9月7日 曇天
1週間の立ち上がりの月曜日、忙しい一日となりました。
もともと午前中はリフォームのご相談に、昼からは新築のご相談にお客様宅に伺う予定を組んでおりましたが、その合間をぬように緊急かつ重要な所用が飛び込んできて、朝から晩まで時間に追われ走り回ることとなりました。
緊急且つ重要な2つの出来事。
その緊急な用事の1つは、尊敬している先輩経営者のお母様であり、その会社の会長がお亡くなりになられたいということで、葬儀に参列させていただきました。
創業時から会社を守り、事業の礎を作られた先代経営者であり同時に母親でもあると言う大事な方を亡くされたその心痛は計り知れず、ご焼香だけはさせていただいたものの、かける言葉もありませんでした。
ただ、安らかに旅立たれたことにご冥福をお祈りするばかりです。
夕方からは、命には別状がありませんでしたが、信じられないような大きな事故に巻き込まれたお客様宅へお見舞いに訪問。
そこでもやはりかける言葉を失いましたが、少しだけでも気を紛らわせて頂ける様にと、夜中まで共に過ごさせて頂きました。
人生は想定外の繰り返し。
それにしても、人生は予期せぬ事が次々と起こるものです。
信じられないような出来事が起こるたびに、次は自分の身にそれが起こるかもしれない、と自分のことを振り返らずには居られません。
スティーブ・ジョブズは毎朝、鏡で自分の顔を見て、今日で人生が終わるとしても悔いがないか、と自分に問い続けたといいます。
「いつ死んでも後悔することがないように日々を精一杯暮らしていく。」
自分の人生に於いて、為したいこと、あるいは為さねばならない使命を考えたとき、そんな覚悟が人生には必要なのかもしれません。
とは言え、一日でできる事はたかだか知れているのは実際で、物事は時間をかけて継続して取り組むことで形作られると思っています。
毎日の覚悟は重要ですが、その積み重ねの方向性が明確でなければ、日々の積み重ねも空回りするばかり、、
志をしっかり持つことが、もし突然何かあったとしても後悔がない生き方になると思っています。
後悔のない生き方とは、未来を見つめることと足元の毎日をしっかりと歩む事のセットではないかな、なんて、天命を知ると言われる50歳を前にして漸く思える様になってきました。
夢も希望も無かった職人時代
今から17、18年前までは、私はただの大工職人でした。
その頃のことを振り返って思い返してみると、将来に目を向けることをあえて避けておりました。
自分の人生を自分でコントロールする自信もなければ、気概もなく、ただ毎日の現場を進めるだけ。将来に対する漠然とした不安を抱えながらも、それに対して何をしたら良いのか、何をするべきなのかさえ全く見当さえつかめずにただ毎日を過ごしていたように思います。
かといって、その時の私が何の責任も使命も無かったか、というと決してそんな事はなく、たった一人でしたが、ついて来てくれていた若衆もおりましたし、その彼の家族、自分の家族を守るという非常に重要なミッションを背負っていたわけで、どうしようもない焦燥感に駆られながらも、敢えて今、目の前のことしか考えないようにしておりました。
そんな将来に対する夢も希望もないような暮らしで、幸せな気持ちを感じれるわけもなく、何とかしなければならないという思いが、今の事業を始める原動力になったように思います。
「卵が先か、鶏か、」の職人問題。
そして、現在でも建築現場で働く職人たちでその頃の私と同じような思いを抱いている人は少なくないと思っています。
将来に対する夢やビジョンを持つには、まず最低限生活の安定を得ることから。
それができなければ若者がこの世界に入職することもなく、深刻な職人不足が解消することはあり得ませんが、職人稼業をして、生活の安定を担保出来ていると思う人は業界全体を見渡してもごく僅かしか居ないのが現状です。
私たちのような地域に密着した工務店が物づくりの担い手を守り育てる事を引き受け、人材の育成取り組むことしかその改善への道はありませんが、同時に、職人は守られるべき存在に、自ら変わることが必須だと思っています。
日々の現場での業務を完璧にこなすことはモチロンですが、「毎日の現場作業だけやっときゃええやろ、」と言う考えを捨てて将来をしっかりと見つめ、目指すべき大きな方向性や志を持つことが、必要なのだと思います。卵が先か、鶏が先かと言う問題はありますが、ここに気付いた者から順番に意識を変えるしかないのでは無いでしょうか。
意識が変われば後悔しない人生に。
職人が意識を変えることが、働き方を変えて、工務店のビジネスモデルさえも変えることになるのでは無いかと考え、(すみれの社内勉強会から派生したマーケティングの勉強会、)『職人起業塾』ではその根幹の『在り方』を見つめなおすことに特に注力して皆さんにお伝えしています。
日々を精一杯生きること、人生に対して大きな志を持つこと。
このワンセットにコミット出来たとき、誰しもが大きな力を発揮出来ると信じていますし、建築業界が大きく変わる原動力となると考えています。
世の職人達よ、共に志高く持っていきましょう!
きっとそこから未来は開けていくと信じて。
いつ、どんな事があっても後悔しない人生になる様に、私も日々、精進したいと思います。