道徳の時間。#大人の責任

令和2年9月30日晴れのち曇り

第三四半期終了。

水曜日は朝活の日。今日は九月の末日、今年の第3四半期は今日でおしまいです。社内では四半期ごとの面談が花盛りで月末月始の予定がびっしりと詰まってしまいました。今朝の朝活では私が所属しているBNIドリームチャプターでもコロナの影響をモロに受けて運営に大変な苦労を強いられた第4期の最終日を迎えました。先行きの見えない上にこれまで経験のない、暗中模索の中で対人コミュニケーションを回避しながらチームを支えてきてくれたリーダーシップチームの皆様には心から感謝します。そしてまた、明日からまた新たな期が始まります。新たに入会される方も、期末を区切りに退会される方もおられて悲喜交々ですが、出会いと別れ、新陳代謝は生きとし生けるものが必ず受け取る摂理だと、前向きに新たなスタートに臨みたいと思います。

学生からの問い合わせ増。

朝活を終えた後は学生さんの面接を行いました。このところ、何故かHPから学生さんからの問い合わせが多くあり、採用希望だけではなく話を聞いてみたいとか、意見を聞かせてもらいrたいとか、よく分からないアプローチで来られたりします(笑) 私としては、若者離れが進む建築業界に学生が興味を持ってくれるのは嬉しい限りで、採用するしないは別にして話を聞いたり、アドバイスをしたりする時間を取るようにしています。今日来られた学生さんは、高専の建築科を卒業後、大学に進み、現在、院生となって建築思想の研究をするか、それとも就職して実際にリアルな建築設計の世界に飛び込むかを悩んでおられました。私としては工務店で設計者になるにも大工から始めるべきだとの持論があり、その事を伝えましたが、リアルに現場で汗をかいてモノづくりに励むのを勧められるとは予想だにしていなかったようで、びっくりされてしまいました。(笑)
結論、すぐ近くの明石で全国的に大活躍されている新進気鋭の設計事務所のM設計さんにご紹介しておきました。(笑)

住まい手と作り手の媒介になりたい学生。

昨夜は京都の立命館大学3回生の女子学生とみっちり1時間、zoomを使ってのオンラインmtgでした。文系の学生さんで、建築の専門知識を学んでいないにも関わらず、建築に非常に興味を持ち、地域に住まう人の家づくりの想いを共有して、作り手に伝える媒介のような仕事をしてみたいと考え、女性設計ばかりの設計事務所でもある弊社にお客様の要望をヒアリングする実務とはどのようなものかを聞きたくて問い合わせを下さったようでした。要するに、いわゆる住宅営業をもう少し柔らかい立ち位置にしたような仕事をしたいように受け取れましたが、文系にも関わらず、建築業界に飛び込んでみたいと思ってくれたのは嬉しい限りで、君には大きな付加価値を生み出す可能性があるかもね、と激励しつつ、これも私が顧問を務めている京都の新進気鋭の工務店、G社に紹介しておきました。(笑)

10社中2社。

その彼女曰く、全く分からない建築業界で私の考えていることに価値があるのか、立ち位置として成立するのかを知りたくて、大阪界隈の工務店10数社にメールフォームから問い合わせをしたとのことでした。しかし、その中で丁寧に返信をしてくれたのは、弊社と大阪の松原工務店の松原社長だけだったとのことで、HPで熱い想いが伝わってくる会社はやっぱり対応が違いますね。と持ち上げてくれました。大阪の松原社長は私もよく知っているやり手の若手経営者で、私が主宰している職人起業塾のWSにも参加されています。また、彼が音頭をとって大阪で未来建設プロジェクトなる子供達に建設の職業体験をしてもらう大々的なイベントには一般社団法人職人起業塾で協賛もしていますし、私もイベント会場や会合に参加しに足を運んだりしている仲です。

自己欺瞞の認識。

私と、松原社長の関係を説明する際に、自社の事業以外にも業界全体が良くなるようにとの同じ志を持って幅広く活動の場を広げている経営者はみんな繋がっているんだよ、自分だけが良ければ良いという考えではダメだし、イマカネジブンの価値観を排除することが世の中を良くするには必要なんだよ。と熱く語ってしまいました。そして、「私もそんな大人になれたら良いな〜」という彼女に対して、自分の良心にまっすぐ向き合って、正しいと思う事を当たり前に行うように日々心がけるようにアドバイスをしておきました。「例えば、電車に乗った際に(私くらいの)白髪のおじさんが乗り込んできたら、席を譲ってあげるかといえば、相手に失礼かも、とか、自分も疲れているからとか、声をかけるのが恥ずかしいとか、いろんな言い訳を考えて自己正当化して良心を欺く自己欺瞞に陥るやろ、それをやめるんやで、それが良い世の中を作る第一歩や。」との私の説明になるほど、と少し納得してくれたようでした。

因果応報のビジネスモデル。

実は上述の男子学生にも同じような話をしており、地域の素晴らしいサービスや商品、そしてひとを紹介し続けて、地域に住まう人々のご縁を繋ぐ事業である「つない堂」の事業モデルの説明をする際に「因果応報という、良き事を行えば良き事が返ってくるというのを信じるか?」との私の問いに対して、彼は「半々です」とのなんともならない返事をしました。私は、人は全員、良き心を持っていて、お世話になった人にはご恩を返したいと思うもの。私心なく、良き事を積み重ねる事を続ければ、きっと私たちを信頼して良い仕事を紹介してくれる人が現れる。我々は人が持つ良き心を信じて事業モデルを計画し、実行しているんやで。とこれまた熱く語っておきました。なんて青臭いおっさんやと思われたかも知れませんが、徒手空拳だった私が起業して20数年事業を続けてこれたのは、私たちを信頼してくれたお客様に生かされてきたからに他ならず、それらは仮説ではなく原理原則に即しています。

道徳の時間。

立て続けに学生さんと面談する機会が続き、私の持っている仕事への基本姿勢や「信頼」をベースに組み立てる事業の成り立ちを説明するにつけ、感じた事は、これから社会に出る若者は道徳観、倫理観が社会で大きな付加価値を生み出している事に全く気づいていなさそうだという事でした。確かに、インターネットを覗けば方法論やノウハウが幾らでも転がっている今の時代、「うまいやり方」を見つけたものが勝ち、との風潮があるように感じます。しかし、人がお金を使うのは心を動かされた時であり、誠実で真摯な姿勢を持ったサービスや商品にこそ、価値を見出すのもまた真理です。そんな原理原則をあまり理解できていないのは、教育課程において道徳の時間が少ないのではないか、と思ったのです。特に、高校生や大学生になってから、社会に出てお金を稼ぐとは信頼を得る事だと、マーケティングの基本原則程度は人の在り方と一緒に論ずる場を作っておくべきだと思うのです。翻って、私たち大人が今一度襟を正して規範を示さねばならぬとの決意と共に。


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リーダーの器とセールス→マーケティング→マネジメントの失敗 #貞観政要

令和2年9月29日快晴

疾走。

夜風が気持ちいい季節になりました。今日は早朝から夜までぎっしりと予定が詰まっており、分刻みのスケジュールに追われて走り回る1日になりました。午前中は10時に約束があった新築のご相談にお客様が来られる前に、なんと3組も取引先の(アポなしもしくは突然のアポ取りで)来社があり、ドタバタしたスタートを切りました。ろくに昼食をとる間もなく、昼からは、大まか工事を終えて、仕上げに入っているインターナショナルスクールの新築工事の定例会議、その後、旧知の不動産会社の社長に須磨に呼び出されて中古物件の改修工事の相談を受け、帰りは元町の一般社団法人職人起業塾の事務局に立ち寄ってから帰社。夕方からは学生さん、出張中のスタッフと続けざまにズームでのミーティングと文字通り息つく間もない慌ただしさでした。

