自転車売り場の店員の選択。

5月23日曇天

あまりぱっとしない天気の週末となりましたが、暑くもなく寒くもないこの季節、外回りをするにはちょうど良く、一日中精力的に西へ東へと走りまわりました。

大屋根のsumika
大屋根のsumika

午前中は、創業当時から、もう数え切れないほどご紹介をいただいているお客様のご親族のお宅で全面改装のご相談に伺いました。

昼からは新しくお取引をいただけることになった工場の本社へご挨拶。

その後は日が暮れるまであちこちの現場回りで担当者と打ち合わせ、忙しい1日でした。

 

南京町 神戸牛栄吉
南京町 神戸牛栄吉

 

さて、お題目は午前中に伺ったリフォームのご相談のこと。

築50年になろうかと言う木造モルタル塗りの一戸建てのリフォームの案件でした。

着いてみると、外壁のひび割れから水が染み込んで一部のモルタルが剥離して落ちていており、老朽化はかなり深刻な様子。

中に入ってみると、計るまでもないくらい建物の床や柱が歪んでいるのがわかりました。

聞くと、阪神大震災のときの建物診断によると半壊の判定を受けたとのこと。

明らかに耐震強度が足らない事はすぐに想像できました。

内外装を全部やり直して、水回りの機器類も全部入れ替えて、耐震補強をして、と、リフォーム会社としてはとても腕が鳴る案件ではありますが、私が出した提案は、

「リフォームするのやめておいたほうがいいと思います。」

と言うものでした。

ここまで躯体の老朽化が進んでいると、リフォームをしてしっかりとした住環境を整えようとすると建て替えるのとそんなに費用は変わりません。

かける費用対効果を考えたとき、リフォーム以外の選択肢が色々とあることから、私の仕事はなくなってしまいましたが、リフォーム以外の様々な提案をさせていただきました。

お客様も、「なるほどねー確かにね」と、ご納得いただいたようでじっくりと考えてみるとのこと。

大きな仕事を失いましたが、小さな信頼を入れたと思います。(笑)

お客様先を出て、思い出したのは『卓越の戦略』を提唱するジェイエイブラハムの著書、ハイパワーマーケティングの中にあった自転車屋さんの話。先日の職人起業塾でも例題として紹介しました。

 

あなたは、自転車屋の店員さんです。
4歳から5歳ぐらいの子供と親が来店されました。つまり、この親子はあなたにとって
の見込み客です。今後、クライアントになってもらえるかも知れない大切な親子。

ここで問題ですが、あなたなら、どのような自転車をこの親子に薦めますか?

自分のお店の利益を中心に考えると、値段が高いものや利益率が良い自転車を薦めます。

しかし、「卓越の戦略」では、”クライアントにとってベストなもの”
を提案するので、このケースでは、安価な自転車を薦めることになります。

というのは、子供は自転車に一人で乗れるようになるまで、何度も何度もころびます。

転ぶたびに自転車は傷だらけです。

最初から高級な自転車は必要ない、そのことを店員であるあなたは、クライアントに対してなぜこの安い自転車を薦めるのか説明するべきです。
そうすれば、お店の利益よりも自分達(この場合は親子)のことを第一に考えてくれた非常に良い店員さんという印象が強くなり、子供が大きくなって次の自転車が必要になった時、きっとあなたのことを思い出して、また買いに来てくれることでしょう。

※ハイパワーマーケティングより

 

私たちは、工事をするのが目的ではなく、あくまでお客様の快適で楽しい暮らしを作ること。

そのためには、建築のプロとしてメリットデメリットを誠実に、正直に話すことが不可欠です。

当たり前すぎるほど当たり前の話ではありますが、目先の売り上げにとらわれず、お客様の立場で誠実な姿勢を貫くというマーケティングの理論をしっかりと実践できてよかったと、別れ際に「ありがとう」と言ってくださったお客様の言葉に自分ながらご満悦。(笑)

学んだことは実践に!

今まで散々御世話になったお客様には、最善の選択をして頂ければ幸いです。

にわ・とりのすけ生田新道店
にわ・とりのすけ生田新道店

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