10月7日 秋晴れ
今日は大阪から。
朝一番から夕方までの7時間半、みっちりと【第3期】職人起業塾の第4講の講師を務めました。
開講日の初回の講座で総論を話してから、2講、3講とひと月は2回連続でアクティブブレインセミナーとなっており、講師役は川西先生だったので私の登場は久々にして2回目。やっとマーケティング講座の本題へと進むことが出来て、塾生の皆さんも「未来の売上げを作るマーケティングって一体どんな話なんやろ」と、興味津々の面持ちで受講されておりました。
小さく、強く、長く。
資本力が弱く、地域に根ざして営業する私達工務店やリフォーム事業者はどこまで業態を拡大してもやはりスモールビジネスと言わざるを得なく、大資本を強みに全国展開する大手ハウスメーカーとは違う戦い方をしなければ、全く同じ土俵で戦っても最終的に勝ち目は無いと思います。
しかし、大手だから強い会社かというと、今時そうとも言えないと(私見ですが)思っていて、100年、200年と続く超長寿命企業はすべて中小零細企業ですし、小さいからこその強みもあると思っています、いっそ、悪く無いと。(笑)
住宅産業は結局、各地域に密着した労働集約型のビジネスであり、地域の風土や顧客の個人的なニーズに合わせたモノづくりです。ここで本質的に求められるのは販売会社ではなく、工事が出来る地域密着のスモールビジネス事業者だと考えています。私達は地域の住環境を守り、維持する役割も担っており、小さくても強い、長く続く会社を目指して戦略を組み立てなければなりません。
スモールビジネスの鉄則。
今日の講義でマーケティングにおけるスモールビジネスの鉄則として私がお話したのは、『第2領域(緊急性の低い重要な事)に取り組む』『自分の強みを明らかにする』の2点について。
大きな資本力を持たない中小事業者は基本的にマス媒体などを利用したコマーシャルによる集客には向いておりません。認知度を上げるにはマス媒体は効果的かも知れませんが、そこは大手が最も得意とするところであり、小手先のテクニックで集客する方法論はいろいろありますが、最終的には同じ土俵で戦っては分が悪いのは明らかです。
ではどうするかというと、その逆に取り組むべきで、一気呵成に多くの見込み客を集めるのではなく、自社の持つ強みを生かした情報を発信しつつ、ご縁を紡ぎ、信頼してくれる顧客を増やしてじわじわと継続的な集客を行なうべきで、出来る事なら初めに声がかかる時点で自社を理解してくれている、出来れば信頼されている状態の質の高い新規顧客に集まってもらいたいものです。
第二領域こそ未来へのトンネル。
多額の費用をかけてTVコマーシャルや新聞折り込みなどで一気にドカンと集客しないと言う事は、費用をかけないが継続的に人が集まってくれる取り組みを行なう必要が有り、それはスティーブン・R・コヴィー博士が提唱された時間管理のマトリックスで第二領域と言われる緊急性の低い、しかし重要な事柄に時間をかける習慣が持ててこそできる取り組みです。
行動を起さなければ何も始まらない、しかし、三日坊主の取り組みをいくら乱発したところでなんの成果も上がらない様に、ルール、シクミ、習慣に落とし込んで顧客との繋がりを深め、信頼性を高める為の社を挙げての継続的な取り組みが出来ることが肝要です。
このような地道な活動を通して、既存顧客からの信頼を深め、リピートの注文を頂けたり、周りの人を紹介されたり出来る様になれば、事業規模に合わせて、顧客数を持つ事でビジネスが廻り出すというのが理論です。具体的な施策は塾生諸氏に社に持ち帰って考えて来てもらいますが、いろんな会社のアイデアを共有出来るのもこの講座の大きなメリットだと思っています。
売上げとはゼロからイチを生み出す高いハードルを越えること
あらゆる情報が氾濫する今の時代、いくらリピーターや紹介客といっても顧客にとってのバリューが無ければ、ベネフィットを提供出来る自社独自の強みが無ければ他社に負けてしまいます。地道な集客活動と共に、自社の強みを見出し、磨く事もセットで考えなければなりません。
しかし、工務店、リフォーム会社という業態で、USP(ユニーク・セリング・プロポジション)と言われる自社独自のウリやコア・コンピタンス(同業他社を寄せ付けない卓越した圧倒的な強み)を持つ事は非常に難しいのが現状で、「御社独自の強みはなんですか?」と質問されると一瞬たじろいでしまいがち。それでも強み無くしては選ばれて売上げを上げる事は出来ないので、塾生には一生懸命に考えて頂きます。
セグメントとセット。
本講座での基本的な考え方は、強みはセグメント(市場限定)とセットで有り、自社の(自分の)いいところを認めてくれる限定を作り、その中でNo1になる事から始めて徐々にその限定を解いて広げて行く様に伝えています。
例えば、自分自身で考えたとき、家族にとっては唯一無二の存在であり、それは(その狭い世界の中で)圧倒的な強さを持っていると言っても過言ではありません。もし家族が家を建てるとなれば間違いなく受注出来るでしょう。その関係性を親戚に、近所の人に、その友人に、地域全体にと広げて行く事が出来れば地域NO1の会社になる事が出来るという理屈です。
強みとは愛。
そして、家族に対して自分自身が行なった事を振り返ると、別段に対した事をした訳ではなく、絶対的な責任を負い、愛情を注いできただけの事。要はセグメントされた小さな市場では個別に丁寧に愛情を注ぐ事、責任を負う事だけで誰にも真似出来ない強みを発揮する事が出来るのです。
一般的なマーケティング理論とは少し考え方が違いますが、なんの強みも持たずに起業した私が、これまでの20年弱を振り返り、実践して来た結果を鑑みたとき、そんなに抜きん出た特別な武器が無くても真摯で誠実な在り方を守るだけで顧客の信頼を得て来れたのを実感しています。
ずいぶん昔になりますが、研修合宿でがっつりと教えを乞うた元日本マーケティング協会の理事長でもあった故水口健二氏は「マーケティングは愛だ!」と最後の締めにいつも言われておりました。ロバート・チャルディーニ著の『影響力の武器』に書かれていた返報性の法則の観点からみても、愛情を持って人に接すると、相手も好感を抱く様になるのは人間の心理として絶対にあるわけで、愛を持って仕事に向き合う事こそがマーケティング構築の根幹なのだと思っています。
塾生の皆さん、やっぱり、愛やで、愛。
告白しなさいとは言いませんが、笑、愛を持ってお客様に接してみて下さい、きっと大きな成果を手に入れる事が出来ますし、絶対にお客様に喜んでもらえる筈ですので。
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