職人さんの将来に夢は持てるんですか?

九月九日 快晴 重陽の節句

昨夜のスーパームーン、中秋の名月も素晴らしかったですが、今日の青空の清々しさというと、昨夜のそれにひけを取らないくらいでした。

重陽の節句のご来光
重陽の節句のご来光

 

美味しい旬の食べ物がたくさん出回ってきてもモチロンですが、少しずつ空気が乾いていくのに秋を感じる様になってきました。

 

さて、今日は月に一度のコーチングセッションの日でした。

少し前までは何か気になる事は有りますか?という質問を受けて、今抱える問題解決についてのアプローチを考える事が多かったコーチングですが、最近は将来の夢や展望を語る事が増えている気がします。

今日も創業時からの私の悲願、目標へまた一歩足を踏み出せた、と言う様な非常にうれしいご報告なども出来ました。

私の悲願とは、、

「職人の社会的地位の向上」というガッツリ作り手側に立ったもので、

「およそ顧客目線とは真逆の考え方やなー」と他業種の社長に、大丈夫かいな、と言われた事もしばしばです。(苦笑)

 

一点の曇りない青空
一点の曇りない青空

つい最近、ある方から、「職人さんのこと少し教えて下さい」と言われた事が有ります。

Q:「大工さんの日当って2万円くらいまでですか?」

A:「そうですね、だいたい、」

Q:「それで道具や車やガソリン代や保険やその他諸々みんな自分持ちなんですよね、」

A:「それが殆どです。」

Q:「最近は道具が発達して熟練の技術がなくても、そこそこ仕事できるんですよね、」

A:「そうです。」

Q:「歳を取ると若い人に負けますよね、」

A:「そうですね。」

Q:「そもそも、大工さんって自分からなりたいと思ってなってるんでしょうか?」

A:「違うとは言いませんが、狭い選択肢の中から選んだのだとは思います。」

Q:「将来の展望や希望って持てるんでしょうか?」

 

ここで言葉に詰まりました。

職人は文字通り、身体が資本。

どこか悪くなるとたちまちできる仕事の幅が狭くなり、やもすると全く稼ぎは無くなってしまいます。

それでも昔は大工の日当って比較的良かった事もあり、ある程度の貯蓄が出来て年老いてから引退しても何とか食べるには困らなかったようですが、長く続いたデフレの影響でどん底まで落ちた職人の単価はなかなかそんなレベルまで上がるのは今では厳しい状況です。

職人から一歩踏み出して起業して会社を経営するとかすれば大きく展望が開ける可能性もありますが、自分でエンドユーザーから直接仕事を請け負うことを目指す職人って実はほんの一握りです。

「めんどくさい」し、「できへん」

そもそも、話しが上手でコミニケーション能力が高くて、セールスが上手なら職人をやっていないわい、という方が圧倒的に多いと思います。

最近になって(関東方面では特に)職人不足の声が良く聞かれる様になりましたが、新築住宅の需要は減り続け、これからはリフォームが伸びるといいながらもそんなに爆発的に増える訳でもありません。新規参入の事業者が増えて却って競争は激化の一途を辿ると思われます。

「自分で元請けになるなんか無理や、」と思う職人が殆どなのも頷けます。

一職人として、現場でコツコツと働く人に未来の夢や展望があるのでしょうか?

と聞かれると、正直答える言葉が見つかりません。

 

それでも、そんな職人も皆家族を持ち、子供を育てます。

来年の、いや来月の自分の収入がどうなるかも分からないまま、、

 

実際、16年程前の私もそんな一人で常に将来への漠然とした不安に苛まされながら、何がなんでも家族を守らないと、と、必死になって働き続けました。

現場に出て玄能を振りながら、夜は遅くまで図面を書いたり見積りをしたり、知り合いからの仕事を貰える様に誘われればどこにでも出掛けたり、、

若衆としてついて来てくれていた職人もいつ仕事が切れるか分からないので、仕事が有る時は目一杯働こう、と仕事が入ったら出来るだけ日曜日から現場を埋めて、全く休みが無いのがアタリマエとなり、ずいぶんと厳しい負荷をかけながら働き続けました。

結果、全く家にいないパパ、となってしまいそれはそれで後悔もしたのですが、、

その当時の職人にも悪い事をした、とずいぶん反省した次第です。

 

家庭崩壊の一歩手前くらいまでなった時、これじゃ、ダメや、なんとかせなアカン、と思い、「職人が安心して働けて、安心して子供を育てる事が出来る工務店のスタイルを確立したい!」というのが私の悲願となりました。

そして、日本中の職人がそのような状態になっていかなければ、日本の建築業界はガタガタと音をたてて崩壊してしまうとも。

その創業時の志を胸に、大工の正規雇用、厚生年金や社会保険への加入、車両や制服を支給して給与を殆どそのまま持って帰れる様にした事から、すみれの現場品質は確実に向上して、お客様からの多くの信頼と支持を頂ける様になりました。

そのお陰で、ここ近年はチラシや雑誌など、マスメディアの広告宣伝費を一切利用しなくなりましたが、毎日の様にお客様から問い合わせや工事の依頼を頂ける様になって来ました。

職人をちゃんと雇用すれば、本来必要の無い経費を削減出来て、職人に喜ばれながら工事品質の向上が図れ、お客様にも喜んでもらえる。

そして、社員としてしっかりとした教育を受ければ、年を取ってからも同じ給与が稼げるスキルを身につける事も出来るし、起業家として独立する事も出来る、将来への漠然とした不安を払拭してもらえると思っています。

お客様が幸せになる為の家づくりは、絶対に!幸せな作り手がその工事を行なうべきです。

将来に不安を抱えた、その日一日を暮らすことしか考えられない者ではうまく行かないと思うのです。またそれが本来、在るべき工務店の姿だと思うし、それを長年に渡って実践して来て、漸く確信となりつつ有ります。

その為には、まず、職人が意識を変えるところから、ということで、世の中の常識程度のマインドセットとマーケティングの理論を分かりやすく説明する基礎講座を職人向けに開催します。

(連日の告知になってしまいましたが、)すみれの社内勉強会の延長ですので、受講料はは無料!

完全なオープンセミナーですので、少しでもご興味がある方はお気軽にお越し下さい。

イベントの案内ページはこちら。

https://www.facebook.com/events/1545741008991517/?source=1

どんな業種でも構いませんので、たくさんの職人さんのご参加お待ちしています!

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