその店の店主はテレビの画面一杯に悪そうな笑みを浮かべて良い事を考えた、とご満悦。
ちなみに、ピザブラックの経営理念は、
『安く仕入れ、カンタンに作り、高く売る』全部テキトー!それがモットー!
とのこと。。
悪ノリでウェブサイトを覗いてみると、ピザの生地はパンの耳を固めたもの、タダ同然、とのこと。
しかも、ピザの中央の部分は箱にピザの写真を印刷しているので見た目は全く分からない!(悪っ、笑)
オフィシャルサイトはこちら。
「ほんま、あほやなー、」と笑ってしまう訳ですが、よく考えるとこれって程度の差はあれ、実際に結構どこにでもある話では無いだろうかと思ってしまいました。
あからさまに品質が落ちる事をすると、客をばかにしとんか!と怒られる。
でも、分からない程度にすればいいんじゃない、
もしくは、この程度ならいいだろ、という考えがどこかにあれば、それは根本的にはそのブラックピザと同じといっても良いのではないだろうか?なんて思いました。
近くで作業してたら、お宅の家の屋根が見えました、瓦がズレてますよ、と言って瓦のズレ止めコーキングを緊急にするべきですよ、と、手当り次第に奨める、宣伝も広告も無く工事を受注、がっぽり儲かる。
最近少し暇になって来たな、とファミレスのホールの社員をやめさせてアルバイト一人でやらせてみる、客が入る席数は同じなので人件費は浮きまくり、がっぽり儲かる。
牛丼を作るスタッフを正社員にせずにアルバイト、しかも外注扱いにすれば福利厚生全くお金がかからないし、残業代もキッチリと払わなくて済む、がっぽり儲かる。
品質管理を直接出来ないけど、とにかく世界中で一番安いチキンナゲットを仕入れる、売値は同じなのでがっぽり儲かる。
黒毛和牛ではない、国産牛を使う、値段は黒毛和牛のまま売る、がっぽり儲かる。
経営者が知らないまま店舗でこんな事が行なわれていた、なんていくらでもある話です。。
ピザブラックと全く逆の経営理念というと、
『高く仕入れ、難しく作り、安く売る』
となってしまいますが、それも実際はない訳で、、
顧客にとってのバリューを最大化するのは企業として行なうべき事で、企業努力として仕入れコストの見直しは必須だと思います。
『カンタン』の反語が『難しく、』と言うのが少し違うかも知れませんが、品質を担保しながら効率化を図る事もまたしかり、安く売る、と言うのも適正な利益を得た上で、という前提条件がある以上、とにかく安く売る事を目指す企業はあり得ないのもまた、、
そんな風に考えると、パロディーのはずのピザブラックを単に笑ってしまう訳にはいかなくなります。
自分の胸に手を当てて、自分のビジネスがピザブラックと決定的に違うか、本当に共通点が無いか、じっくりと考えてみるべきではないか、なんて思ってしまいました。
ピザブラック的思考はちょっとした心の隙間、油断、シクミの不備から忍び寄って来るのかも知れません。
ま、私は(おちゃらけて試してみた)ピザブラックの採用試験で不採用だったので、今のところは大丈夫だと思います。(笑)