24時間戦う世代。

そんな慌ただしく走り回る印象をオーラにまとい雰囲気を漂わせていたからか、久しぶりにお会いする起業当時からお世話になっている不動産会社の社長に、「高橋くん相変わらず休んでないんかいな?」と聞かれました。そうですね、そう言われたら昔からあまり変わっていないです。と答えて、そういえば、と思い出したのは20数年前下請けの大工工務店から抜けだそうと必死にあがいていた頃のことです。その社長が言われる通り、24時間365日休みなくがむしゃらに働いていた時代があり、当時はほとんど大工として現場に出ていたことを考えれば、働き方というか、その業務内容はずいぶん変わりましたが、時間に追われる暮らしぶりは今も本質的にはあまり変わっていないかもしれないと感じました。

役割と責任がタスクを作る。

20数年前に起業した当時、なぜそんなに忙しく走り回っていたかと言うと、単純にこなすべき役割が多かったからだと思います。大工であり、設計であり、営業であり、そして小さいながらも一応組織の経営者であった私は圧倒的なタスク量に押しつぶされそうになりながらそれらの役割を何とかこなしていたいた様に思います。翻って、今を考えると随分とスタッフも増え、現場に出て作業することもなくなり、図面を引くこともお客様との打ち合わせをすることも滅多になくなりました。スタッフに実務的な役割多くを任せるようになり、ずいぶんと私の時間は余裕ができたはずなのですが、実際はそうなっていないのが不思議です。

器の大きさ。

昨日、このブログで紹介した出口治明さんが書かれた貞観政要の解説本の中に、人の器についての記述がありました。企業はリーダーの器までしか成長することはできない。との原則論から、経営者は器を大きくしなければならないのですが、そこには、おいそれと人間の器が大きくなる事はないと厳しい調子で書かれていました。ではどうすればいいか、と言う問いに対する答えは器は大きくするものではなく、空けるものとの理論を出口氏は提言されており、できるだけ器の中(頭の中)に詰め込んでいるものを捨て去って空っぽにすればまた新たに新しい考え方や知識、技術や人とのご縁を入れられるスペースが出来て、その分、会社は成長することができるとのことです。

器を空ける。

リーダーが器を空にすることとは、今まで積み重ねて信じて疑わない既成概念を打ち捨てること、と出口氏は少し抽象的な表現をされていましたが、私はそれを読んでもっと物理的(時間的に)に空っぽに出来るように考えるべきではないかと感じました。それは。考え方云々よりもまず、現在使っている時間と行動を捨て去り、スペースを空ける事ではないかと思うのです。とは言え、人にはそれぞれ役割と責任がありそれらを全く何のフォローもせずにただ、放棄してしまう事は、職業人としてあり得ません。もちろん、放棄ではなく委譲をすべきで、大きく役割と責任を渡す事が出来れば組織の運営に支障をきたす事なく、リーダーに自由な時間が出来て、新たなことにチャレンジする事が可能になります。リーダーの器が大きくならなくても、強力なフォロアーがいれば、組織は成長できると思うのです。

企業はそこに集う人の器の総計なり。

自分自身を振り返ってみると、20年前とさして変わらず、未だに時間追われて走り回ってはおりますが、起業当時私の仕事の全てだった実務は殆どスタッフが行ってくれるようになりました。そのお陰で、私は新たな事業を立ち上げたり、実務を頑張ってくれているスタッフのフォローや事業の維持継続ができるように組織全体のブランディングに時間を使えるようになったり、職人の社会的地位の向上という創業時の志に向けての事業を、自社だけではなく全国に広げる活動を行えるようになっています。これは決して自分の器が大きくなったのではなくて、私が担ってきた役割と責任を引き受けてくれるスタッフの成長の賜物だと改めて感じた次第です。結局、企業は(そこに集う)人(の総計)なり、という事なのでしょう。

セールス→マーケティング→マネジメント

そんなことを考えて、改めて感じるのは、やっぱりマネジメントの重要さです。創業間もない頃はどうやって売り上げを上げるか、どのように集客するかばかり(セールス)を考えて闇雲に走り回っておりました。その後、先の見えない不安から抜け出す為に持続的に売り上げを上げ続ける仕組み作り(マーケティング)を熱心に学ぶ中で、原理原則に則れば、企業は人なりだ!との結論を得て、17年前に大工の正規雇用化をきっかけに労働基準法の完全適法の運用、人事制度(賃金制度、等級制度、評価制度)の整備、社内でのコーチング研修を皮切りにした個別面談でのスタッフか抱える問題、課題の抽出とその改善のサポート等の運用を繰り返す(マネジメント重視の)事業形態に転換しました。今考えれば全く逆からの組立だったと自分の無知を恥ずかしく思います。。

貞観政要の凄み。

ちなみに、私が主催する建築業界に特化した研修事業、一般社団法人職人起業塾でもサービス開始当初は建築実務者向けにマーケティングの基礎理論を教えて、顧客接点強化の観点から現場起点の生涯顧客創造の仕組みを作り上げるサポートを行っておりました。しかし、上述した通りの自分自身の逆説的な事業構築を行った反省を元に、現在はマネジメント重視の少人数ワークショップの開催を中心に活動を行っており、職人起業塾の卒塾生を中心にマネジメント×マーケティング×ブランディングの三位一体論を元に事業計画づくりのサポートをしています。その中で、感じるのはやはり経営者の器を大きくする事の難しさと、その中身を引き受ける幹部の意識改革の重要さです。
さすがに多くの経営者が勧められる貞観政要、非常に深い示唆を頂けました。継文庫に寄贈下さった川島先生には心より感謝いたします。ありがとうございました。


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3つの鏡 #貞観政要〜古代中国に学ぶ「世界最高のリーダー論」〜

令和2年9月28日晴れ

タイムマネジメントが全て。

神戸は気持ちの良い秋空が広がりました。このところ出張がコロナ前と同じ位に戻ったこともあり、先週はほぼ事務所にいることがなく、その反動で9月ラストの週はぎっしりと予定が詰まってしまっています。今年、私がなかなか上手く出来ないと悩みを抱えるタイムマネジメントの改善で心がけている事は、整える時間をスケジュールの中に織り込むことなのですが、とは言え、次々と入ってくるお声掛けに対して、むげに先送りするのもできなくて、つい、無理矢理予定に入れ込んでしまいます。一旦、予定が詰まり出すと加速度的に過密なスケジュールになってしまい、なかなかタイムマネジメント下手から脱出できません。

インプットとアウトプットのバランス。

研修事業の出張やお客様先での打ち合わせ、プレゼンテーションの機会が多いと言うのは非常にありがたいことで、常に多くのアウトプットの機会に恵まれていると言うことでもあります。出すばかりでは出涸らしになってしまう危機感もあり、アウトプットとインプットのバランスを同じ位に整えたいとの観点から出張の際の移動時間は(本当はもっと仕事をするべきなのですが、笑)できるだけ読書に時間を割くようにしています。最近、四方継の事務所の片隅で運営している「継文庫」なるインターネット図書館に、寄贈本を多くいただいたことが功を奏して、本棚には私が未だ読んでいない本が沢山あり、出張のたびにその書棚から本を持ち出してはインプットに励むようにしています。

