UX JAPAN FORUM in KANSAIでの確信。

10月8日 晴れ

今日も朝から大阪。

今年に入って個人的に取り組んでいる『ゼロベースに立ち戻って学び直すキャンペーン』の一環で通いはじめたUXD KANSAIの研修の流れで、今日はUX JAPAN FORUM IN OSAKAに参加。『社会の幸せの為にデザインが出来る事は?』と題された講演とパネルディスカッションを聴講しました。

相変わらず、大企業のデザイナーや学生さんが多いこのコミニティーに紛れ込んだアウェー感は否めませんでしたが、そんな事に負けじと、(笑)「建築にこそUXは必要だろ、」という自分の直感に従ってUX的思想にどっぷりと浸かり、理論、思考、手法のみならず、『マインド』を身につけるべくガッツリと学びの時間を持ちました。

 

 

キーノート1

UX KANSAIの研修会で教えを乞うている株式会社経験デザイン研究所の浅野先生による相変わらずキレのあるオープニング・トークの後、まずは関西大学の草郷教授による「幸せな社会を創るアクションリサーチ(実践的共同研究)」と題された地域創生における当事者(住民)を主体とした事例の紹介から。

モノの豊かさと人の幸せは正比例しないというイースタリンのパラドクスと言われる理論を引用され、日本の場合はモノの豊かさと心の豊かさを求める世相の逆転は1980年頃とのことで、私の年齢で言うと中学生くらい、GDP(所得)と幸福感は正比例しないグラフを元に、社会の幸せを増やす必要を示唆されました。
gph_econ_hapiness.png(出典:草郷孝好, 2009)

ブータンモデルの近代化戦略、国民総幸福を指標に経済成長の目標設定をしている新たな価値観が日本にも必要ではないか、という仮設というよりも確信に近い論調を展開され、実際に取り組まれた住民の幸せを大切にする地域社会創りの事例を御紹介されてました。

新潟県の木沢集落、長久手市で関わられた地域での幸せな暮らしを探求し、検証する取り組み『恊働型アクションリサーチ』という切り口で重要だったのは、

●当事者のイニシアチブ
●共創
●プロセス重視

の三点との事で、私自身もNPO法人の活動等で感じていたもどかしさの根本的な問題点を炙り出された様な、なるほど!と納得する非常に気付きの多い講演でした。

 

 

キーノート2

二人目の講演は富士フィルム株式会社 小島氏による「オープンイノベーションとデザイン」というお題で以前から傍目から見ていても奇跡の企業!だと思っていた富士フィルム社の挫折と栄光?について内部からの視点でのリアルな取り組みの紹介を聴けた事は本当にラッキーと思える内容でした。

フィルムのメーカーがデジカメとスマフォの普及によってあっという間に大きなシェアを持っていたマーケットが消滅してしまうという考えられない程の困難を乗り越える為に『社内転職』と形容されておられましたが、異業種参入と社内異動を行い、大ヒットカメラ開発に留まらず、化粧品や医薬品、とイノベーションを起し続けて成長を遂げたプロセスは衝撃でした。異業種参入で全くルートのなかった販路の開拓の裏話等も聴ける等、期せずして非常に興味があった稀な機会に恵まれた事を喜びました。(笑)

 

 

ライトニングトーク

二本の基調講演とパネルディスカッションの後、締めは各地のUXコミュニティーの代表者によるショートプレゼンでしたが、これが非常に秀逸。備忘録として気になったワードのみ箇条書きで残しておきたいと思います。各人がUXデザインについて今回のテーマに沿った切り口での端的なトークは勉強をはじめたばかりの私にとっては非常に示唆に富んでおりました。

UXの存在についての意義について、

社会に目を向けるスイッチ。
全体を俯瞰出来る共通言語。
タッチポイントの効果を計るツール。
Social×Myself=社会に求められている事と自分のしたい事、出来る事の交点。
組織を巻き込む、社会を巻き込む。byTakashi Sakamoto

この他にもCJM(カスタマージャーニーマップ)の(日本を代表する自動車メーカーによる)実務への利用、タッチポイントの検証ツールについての衝撃的なインターフェースを見せてもらったりもして、これからのUXDの建築事業への転用が明確に見えたように思え、えー歳して久しぶりにワクワクした感じを味わっています。今後の研修の行く先が本当に楽しみです。

 

 

まとめ

ここでは割愛したパネルディスカッションの中で浅野先生が「これからのデザインはモノを創る事ではなくで、シクミを創る事」とさら~っとまとめを言われましたが、けだし名言というか、私の直感通りというか、これや!と甚く共感してしまいました。
UX KANSAIの研修会ではカスタマー・ジャーニーマップやペルソナの作り方など建築実務にガッツリと使えそうな手法も学ばせて頂いておりますが、UX思考、ユーザー経験に基づいた思想、マインドを浸透させるにはまだ少し時間がかかりそうです。
しかし、今日のフォーラムを聴講して確かに新しい世界への扉を開ける事が出来たと、確信を持てました。本当に嬉しく思います。

誰に勧められた訳でも無く、ポンっと飛び込んで当初は場違いかとも思いましたが、直感ってやっぱり素晴らしい。我ながら(いつになるか分かりませんが、笑)一皮むけるのが楽しみです。(笑)

これからのすみれが取り組む、顧客に幸せな体験をしてもらう為のデザイン思考と理論、そして取り組みに是非ご期待下さい。(笑)

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