10月7日 快晴
今日も神戸はすこぶる良い天気。
しかもすみれ事務所は定休日と言うことで、あまりに気持ちの良い秋空に自転車で遠出をしてみたいなぁなんて思いつつも、残念ながら事務所に籠って電話番とデスクワークに励みました。(涙)
昨日は京都で職人的マーケティングの研修講師。
昨日は午前中の農作業の後、急いで事務所に戻りスーツに着替えて京都へ。
先月に引き続き、『FPの会』と言う建築会社の集まりの研修会に講師として呼んでいただきました。
参加されているお会社は皆さんそれぞれ真面目にしっかりと事業を行っておられる先輩経営者ばかり、正直、私のような若輩者が偉そうに教えることなど何もないはずなのですが、毎月自社で行っている「職人起業塾」で皆さんにお伝えしている、マーケティング理論の工務店に於ける実務への応用とわかりやすい解説を9つのステップにまとめて、ワーク形式でお伝えしました。
マーケティングという言葉の定義は受け取り方によって様々ですが、私の中では、市場調査や広告宣伝等のメディアの使い方ではなく、自然と売上利益が生じる仕組みづくりのことを指しています。
ドラッカー博士はマーケティングを、「一切の販売活動を不要にするもの」と定義付けました。
チラシや雑誌、TV、ラジオ等のメディアを駆使して集客をして、躍起になって売り込まなくても自然と顧客が集まってくれるような仕組みを作ることだと言っています。
未来を創るのは『人』と言う原則
そのために行うべきこととは、何も特別なことではなくて当たり前のことを当たり前にできるかどうかにかかっています。
その当たり前の事とは、私の解釈では、スティーブンコヴィー博士が「7つの習慣」の中に示された原理原則に則った経営や活動ができているかどうかだと思っています。
昨日の研修会でも、その辺のことを分かりやすい言葉に直してご説明したのですが、その中で1番私が伝えたかったのは、未来を作るのは人を育てるしかないということです。
種をまかねば、芽は出ないのは当たり前、『企業は人なり』と言う事業における大原則を考えたとき次の世代を担う人材を育てることこそ原理原則に則った経営の第一歩だと思うのです。
鵤工舎 小川棟梁のマーケティング論
研修会の中で、過日東京まで弾丸で聴講に行ってきた、鵤工舎の小川三夫棟梁の話を引用させていただきました。
私は大工上がりの経営者として、小川棟梁のお話は胸に刺さるところが随分たくさんありましたが、その中で私の中では宮大工のマーケティング論とも取れるお話がありました。
小川三夫棟梁は法隆寺の鬼とも言われた伝説の宮大工、西岡棟梁の内弟子から独立されて以来ずっと仕事を切らさず元請けの工事のみをやり続け、独自の徒弟制度を構築することで世にたくさんの大工を輩出して来られました。
今では押しも押されぬ日本一の棟梁と言って過言ではないと思っています。
宮大工も食えない時代になって久しいと言われる現代において卓越した職人集団を作り上げた功績は計り知れないのですが、その成り立ちを小川棟梁はその講演の中で、
- 当初、仕事も無いし「嫁ももらえないこんな仕事はやめておけ」と西岡棟梁に断られた。
- 食える宮大工でなければならない。
- 若者をまっさらにして修行をさせることで技術を伝える事が出来る。
- 若くて、賃金が安くて、一生懸命働く若衆がいるからやって来れた。
と言われていました。
(マーケティング論と言うには少し違うというご意見もあるかもしれませんが、)若い入職者を受け入れて修行させ、育てることで稼げる大工の集団を作ってきた事は、伝統文化の担い手を育てたにとどまらず、卓越した技術を若者に継承するという本質を磨くことによって売り込みをすることなく安定した受注を繰り返す、原理原則に基づいた経営手法であり私にとってはマーケティングのお手本のような存在です。
言うは易し、行うは難し、ですが、やらねばならぬ3つの事。
地域の中小零細工務店が、厳しい経営環境の中、世界一厳しいと言われる日本の労働法を守りながら、若い職人を育てるのは非常にハードルが高く、それなりの原資が必要です。
それを得るには、
■本質に磨きをかけ地域社会に必要な存在になること、(意図と力量)
■1つずつの現場で答えを出して顧客から圧倒的な信頼を得続けること、(誠実さと結果)
■そしてその存在を地域社会に広げ、知ってもらう事(認知と繋がり)
の3つが不可欠です。
言うのは簡単、実際に行うのは非常に難しい問題が山積ではありますが、在るべき姿から目を逸らす事無く、勇気を持って未来に向かって立ち向かうことが必要です。
共に学び、共に成長する。
そんなこんなで、昨日は小川棟梁の話と共に、ジェイエイブラハムのマーケティング理論やスティーブン・R・コヴィー博士が提唱された在り方の解説に織り交ぜて偉そうにそんなことを話させて頂きましたが、実際は私たちもまだまだ道半ば。そして、講師のご依頼を頂いてアウトプットする事、皆様のお話を聞かせて頂く事で逆に多くの気付きも頂く事が出来ました。
これからも志を共にする同業者の皆様と共に学び、共に実践しながら、明るい未来を創って行きたいと思います。
FPの会の皆様、前回に引き続き、この度もありがとうございました。
また20日、お会い出来る事を楽しみにしております、宜しくお願い致します!