読むべき本、学ぶべき概念。

私は基本的に小説しか読まないようにしているのですが、経営者として、と言うより、職業人として知っておくべき素養ととして読んでおくべき書籍があるとも思っていて、半ば義務感に駆られて面白い小説を読むのをぐっとこらえて、ビジネス書の類も少しは読むようにしています。今回の出張のお供は、尊敬している多くの経営者の先輩たちがこれは読んでおくべきだ。と強く勧められていた「貞観政要」でした。古代中国の皇帝が行った政治の要諦を綴った本と言うことで、現代とは随分と時代背景も違うますし、そのまま全て今の生活に当てはまり、参考になる事はありませんが、それでも人心が乱れた時代を、平和にかつ豊かな時代に導いたとされる明君のモノの考え方やあり方はやはり人が生きていく上での原理原則に則っており非常に勉強になりました。

太宗 李世民の教え

歴史に残る明君と称される唐の第2代皇帝、太宗 李世民の言行録であるこの本は、リーダーのあり方、持つべき思想や判断について連綿と記述がされており、後世に偉業を成し遂げた、クビライ、徳川家康、明治天皇などの偉人たちがこぞってそれを読み、参考にされたと言われます。そこに書かれてある内容は多岐に渡り、長大な文章になっているようですが、今回私が手にしたのは、現代の知の巨人と言われる出口治明さんが上梓されたそのコアな部分、インサイトだけを取り上げて解説された要約本です。そして、出口氏が座右の書とされているこの大書の中でリーダーが学ぶべき最も重要な概念は「3つの鏡」を持つべきだと書かれています。

3つの鏡

3つの鏡とはすなわち、「道の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」のことで、銅の鏡とはいわゆる自分の顔を映し出す鏡であり、不機嫌そうな顔、人を寄せ付けない姿をしていないかを自己確認する必要を説かれており、歴史の鏡とは歴史は繰り返すと言われるように、本を読み、先人に学ぶこと、歴史に学ぶ必要性を説かれています。そして、人の鏡とは自分の悪い部分、是正しなければならない考え方や行い等について、広く意見を聞き、諫言を受け入れることの重要性を示しています。特に、太宗 李世民は諫言してくれる重臣を身近に置き、重用した事がつとに有名で、自分にとって嫌なことを言ってくれる人を排することなく、苦言を呈されることに感謝して身近に置くべきだと出口氏は繰り返し書かれておられました。

 

反対勢力ではなく鏡

私も、50代半ばに差し掛かり、若い頃に比べると格段に人から叱られたりダメ出しされる事が少なくなりました。書道や茶道の先生について教えを乞うているときは、当然指導されることも多いですが、こと事業については、曲がりなりにも組織のトップであり、最高責任者である以上、私が判断、決定することが非常に多いのが現実です。ただ、新たな取り組みをするにあたって計画を発表すると、意外と反対意見やダメ出しをスタッフから出されることが多くあります。改革を推し進めようとする私の計画の問題点を指摘されたら、やもすれば反対勢力だと感じてしまいかねません。

古典は古典に学べ。

しかし、それも「人の鏡」だと思えば、会社のことを考えての諫言であるかも知れず、私はもっと喜んでそれらの意見を聞き入れなければならないのだと改めて考えさせられました。時代が大きく変わろうとする現代において、古めかしい古典を学んだところで、劇的な時代の変化に適応できるかと言うと非常に疑問が残る。と言う意見もありますが、シェイクスピア読んで未だに現代人が涙するように、10,000年前から大して人間の脳は進化してないと言う見方もあり、原理原則もしくは人間の営みの真理に基づいて、古来から長年引き継がれてきた古典の教えには、やはり学ぶべきところがたくさんあると思った次第。貞観政要、私としてはそのうち全文読破にチャレンジしたいと思いますが、まずは要約本でも一読されることを強くお勧めします。(笑)


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謹呈 7つの習慣。〜若手大工育成プロジェクトday5〜

令和2年9月25日 快晴

建て方実習2days

「それにしてもよく降る雨やなあ。」と思わず独り言が口をついたほど、終日降り続けた昨日の激しい雨は何処へやら、 久留米の羽犬塚出迎えた朝は気持ちの良い秋晴れが広がりました。今日から2日間、研修講師を引き受けている、JBN(日本工務店協会)の地域団体である一般社団法人「人にやさしい家を考える会」主催の若手大工育成プロジェクトでは建て方実習を行う事になっており、私も泊まり込みで指導に当たっています。この研修では入職して間もない(3年未満)の若手大工や設計、営業などに携る若者達に、建築業界で働く意味と意義、そして社会人、職業人として必要な心構えや在り方と共に、実際に小さな建物を建てる現場実務を経験することで、一気に成長スピードを速めて貰うきっかけにするのが目的で、今日の上棟はその中でもクライマックス的な一大イベントです。

体験ではなく「経験」

私は、今回の研修で、実習生達に「体験」ではなく「経験」を身につけてもらいたいと思い、その様に彼らにも伝えています。その違いとは、指示された作業を言われた通りに正確にやり遂げるのではなく、事前に講師である私が方法や手順を伝えるコミュニケーションはしますが、現場では一切口出しせず、自分たちで段取りと役割、そしてタイムスケジュールを話し合い、その目標に向かって助け合いながら作業を進める事、そしてその結果を検証し、アウトプットして共有することで、ボーっとしていたらお客さんになってしまう研修を確実に自分ゴトに転化して経験になる様にしてもらっています。私は経験とは自分で考え計画、行動し、その後に良かったこと、改善すべき点を振り返って成功体験と反省をアウトプットすることだと思っており、その持論を研修にそのまま反映させています。

段取り8分とコミュニケーション

とはいえ、3年目でそこそこできる若い大工もいますが、殆どが素人集団なので、座学で説明しただけで「後は思う様にやってみ」と任していてそんなに上手くいく筈がありません。そこで、作業を小割りにするのと、何を行うのか?という作業内容に対する理解を深める為に、作業工程を小割りにして、プレカット施工図面の見方とその意味、柱、梁を組み立てる順序から立ち(柱の垂直)を見たり、仮筋交いを打ち付けたり、金物を締めたりとそのそれぞれについて一つずつ説明をするとともに、グループごとの役割分担と作業時間を話し合わせてから作業に取り掛かってもらいました。上棟を終えた後に彼らに感想を訊くと、事前の段取りの大切さ、作業中の手助けが全体の工程を推し進める、全体最適(全体勝利)の考え方と結局のところ、事前、作業中を含め、コミュニケーションが最も重要であるという事に気付いてもらえた様でした。

職人は道具じゃない。

今回、若手大工向け実務者研修の講師を引き受けるに当たって、私は若い大工は道具じゃない、便利に目先稼げる様に「やり方」を教えるだけでは絶対的にダメで、そんな研修を行ったところで、歩留まり3分と言われ、7割の若者が転職してしまっていた大工育成塾と同じ轍を踏む事になる。絶対に大工として働く意味と意義、自分たちが持つ可能性、そして、未来への希望を持てる様なマインドセットを伝えることが必要だと、事務局の方々に伝え、「塾長の思うままにカリキュラムを変更してもらって構いませんから」との言を得て、今回の半年、12回にも渡る若手大工育成プロジェクトの講師を引き受ける事になりました。そんな経緯があり、実習研修だった今日も、朝は教室の机に座ってもらい、前回までの振り返りと共に、一人ずつ自分自身で決めてチャレンジしてもらっている「新習慣」についての進捗発表をしてもらいました。

目的意識が何より重要。

とにかく、私は、技術や知識といった専門職としてのスキルは勿論大事だし、若者にはその研鑽が特に必要だと思っていますが、それよりもずっと大事なのは目的意識であり、「今、金、自分」に価値観の重点を置く様な者に一切何も教えたくないし、付き合いもしたくないと思っています。そして、それは3人のレンガ職人の寓話にある様に、100人聞いたら100人ともが、「金のためにレンガを積んでる職人」や「とにかく大きな壁を美しく積む技術だけに特化した職人」よりも「街の人々が幸せになる体験を味わえる大聖堂を作るんだ」と人の幸せのためにいい仕事をしたいと考える職人に仕事を頼みたい、一生付き合いたいと思うと思っていて、私の研修を受ける若者達は全員、3人目のレンガ職人となって引く手あまたの行列ができる人気職人になってもらいたいと思っています。

