今日は朝から広島へ。
出版社の担当さんとライターさんとの打ち合わせでした。
いよいよ秋口から開講することになり、現在、着々と準備を進めているJBN京阪神木造住宅協議会の研修事業、「職人起業塾」のテキストブックを出版する事になり、1日がかりで詳細の打ち合わせを行いました。
本を出版すると言っても、小説やエッセイを書く訳ではなく、今まで行ってきたセミナーのテキストを本の体にまとめるだけなので、大した作業ではないと、タカを括っておりましたら、なかなかどうして、あちこちに書き散らかしている文章を書籍としてカタチを整えるのは、そんなに簡単ではありませんで、思いの外作業量があるのに今更ながら気付きました。
ま、一日ガッツリと内容についての詳細の説明をしたり、ライターさんに私のこの事業に対する熱い思いを伝えたり出来たので、後は上手くまとめてくれると思います。(笑)
さてお題目は、広島に向かう道中でのめり込む様に読んだ書籍のご紹介。
大好きな山本兼一さんの代表作と言って過言では無いと思える大作の歴史小説です。
『命もいらず、名もいらず』
幕末から明治維新の動乱期を生き抜いた山岡鉄舟の生涯を描いた物語です。
久しぶりに、読み終えるのが残念と思える程、ワクワクして読み進めました。
奇しくも、大河ドラマ、『花燃ゆ』では今、幕府による長州征伐がその舞台となっており、尊王攘夷の機運を高めた長州藩が都での勢力争いに敗れ、存亡の危機に瀕しているところ。
そこから大政奉還、そして江戸城の無血開城という日本の歴史的な大きな転換期を一人の御家人の立場から見事に描き切っています。
サムライという戦国時代から江戸時代にかけて長年に渡り日本を支配して来た職業が無くなってしまう悲哀と、西欧列強からの支配を免れ、国家として存続する為の変容をとても分かりやすく、ドラマチックに描かれています。
そして、何より、サムライとして生き抜いた山岡鉄舟の人間としての強さ、武士道と言う価値観を江戸時代から明治時代へつなぎ、残した功績を讃える書でもあります。
激剣と言われた剣道と、書と禅に生涯打ち込み、人間としての内面を鍛え、磨き続けたその生き方は素直に恰好イイ、と思いましたし、平和ボケ、と言われる現代に於いてももう一度、日本男児としての矜持を正し、誇りを取り戻せる様にしなければ、と思わずにはいられませんでした。
明日は、終戦記念日。
日本が戦争に負けて、幕末の黒船来襲から始まった植民地化の危機が結局現実となってしまった日から70年。
今も尚、日本の国土にはアメリカの基地があり、莫大な予算がアメリカに渡っており、アメリカの軍事力の傘の下に日本の平和が保たれている現状を見ると、この国は本当に独立国家としてあるのか、という疑問を感じずにいられません。
今一度、日本が世界に誇れる武士道の価値観を見直す時が来ているのではないか、なんて思いながら、もっと書や茶の湯に真面目に取り組まんといけないと、反省しきりです。
本書の締めくくりの章に紹介されてある、晩年の鉄舟が子供達に遺し置いた言葉は、あくまでも『陰徳』を積み、自分の在り方を問い続ける事が人生の真理だと指し示しています。
金を積みて以て子孫に遺すも、
子孫、未だ必ずしも守らず。
書を積みて以て子孫に遺すも、
子孫未だ必ずしも読まず。
しかず。陰徳を冥冥の中に積みて
以て子孫長久の計を為さんには、これ、先賢の格言にして、
すなわち後人の亀鑑なり。
侍、または日本の伝統的な価値観を踏襲する生き方とはかくあるべき、という事なのだと思いました。
とにかく、長編小説ではありますが、非常に面白く読みやすいので是非とも一読をおススメします。