謹呈、7つの習慣コミック版

そんなこんなで、(実務研修だと思って参加した研修生達がどう思っているかわかりませんが、笑)毎回、研修のはじめには職業人としての「在り方」の話と、習慣を身に着けることの大切さをくどいくらいに訴えています。そんな研修を一番後ろのオブザーバー席で見られている事務局の責任者である高藤部長が、前回、終了前の挨拶で若者達に発破をかけられ、習慣の必要性と破壊力をもっと全員に深く理解してもらいたいと「7つの習慣(コミック編)」を全員にプレゼントします」と太っ腹かつ男気のある素晴らしい提案をしてくださいました。それもにこやかな顔でさら〜と言われていたのですが、今日、研修会場に入ると研修生達の机の上に「謹呈」と印字された熨斗がついた7つの習慣の漫画が配布されていました。九州男児は本当に熱かです。

同じ志。

研修生全員に習慣の大事さ、私が繰り返し口にする原理原則の重要性を理解してもらいたいと大盤振る舞い(しかもさら〜っと)された高藤部長の決断と行動をかっこいい!と思いながら、「謹呈」と改まった熨斗が少し気になりました。研修を終えた後、食事をご一緒させてもらう事になり、その話題を振ると、高藤部長から意外な言葉が返ってきました。曰く、「実は家の近くに中東で人道支援のボランティアを熱心に行われていた中村哲さんが住まわれていて、ひょんなきっかけで知り合いになったんです。素晴らしい活動をされているのに心から尊敬しながら、我々が地域活性化の為に地場工務店の支援に取り組んでいる「人にやさしい家を考える会」のパンフレットを渡したところ、中村哲さんに私もあなたも同じことをやっていますよね。と言われて、大いに感激したことがある。そしてそれをきっかけに中村哲さんの自著をプレゼントされ、私の人生の全てが書いてあるので参考にしてもらえたら幸いだと言われて、大いに感激したとです。」とのことした。

ご縁は宝物。

残念ながら、その数ヶ月後に中村哲さんはいわれのない銃弾に倒れその生涯を閉じられ、それが最後のやりとりになったとの事でした。その中村哲さんからプレゼントされた書籍の表紙をめくったところに、「謹呈」と書かれており、謹んで呈します。との文字に込められた中村哲さんの謙虚さ、器の大きさ、人間としての素晴らしさに心を打たれたとの事でした。そんな密かで大事な経験を踏まえた上で、高藤さんは、若者達に私がバイブルにしていると繰り返ししつこく勧めていた書籍をプレゼントするにあたり、上から目線ではなく、奢る気持ちなど微塵もなく、まさに謹んで、彼らがこの研修をきっかけに素晴らしい未来を手に入れてくれることを祈りつつ呈するとの想いを込めて、贈られたとの事でした。そんな熱か男達がいる九州、関わらせてもらっている私まで心に火を点けられます。同じ志を持つ人達とのご縁は本当に宝物。私も出来るだけの支援をさせてもらいたいと胸に誓う夜になりました。皆様、引き続き、よろしくお願いいたします。


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応急仮設住宅工事の意義と全体勝利主義 #くまもとの力

令和2年9月24日雨

隔週の九州巡業

またまた九州巡業に来ています。今日も早朝に起き出して朝のルーティーンを済ませた後、新幹線に飛び乗って一路、熊本の新八代へ。新幹線の駅前でレンタカーを借りて、一昨日から先行してつむぎ建築舎の精鋭4名の大工スタッフが応援にきている球磨川村の災害復旧仮設住宅の現場へと車を走らせました。球磨川の現場の後は、八代に戻り、今夏の水害被害がひどかった八代市に拠点を置かれている堺建設さんが施工されている古閑中の仮設住宅の現場にも陣中見舞いに立ち寄り、職人起業塾の卒塾生の三山大工と第14期の講座終了以来、初めて顔を見てカツを入れつつも、頼もしい姿を拝見することも出来ました。夕方からは熊本に移動、クライアントが管理されている土地の確認に行った後、明日からの筑後での若手大工研修に備え、いつもの羽犬塚のホテルに入りました。文字通り九州巡業、忙しい1日となりました。

災害は忘れた頃にやってくる

現在、つむぎ建築舎の大工スタッフも応援として従事している球磨村の仮設住宅現場ではファイヤー村田こと、熊本で大工による手刻みへのこだわりとブログによる情報発信で有名な工務店、株式会社村田工務店の村田社長にご案内頂き、総数800戸近くの応急仮設住宅(とはいえ建設型なので基礎もある高断熱木造住宅)を7月の水害からたった2ヶ月少し、10月の初旬には全て完工させるという、常識では考えられないスピードで進められている今回のプロジェクトの経験談をお聞かせ頂きました。熊本の震災から始まった、災害復旧の仮設住宅を劣悪な住環境になってしまう軽量鉄骨のプレファブ住宅から高い居住性を備えた木造住宅にシフトしようというムーブメントは徐々に全国に広がりを見せており、私が所属する京阪神木造住宅協議会でも兵庫県との災害協定を結んでいます。万が一、被災地となった場合には今回の熊本と同じように私達も即断即決で仮設住宅の建設に取り掛からなければなりません。毎年、酷さを増し続ける自然災害の脅威を考えたら、今の内から応急仮設住宅の実務を把握しておく必要が少なからずあります。

目的共有と全体勝利

7月4日に豪雨災害が発生し、その後わずか2週間後には敷地を確保して地縄を貼り、9月末を目標に800個近い仮設住宅を全て木造で建てられる今回のプロジェクトの中でも、最大の規模を誇るのが本日私が訪れた球磨村総合運動場での113戸の工事です。コロナの影響もまだ強く、県外をまたいでのボランティアも制限されていた中、10月5日の完了検査で全てを完成させるところまでこぎつけられた圧倒的な施工能力には驚かされるばかりでした。灼熱の炎天下の下、基礎工事からつきっきりで現場で指揮を揮ってこられた村田社長は、真っ黒に日焼けして、ずいぶん精悍な雰囲気の現場仕事人の風情に変わっておられました。今回、このプロジェクトをなんとか成功裏に導けたのは熊本地震のときの経験から、集まった職方をグループ分けするのではなく、全体勝利を目指すと言う考え方を持って、臨機応変に配置を変えてもらったこと、そして、朝礼で何のためにわれわれは仮設工事を行っているのか、その意義は何か?と目的の共有を繰り返し熱い口調で行ったことで、職方の理解を得たことが大きいと語っておられました。

誇りを持てる仕事

私自身も、阪神淡路大震災の後は、職人としてずいぶんと仮設住宅の工事に従事しましたが、それはすべて大手プレハブメーカーの下請け職人としてで、冬が寒く、夏は暑い掘っ立て小屋のような仮設住宅を建てる作業を、非常時だからしょうがないと思いながらも、あまり意味も意義も考えずに、淡々と決められた作業を進めていたような覚えがあります。それに比べ今回の八代豪雨災害での応急仮設工事はすべて木造住宅で、全建連と地元の工務店が連携を取り地域の安心と安全を守るのは我々の役目だと言う使命感を持って取り組まれており、以前のおざなりのプレハブ住宅とは全くその価値が違うと感じました。どんな建物を建てても結局工事するのは職人であり、作り手が誇りを持てるような建物を作ることの大事さを改めて目の当たりに見て、深く感動させられました。紡ぎ建築者からの応援は今月末までの予定でしたが、完了検査までの工期が厳しいのを見て、少しだけですが応援滞在を延期させて貰います。豪雨災害に遭った方々が、1日でも早く快適な暮らしを取り戻せるよう、微力ながらお手伝いさせていただきます。村田社長、引き続きがんばってください。遠く神戸から応援しております。


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付加価値を生む職人マネジメントのロジック #当たり前の積み重ね

令和2年9月23日曇り

彼岸明け。

秋の大型連休、シルバーウィークの4連休が終わり、世間様も動き出し忙しい日常が戻ってきました。とは言え、私はこの四日間も別に休みを取って遊びに行ったわけでもなく、最近やたら多くのお問い合わせをいただいている新築のお客様との打ち合わせや敷地調査に走り回り、唯一昨日、京都から滋賀へと遠出しましたが、これも着工中の現場確認とお客様へのご挨拶でした。ただ、昨夜の夕食はスタッフとともにお客様に手配いただいた瀬田川沿いの料亭で滋賀ならではの料理とお酒をご馳走になり、楽しい時間を過ごさせていただくとともに、少しだけ休み気分を味わうことができました。H様いつもながら過分なお心遣い、心より感謝いたします。

木造中学校新築工事完了検査

今日の昼からは新築工事中のインターナショナルスクールの建築確認申請の完了検査があり、私も検査立ち会いに現場へと向かいました。当初の契約時に取り決めていた契約工期よりも、ひと月近く短縮して完了検査の日を迎えられた事は、契約時に出来る限り工期短縮に努力します、と言っていた私としても非常に嬉しく、最低限ではなく、最大限クライアントの意向を叶える努力をしてくれた担当の大工の大ちゃんを始めとしたスタッフや関係業者の方々に心から感謝するばかりです。また、多様性と共生をコンセプトに掲げた今回の建築はDIYの工事も多く、学校関係者とともに工事を進め、言葉の壁を越えて良好な関係を築きあげてくれたのには、本当に頭が下がります。中途半端に私が口出しせず、現場担当者を信じて、任せ切ることの重要さを改めて感じさせられました。

大工の定義

我々つむぎ建築舎では、現場代理人、施工管理を社員大工が務めます。今回の学校建築のような大規模な案件になると、毎日10人近くの大工が現場に入り、他の専門業者の職人さんと入り乱れ、全体の工程の段取りをするのさえなかなか大変な上に、言葉があまり通じないアメリカ人のクライアントとの窓口も勤め、日々コミニケーションをとりながら、自分自身でも作業を進めなければなりません。世間一般で言う大工の仕事に比べると、全く違うレベルの仕事量こなしてもらわなければならないのですが、私たちの大工の定義は現場の全責任を一身に引き受け、クライアントの期待値を超える建物を作ることとしています。要するに、大工は決められたことだけをこなす作業員ではなく我々の事業の目的の1つである圧倒的顧客満足をマネージメントするリーダーだとしています。

現場コミュニケーションが全て

私たちものづくり企業である工務店の評価は、現場でしか得ることができません。その結果の良し悪しで、未来に受注する仕事の質と量が決まるわけで、現場担当者に我々の未来を託していると言っても過言ではありません。そして、工事の規模が大きくなればなるほど、着手前に図面やパース、模型などでイメージの共有をしているつもりでも、あやふやな部分が残りがちで、着工した後のコミュニケーション量が顧客満足に大きな影響を与えます。現場叩き上げの私としては、着工後、顧客が持つイメージの確認と、ギャップをどれだけチューニング出来るかが、「これからもずっと御社にお願いします。」と言ってもらえるレベルでの顧客満足を勝ち取れる肝だと思っており、工期、工事品質と共に現場でのコミュニケーションが何よりも重要だと思っています。

マーケティング×マネジメント一体論

そのような現場主義の持論から、社員大工による施工、施工管理にこだわり、長年、大工の育成、意識改革に取り組んで来ておるのですが、その根本は20年前から様々な学びを続けてたどり着いたマーケティングとマネジメントは一体であるべきだとの考え方です。先行き不透明、不安定な時代にこそ原理原則に立ち返るべきだと言われますが、当たり前の思考を繰り返すことで見えたのが、大工に経営者と同じ意識を持ったマネジメント層にまで成長してもらう人事制度(賃金制度・等級制度・評価制度)と教育制度の構築と運用でした。未だに完成したとは言い難いですが、それでも工期の厳しい現場を顧客の期待に応えて納め、着工後の変更のコスト管理までしつつ、学校のフェンスにバナー広告を取り付けても良いと顧客言ってもらう位まで信頼関係を深めてくれている姿を見ると、目的達成へのコミットメントをしてくれていると感じます。
連休中にチカラボに寄稿した記事はこちら→マネジメント改革無くして市場の創造なし。

ものづくり企業の原理原則論

当たり前のことを当たり前に行うことこそが難しい。とよく耳にする言葉ですが、これが真理とするならば、私のような身体が丈夫な他に何の取り柄も無いような職人上がりの経営者でも、難しい理論をこねくり回さなくても事業を行える可能性があるのでは?と一条の光を見出したのは、世界で最も多く読まれたビジネス書と言われる「7つの習慣」を読んだ時でした。そこに書かれている当たり前のことを積み重ねた結果が私にとっては大工の正規雇用であり、作業以外の付加価値を生み出す社員大工の育成であり、現場マネジメントとマーケティングの構築です。私たちが取り組んできた当たり前のロジックを以下に整理してみます。深刻な職人不足解消の足がかりとしていただければ幸いです。

完工なくして売り上げなし。

→高い評価を元にした地域での信頼がなければ受注なし
→建築業は現場でしか評価を得られない。
→図面や仕様書、見積書等で完成イメージの完全な共有は出来ない。
→顧客満足を得るには現場での確認、調整、コミュニケーションが不可欠
→顧客からの評価が職人の評価(報酬)に直結すべき
→顧客と職人に利益の相反があってはならない
→職人は事業所と同じ立場で、顧客と同じ目的を持って工事を行うべき
→最も多く工事の割合を占める大工が社員として顧客に相対するべき
→大工は現場での全ての窓口を受け持てる知識と技術を身につけるべき
→大工が資格取得、施工管理、コスト管理、顧客窓口業務を行えば付加価値を生まれる
→高い付加価値を生む大工は所得を増やすべき
→安定した暮らしを営む職人こそが安定したサービスを提供出来る
→職人が未来に希望を持ち、安定した豊かな暮らしをしていなければ若者の入職は無し


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コロナ禍のリフォーム業界に求められている事。#やり方ではなく在り方

令和2年9月17日 曇り

世界は変わった。

今日は久しぶりの東京へ。10月から着工する南青山のアパレルブランドのショールーム改装工事の着工前打ち合わせに向かいました。少し前に菅新首相がコロナ問題は東京の問題だと口を滑らして物議を醸しましたが、実際、地方都市から見るとダントツでヤバい場所に見えていたのは確かで、本当は人口比からすると大したことはないのですが、先月までは私も東京(関東)での工事の依頼に対して、若干の躊躇があり、スタッフに工事に行かせるべきか、断るべきか悩んでおりました。依然、コロナ禍が収束したかというとそんなことはないのですが、ウイズコロナの世界で生きていかなければならないのが世の中に浸透してきた事もあり、来週からは熊本の災害復興の仮設住宅の応援にも行く事ですし、そろそろと広域の仕事も進めていかねばと覚悟を固めました。世界が変わった事を認識して、いつまでも悩んでいるのではなく、前に進む時期に来たと思うのです。

新たな細菌感染発生!

昨日の第85回「継塾」の冒頭でも紹介しましたが、昨日のニュースでまた中国の甘粛省の医薬品工場から感染症のブルセラ症の原因となる細菌が漏れ出し、付近の住民ら3000人が感染していたとの報道がありました。今回、世界中を恐慌に陥れ、世界を変えてしまった新型コロナはこれまで人類が戦ってきた細菌と比べて大したことは無く、問題は進みすぎたグローバリゼーションと必要以上に不安を煽り、拡散する情報伝達の技術革命であり、ひょっとすると、同じような感染症の恐怖が毎年のように発生するかも知れません。感染症以外でも、気候変動、地震等、世界はリスクに満ちており、それらに怯え、足を竦まして固まっていても、何らいいことは起こりません。現実にしっかりと向き合い、受け止め、リスクを避けながらも行うべきことを粛々と進めていくしかないと思います。https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000193317.html?fbclid=IwAR0bVUBBYqzSuISHj_6cAfeevEPnLyGN-Epz28dy97akNt-Wr1xTe0Rg5kY 

業界紙報道部長からの取材。

南青山での打ち合わせを終えたあとは、少し前に連絡をもらっていた某有名住宅業界専門誌の報道部長と約束をしており、東京駅近くのプチラグジュアリーホテルのカフェで打ち合わせでした。打ち合わせが少し長引いたのと、東京の土地勘が無いのも合わさって少し遅れてしまったところ、カフェなのに、利用時間は2時間と決められており、時間になるとさっさと追い出されてしまいました。東京は本当に恐ろしいところです。(笑)
取材を申し込まれた内容は、とある政府系リフォーム団体から、コロナ禍でリフォーム業界では随分と業績を落としている会社が多く、今後の売り上げを立て直していくにあたり、チラシなどの販促による反響頼みでは先行きが見通せなくなっていることから、OB顧客からの売り上げを見込める方策を冊子にまとめたいとの依頼がその新聞社に入り、かれこれ10年近く全く販促をしていない私に白羽の矢が立って、取材を申し込まれたとのことでした。

やり方を聞いても意味はない。

F報道部長に、具体的にどのようなOB戦略、フォローアップをされているのですか?とやり方を聞かれましたが、そこで私が答えるのは、大して珍しくも無い、普通のことばかりです。一年に一度の巡回訪問メンテナンス、毎月のOB顧客向けのイベント、隔月のニュースレターの送付、そして、工事終了時のアンケートで100点満点の評価をもらえるような施工品質とコミュニケーションです。面白くも何とも無い話ばかりで、正直詰まらなさそうな感が否めない、といった風情のF報道部長に私が申し上げたのは、それらのLTV(ライフタイムバリュー)を引き受ける為の活動を支えているのは職人の正規雇用と研修、教育を連綿と行って、現場の意識改革を行っているからであり、現場での顧客接点強化ができていない会社が同じ事を行っても全く違う結果になる。と言う事でした。要するに、やり方では無く、あり方の問題なのです。

真の顧客接点はどこか?

建築業界、特にリフォーム業界で人事制度(賃金制度、等級制度、評価制度)を完全適法で明確にしている会社は未だに多く無く、さらにそれを大工などの職人にも当てはめて運用している会社は皆無といっても過言ではありません。殆どのリフォーム会社では、営業兼施工管理を行うスタッフが多くの現場を掛け持ちして、各現場は外注の手間請大工が半分取り仕切りことになってしまいます。それが悪いとは言いませんが、現場で顧客接点としての機能はほとんど果たせず、契約するまでは熱心にコミュニケーションを取るが、契約後の本来、本番であるはずの工事は最低限の約束さえ果たせればいいと、おざなりになってしまうのは想像に難くありません。建築業の真の顧客接点は現場でのモノづくりであり、工事を終えて引き渡した後の暮らしそのものであるはずが、その部分を担保する人材の育成を殆どのリフォーム会社は行っておられません。

幻のストックビジネス

リフォーム事業はストックビジネスであるべき論は昔から根強く語られています。ストックビジネスとは即ち、接点を持った顧客のLTVを引き受けることによって、年数を重ねるごとに事業は安定するという意味であり、リピート、紹介で売り上げを立てられる状態を作る事を指しています。ストックビジネスのモデルを作るには、初めて工事を行った顧客に満足してもらえるのが大前提であり、その上で長年にわたりフォローを続けて信頼関係を固く築いていくしかありません。やることは至って簡単ですが、出来ていない会社が圧倒的に多いのは、厳しく言っちゃうと、目の前の収益を上げる事に囚われて、未来に目を向けていないからだと言わざるを得ません。

未来への投資なくして未来なし

そして、その未来への投資として最も分かりやすいのが職人の正規雇用と若者の育成です。リフォームの現場で顧客満足を高めるには、担当者が現場に付きっ切りで施工するに越したことはありません。ならば、施工管理も出来る職人を育てるべきですし、私達が若い頃の大工さんは設計から営業、施工管理まで全て普通に行っていましたし、私自身もそうでした。細分化した木工事、内装下地工事だけを安い賃金でやってくれる大工を重宝がるのではなく、経営者と同じ感覚を持って、事業所の理念を理解した棟梁を育てるべきだと思うのです。ただ、長年、言われたことだけ、図面に書かれたことだけをやっていれば良いとの考えで大工として働いてきた者に、顧客の窓口や現場の全体的な段取りをやれと言っても、簡単には出来ません。凝り固まった考えの大工の意識改革を小なうよりも、新卒の大工見習いを雇用して、将来へのキャリアプランを示した上で教育をすべきです。

企業は人なり、建築は現場なり。

大工の正規雇用、大工見習いの採用、OB顧客へのフォロー、どれも目先の売り上げには繋がりませんが、未来を見据えた時、欠かす事が出来ないものばかり。そこに経営資源を投下するか否かはやり方の問題ではなく、在り方だと思っています。確かに、コロナ禍の先行き不透明な今の時代、未来のことどころでは無いと思う気持ちも分からなくはありませんし、私とて10年後の自社の存続に確固たる自信があるわけではありません。しかし、だからと言って、未来から目を背けても良いわけは無く、未来を食いつぶす選択は必ずそのツケを支払う事になるのも自明の理。勇気と決意と覚悟を持って、足元と行く先の両方を支える判断を行うしか無いと思っています。そんなこんなで、F報道部長には一般社団法人職人起業塾が関西で行っている職人育成のための人事制度のWSの内容をお伝えしておきました。リフォーム業界に少しでも、「企業は人なり、建築は現場なり」の原理原則から事業を組み立てる事業所が増えてくれる事を心から願っています。


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捨てられないと前に進めない。強くなれない。#アルミンの言葉

令和2年9月14日晴れ

秋の気配。

朝の散歩に出てみると、いつの間にか蝉の鳴き声が鈴虫のそれに変わっており、徐々に秋が深まってくるのを感じるようになりました。今朝の神戸の明け方の気温は20度位、いつもの河川敷に朝の散歩に出ると草木にはびっしりと夜露が降りており、そろそろTシャツ1枚では肌寒く感じるようになってきました。朝と夜が最高に気持ちのいい季節、遅寝、早起きで存分に楽しみたいと思います。(笑)

お片づけの日

1週間のスタート月曜日。今日は珍しくアポイントも無くて1日中どこにも出かける事なく事務所にこもっておりました。コロナ対策を兼ねて、新たなチャレンジをスタートさせるにあたり、神戸市にチャレンジ補助金が採択してもらえた事もあり、今年の初めに事務所のリニューアルを行った際に手付かずだった3階のセミナー室をショールーム化することになり、工事のスタート前の片付けに勤しみました。実は、3階のセミナー室は壁一面の建具の奥に今は殆ど使っていない私のデスクがあり、長年手付かずのまま放置してしまっており、以前からずっと気になっておりました。千載一遇のチャンスとばかり、今日1日かけて整理整頓をやり切りました。

断捨離。

今の社屋が竣工してからずっと使い続けていたデスクとカウンターの中には、この15年間で私が行ってきた軌跡が残っており、引き出しを開けて中身を見る度に懐かしさと共にその時々の様々な感情が思い起こされ、あんな事も、こんな事もあったと感慨に浸ってしまいました。しかし、長年見る事もなかった資料や当時作った販促物など記念においていたところで何の役にも立たないのはわかっており、20年分の名刺と共に次々にゴミ箱に投げ入れました。一番捨てにくかったのは手紙で、特に子供にもらった手紙はその後の成長を知っているだけにもう少し置いておき、何かの機会に見せて、あの時は有難う、とお礼を言いたいなーなんて妄想したりして、捨てる決断をするのに随分とエネルギーを使いました。

アルミンの言葉。

自分では、定期的に断捨離、整理整頓を行ってきたつもりでしたが、長年捨てられずに置いていたのがこんなにあったのだと改めて驚くと共に、20年分の自分の軌跡をそっくりそのままゴミ箱に放り込んだ感もある今回の片付けは、何と無く、今までの自分から一歩進めた気がします。次々とゴミ袋をバッカンに放り込みながら脳裏によぎったのは、今再びNetflixでハマってしまい夜毎遅くまでみてしまっている「進撃の巨人」の主人公エレン・イェーガーの幼馴染で子供の頃いじめられっ子だったアルミン・アルレルトの台詞です。「何かを捨てられない者は強くなれない」と、人類滅亡寸前の残酷な世界で生き抜くために、それぞれの登場人物が次々と大事にしてきたものを捨てて、生きる=強くなる選択を繰り返せざるを得ない状況を繰り返しこの言葉で代弁しているように感じていて、私も今日の片付けで一歩踏み出すのだと自分に言い聞かせながら躊躇なく捨てることにしました。

またも娘の影響かよ。

進撃の巨人は以前に誰かから稀に見る名作で絶対に読むべき作品だと強く進められ、発行しているところまで(19巻までだった)の単行本を大人買いして読んではいるのですが、確かに人間の奥深くに潜むドロドロした部分と、絶望的な状況下で人はどのように考え、どんな選択をするのかをk四人という架空すぎるモチーフを切り口に描いており、少なからず衝撃を受けたのですが、そんなにハマって追加で発刊される単行本を追いかけて読みたいというほどではなく、ずっと19巻で止まったままになってしまっていましたが、少し前に娘が見ていたTVの「進撃の巨人芸人」を見て、えー大人がその作品の凄さ、奥深さ、面白さを熱く語っているのを聞いて、再び興味を持ち、キングダムと同じパターンでNetflixで見てしまうことになってしまいました。意外と娘に影響を受けています。。

捨てて、力を手にいれる。

この物語では人類を滅亡させるのは巨人であり、その脅威から人類を守り100年の平和をもたらした壁も巨人であり、人類を導く王も実は巨人であり、その体勢を変革して真の平和を目指す切り札も巨人だという何重にも折り重なったパラドックスが描かれています。巨人として描かれている絶大な力が示すメタファーは一体何なのか?と疑問を持った時点で観るのを止まれなくなりどハマりしてしまっている最中です。ただ、現実世界の私たちも、大きな脅威にさらされており、新しい世界秩序が求められる劇的な転換期に差し掛かっているのも事実で、何かを捨て、新しい一歩を踏み出さなければ踏み潰されてしまう危機感はずっと感じています。ショールームの改装と言ってしまえばちっぽけ過ぎますが、それも確実に新たなチャレンジであり、変わるきっかけにしたいと思っています。真の平和を手に入れて、大切な人たちを守る力を手に入れたいものです。


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100棟の体験より10棟の経験を積め。#若手大工育成P@人にやさしい家を考える会

令和2年9月12日晴れ

パワースポット効果。

昨夜遅くの新幹線で屋久島、筑後と回って工務店経営者、地域団体の代表、大工塾の講師といろんな役割のミッションをコンプリートした充実の九州巡業から帰神。連日夜明け前に起き出して、日中散々動き回った上に夜中まで語り続けた毎日に若干消耗している感も否めませんが、日本有数のパワースポット、屋久島、太鼓岩に立って力をもらってきたせいか、気力だけは充実しています。今朝もやっぱり日の出と同時に起き出して、朝のルーティーンをこなした後、早朝から大工社員との1to1ミーティング、その後は住宅やテナントビルの新築の相談を受けたり、オフィスの改装の打ち合わせをしたりと精力的に動きまわりました。寝不足なんてなんのその、山の神の力は偉大です。(笑)

建て方実習スタート。

昨日の筑後での若手大工育成プロジェクトの講座は実際に小さな建物を研修生達で建てる実習研修に入りました。今回は足場の仮設と、土台敷から大引きの据え付け、床下断熱の充填と剛床の引き込みまでを行いました、再来週は2日連続で建て方と屋根仕舞いまでを行う予定です。若手の大工見習いたちは、土台敷をするのが初めてではなかったようですが、普段は親方や先輩に指示された簡単な作業だけを機械的に行うのみで、自分で考え、主体的に作業した事はもちろんなく、アンカーボルトの位置を土台に移し穴を開けて据え付けるだけの簡単な作業にも意外と苦戦していました。

失敗してみ。

私達が普段の日常業務で現場作業を行う際は、常に失敗が許されない真剣勝負であり、何千万円もの大金をはたいて建てられるお施主様のことを考えれば、へたくそな新人に任せているわけにはいかず、細部に渡り指示を出して、若衆に考える隙間さえもなくしてしまいがちです。見習い大工にしてみたら、細かく細分化された作業を、言われるがまま行うだけで、仕事の流れも全体像も見えないまま、ひたすら言われたことを言われたがまま行うだけになってしまいます。今回、初めて実習研修の講師を務めてみて、研修は所詮練習なのでいくら失敗しても構わないと、好きなようにやらせることができ、これはなかなか良いものだと改めて感じた次第です。

体験ではなく経験。

若手向けの研修をする際に、私がいつも繰り返し言う言葉があります。それは「体験を何回繰り返しても意味はない、体験ではなく経験として自分のものにしろ」と言うことです。インプットはアウトプットとセットであり、研修で学んだ体験を自分の言葉や文字で人に伝え、なおかつ行動に転化させ、見えるように外化させることによって自分の経験にことができる。100軒の家を見るだけで体験してきた大工より、実際に10軒の家の作業を経験した大工の方が使えるし、頼りになるのは誰しも納得されるとこだと思います。上っ面の体験など何の役にも立たない、研修はアウトプットすることが必須であり、実践してこそ価値が生まれると耳にタコができる位言い続けています。そんな観点からすると、小さな建物を実際に自分たちで立ててみる実習研修は非常に学びの深いものなのかもしれません。

考えて、決めるのが経験。

そんな、実地研修で四苦八苦しながらも楽しそうにしている若者達を見て、そういえば!と思いだしたのは、毎年夏に行っている子供向けの木工教室です。私の元来の趣旨は子供たちに自分でものづくりをしてもらう経験を提供しているつもりでしたが、サポートの担当は常に若手大工にしてもらっており、そこで普段あまりやることがない自分で主体的に物事を考え、決めて人に教えると言う1連の手順が彼らにとっても非常に良い体験になっていたのだということです。木工教室で作る作品は、こちらで指定したものではなく、子供達に自由に考え、事前に作りたい希望を図面(というか絵)に書いてもらい、材料の段取りから若手大工にさせるのですが、これが中々ハードルが高く、今年は安土城や鳩時計を作りたい!との要望を受けて随分と泡を食っておりました。(笑)
きっといい経験になっていると思うのです。

考えるな、感じろ。

年号が令和に変わったのと足並みを揃える様に、以前から予測されていたVUCA化(ブーカ:不安定、不透明、曖昧、複雑)が一気に加速しました。日本中から消費が消え去ったコロナのとてつもない影響は日本だけでなく世界に暗い影を落とし、戦争が起こらないと景気は回復しないと馬鹿げたことを口にする自治体の首長さえ出てきました。それだけではなく、最近も、ある日突然総理大臣が辞任して日本のリーダーが変わるなど、何が起こるか全くもって予測不能、一寸先は闇と言っても過言でない時代になり、今までのロジックで考えても未来の予測など誰にも出来ないのではないかと思ってしまいます。こんな時こそ、論理立てた思考ではなく、直感を研ぎ澄ます必要があるとの論調をよく耳にする様になり、確かに、と私も「考えるな、感じろ。」と自分自身にも言い聞かせています。

脊髄反射的に熊本仮設住宅工事に応援に行きます!

そして、混迷の世の中になって必要なのは上っ面の誤魔化しではない地力であり、それは経験によって蓄えられるものだと思っています。そう考えれば、見えない未来をグジグジ考えるな、そして、経験を積むべく自分で考え、主体的に行動してみて、そこで初めて感じるものがあり、地力を増していくのではないかと思うのです。世界は大きく変化していると言っても、人間自体はこの10000年でさほどの進化をしていないとも言われます。今こそ、原理原則に立ち返る思考と行動が求められているのではないかと思うのです。そんなこんなで、以前から行かなくていいのか?と自問自答していた、熊本の豪雨災害の応急仮設住宅工事の人手が足らないと連絡が来ましたので、直感を頼りに社員達に経験を積んできてもらうことにします。きっと、地力を身につけてくれると思います。ちなみに、2016年の直感に従った時のブログ→建築女子、(大工見習い)リカの決断


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太鼓岩登拝。#屋久島の魅力

令和2年9月11日 曇り

屋久島からの筑後。

今朝は筑後の羽犬塚の駅前のしなびた感じのビジネスホテルで夜明け前に目を覚ましました。今日はJBNの地方団体「一般社団法人ひとにやさしい家を考える会」主宰の若手大工育成プロジェクトの講師役の日。足場仮設工事と土台敷き、床下断熱と剛床敷き込みまでの実習研修を行いました。実務研修は実際の作業を行うので身体を動かし、職人の仕事を体験できるので、参加する塾生達は座学だけよりも随分と楽しそうで、若手大工だけでは無く、設計や施工管理、営業などの職務についているメンバーもあまり見ることの無いリアルな現場を体験できたと喜んでおりました。ただ、私が繰り返し言い続けているのは、大工は当然、設計にしても、営業にしても現場を知り、施工や収まりを把握することなく一流にはなれないと言う事で、施工図を自分でかけるレベルまで自己研鑽を続けろ、と言う事です。今日もプレカットだからと言って架構をプレカット工場の担当者に任す様な事はあってはならないし、全てを把握して承認を出す責任を負えと熱く檄を飛ばしました。

太鼓岩登拝。

この若手大工育成プロジェクトの講座はスタートが朝8時と追う事で、私は常に前乗りして羽犬塚なる筑後の小さな駅前のホテルに滞在することになっています。昨日まで屋久島におり、夜には筑後に入らなければならないので、自ずと研修のついで?の屋久島トレッキングも軽めのものになってしまいました。今回、ひょうご木づかい王国学校のメンバーと4名で屋久島への研修旅行に行ったのですが、そんな諸事情があり、他のメンバー全員が縄文杉を目指してトレッキングに向かったのを尻目に、私は(縄文杉は昨年お参りしたし)屋久島の山岳信仰の聖地である太鼓岩に登拝することにしました。と言うか、実はそもそも、私、山岳信仰に非常に興味があり、富士山に10年連続で登拝したり、毎年の初詣やそれ以外も事あるごとに日本最古の神社と言われる大神神社に通いつめています。今回は、スタジオジブリの大人気作品『もののけ姫』のモデルとなった、屋久島の苔むす森、通称もののけの森と呼ばれる「白谷雲水峡」という渓谷のを抜けた峠にある太鼓岩にお参りしてきました。

神の領域。

天然記念物に指定されている屋久杉は今では伐採も採取もできない、そして縄文杉は樹齢7000年の世界最古の生きている生物という事でつとに有名ですが、この屋久杉、実は樹齢1000年以上のモノのみを指しています。1000年以下の屋久杉は小杉と呼ばれるとの事です。日本全国の神社を巡ると御神木と呼ばれる大木が多く存在しますが、その中でも樹齢1000年を過ぎているものは稀です。屋久杉の生命力の圧倒的な力には驚かされるばかりで、7000年の命を未だに繋いでいることにまさに神の領域だと畏怖さえ覚えます。そして、私が今回お参りした太鼓岩はと言うと、1500万年前のマグマだまりの化石らしく、長年の厳しい風雨にさらされて現在の様なまあるい形に成形されたとのこと。Wikipediaによると、「約1400万年前 – ヒト科がヒト亜科とオランウータン亜科に分岐したと推定されている。」とあり、人が猿と区別がつき始めた頃からこの島に存在し、世界を見つめてきたとは、まさに神。日本一のパワースポットと言われる屋久島の山岳信仰の対象の岩に立ち、恐れ多いと言う気持ちにさえなりました。

若気の至りの反省。

私は若かりし頃、随分とおバカな勘違い野郎で、自分の人生は自分の力で思い通りに切り開いていくのだと大した根拠もなく盲信しておりました。今思い出しても、穴があったら入りたいと思うくらい恥ずかしいのは、結婚式を人前式で行なった際、冒頭に新郎挨拶を行い、神仏に頼らず、未来を自分たちの手で切り開いていきます。と啖呵を切った事で、若い時の事は極力思い出したく無い事ばかりですが、その中でもとりわけ恥ずかしい思い出です。それから随分と年月が経ちましたが、その間に様々な蹉跌があり、如何に自分の力がちっぽけで、自分一人で大した事は何にもできないことに気づかされました。しかし、年を追うごとに責任だけは重くなり、やらねばならない事と、出来る事とのギャップに悩まされることになりました。このままではマズイと気づき、親鸞聖人が教えたところの自力ではなく他力で本願を達成するしかないと、半ば強制的に分かりさせられました。

神に会える島へ。

だからと言って、宗教にのめり込んで、教祖の教えのままの道を歩むと言う事はありませんでしたが、自分でコントロールできない事の多さ、大きさに気づいてからは、神仏に対して祈りを捧げる様になりました。人一倍、屋久島に魅かれているのもそんな影響があると思います。そんなことを差し引いても、実際に足を踏み入れてみると、屋久島の雄大で荘厳な自然は圧倒的な魅力を放っています。今回は次は九州最高峰の宮之浦岳に登拝する心算を固めましたが、これから10年かけて神の島を踏破し尽くして、神々しくも厳かな自然界が私たち現代人に残してくれた遺産とそれに託されたメッセージを受け取りたいと思います。以上、もののけ姫の森、白谷雲水峡から太鼓岩までの写真と共に今回の屋久島行のレポート的なブログになってしまいましたが、定期的に屋久島に通いますので、ご興味がある方は是非ご連絡頂ければと思います。悠久の歴史と神の存在を感じに一緒に参りましょう。出来る範囲でガイド的なサポートもしますのでお気軽に!(笑)

 


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