リスクリバーサルの本質、結局やるかやらんか。#第81回継塾

令和2520日 晴れ

問題は常にコミニケーションにあり。

今日も好天に恵まれ、着工中の新築中学校の基礎現場では予定通りベースコンクリートの打設を行いました。天候に左右される基礎工事の工程もこれで一段落、工期短縮をミッションに課せられている現場代理人の代理人の私としては、ホッと胸を撫で下ろしました。しかし、計画段階から懸念していた土間一発仕上げの部分では、左官職人による刷毛引きに問題があるとアメリカ人のお施主様から指摘を受けたりして、対応に追われました。出来上がりのイメージの共有が建築では最も重要なのは十二分に承知しておりますが、言葉の壁は思いの外大きくて、自分の英語力の無さを今更ながら悔やみました。これからコミニケーションの改善方法を考えなければなりません。

ひっくり返った世界。

夕方、帰社してからは、月に一度開催している勉強会「継塾」の開催日でした。今回もコロナシフトでzoomを使ったオンライン併用開催だったのですが、20数名の参加者のうち、四方継の事務所に集まったのはほぼ身内の3名のみで、あとは全員がインターネット越しでの参加となりました。こうなるとリアル参加の方が圧倒的に少数派で、オンラインmtgの一般化というか、スタンダード、2ヶ月前では考えられなかった状況で、まさに常識がひっくり返ったのを強く実感した次第です。そんなコロナで世の中が逆転の価値観で回り始めているのを汲んで、今日の勉強会のテーマはそんな時代のリスクを洗い出し、大きな変化に取り残されないように備えようと、リスクリバーサルをテーマに掲げておりました。

ピンチをチャンスに変えるリスクリバーサル。

リスクリバーサルとは文字通り、危険をひっくり返す概念ですが、よくマーケティングを学んだ人が返金保証などを付けて顧客の不安を取り除いて購買を促させる方法論を指すのだと言われるのと、私が定義しているのとは少し違います。私が今回、提唱したのは、自分自身が不安に思っていること(=リスク)を全て吐き出して、顕在化しているリスクだけでなく、潜在的な未来に対する不安要素も認識して、それに対する対応を考えてみる。と言うもので、自分自身の弱みを認識し、それを意識的に補強することでリスクをリバース、ピンチをチャンスに変換しようと言うものです。

結局、やるかやらんか。

あらゆる価値観が逆転した今の時代に浮き彫りになったリスクをひっくり返すと言う事は、逆転の逆転思考であり、陰極まって陽となる。の言葉のように、360度回って元に戻ってくると言う考え方も当てはまると思います。要するに、混迷を極めるこんな時こそ、原理原則に立ち返るべきであり、環境を変えたければまず自分自身に向き合って変化させるしかないのではないか、なんて思っています。結局、リスクの波に飲まれないように状態管理をいかに行うか、自分の身をストイックに修め、人としての効果性を高めることに注力するしかないのではないかと思っています。今日の勉強会でも、この不安定、不透明、複雑、曖昧なわかりにくい世界に対峙するには、自分がやったほうがいいとわかっていて、でも、できていない事とのギャップを埋めるモチベーションを高めるしかない、要するにやるかやらんかそれだけだと(自戒を込めて)熱く語っておきました。(笑)第81回継塾にご参加いただきました皆様、リスクを強みに、ピンチをチャンスにひっくり返せるように頑張ってまいりましょう。(^ ^)


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気になるコトに向き合う習慣。

令和2年5月19日 雨のち晴れ

給付金の喜びの声。

何気なく見ていた今朝のTVで、新型コロナ禍による政府からの給付金が早速振り込まれた人のインタビューが流れていました。東京に住まれている方で、給付金の使途を聞かれると、若い方はインターネットの環境を良くする為にルーターを新調したいと言われており、お年寄りは孫と遊びに行きたいとの事。まあ、そんな感じなんだろうと思いながら聴いていましたが、世代間の意識差というか、価値観の違いというか、今の世界に対するパラダイムが全く違うのだと感じました。

マイナンバーの優位性と危うさ。

ちなみに、早々に給付金が手元に来た人達はマイナンバーカードの番号ででWebから申し込んだとの事でした。政府による個人情報の管理体制がどうも気持ち悪く感じて、あまり積極的ではなく、マイナンバーカード自体持っていない私とは全く違う世界の話に聞こえましたが、今回の給付金のバラマキで一気に中途半端なままだったマイナンバー制度が普及するかも知れないと感じると共に、10万円と引き換えに全世帯のマイナンバーが整備されたら、政府としては大いにメリットがあったのではないかなんて思ってしまいました。本当の目的はそっちなんじゃないか?と全世帯に10万円の給付金の話題出た当初から感じていた事です。

一気に広がる情報格差

それにしても、若い人の話はさておき、おじいさんがwebサイトから給付金の申し込みをされたと言うのはなかなか大したものだと感心しました。スマフォの普及と共に高齢者でのLINEの利用率が70%を超えたとのニュースを随分前に耳にしましたが、インターネットリテラシーに長けた御老人も今どきは少なくないのかも知れません。とは言え、大多数の御老人はそんなwebを駆使して自治体に給付金を申請する様なスキルも知識も持っていないのは想像に難くなく、コロナの影響で一気に世の中はオンラインに偏りつつある中、情報格差はどんどんと広がっていくのだろうと思いました。産業革命を超える大きな変革と言われる情報革命が起こった世界では、情報格差はそのまま、所得格差になると言われおり、お年寄りはさておき、若者の中でも職種によっては(特に建設業界)大きな違いがあるだけに、危うさを感じずにはいられません。

知っていると出来ているのギャップ

ピンチはチャンス!とよく言われますが、その根拠を考えて見ると、ピンチを迎えたら、それまで考えなかったことを色々考える機会をもらえるからだと思います。先行きにリスクを感じて、予測を立て、危険を回避する方法論を一生懸命に考えれば、何も考えずにのほほんと生きている時よりも、成長のきっかけは間違いなくあるし、その中で自分自身を振り返り、内省し、改める行動に取り組めば、やった分だけきっと成果が現れるでしょう。そして、誰もが良く理解していることですが、「知っていること」と「出来ていること」には大きな乖離があるもので、情報化社会の今、溢れる情報の中で自分がこれはやるべきだと思うことを選択し、継続して行えば、大概のことはできる様になります。努力した時間と成果は必ずしも一致しないと言われますが、知識や技術の習得、人間関係の改善、影響力の拡大等々、一致することの方が多いと私は思っています。

気になるコトに向き合う習慣。

知らない→知っている→やってみる→できる→出来ている。と知るところからできるまでの数多くの壁を乗り越えなければ、出来ている状態を保つことはないのですが、ここには継続した行動=習慣の力が必要です。やれば良いと思うことを知っているのに出来ない、やってみてもなかなか続かない、中途半端きやめてしまった。という経験は誰にでもあると思いますが、この山を乗り越えて成長する機会がピンチが訪れた際のリスクを予測し、考え、回避するためにあれこれと方策を立てる時にやってくると思うのです。ちなみに、私の場合は17年間、ビジネスコーチとのセッションを受けて毎月「気になっているコト」を質問され続けて来て、足元から数年先までのリスクを考え続けてきました。そのおかげで結果的に事業を20年間続けて来れたと思っています。気になるコトに向き合う習慣の大切さを実感しています。明日の継塾ではそんなコトをテーマに参加者の皆様とディスカッションをしたいと思います。


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逆転の時代に考えるリスクリバーサル。

令和2年5月19日晴れのち雨

神通力発動。

天気予報では今日の昼から明日にかけてずっと雨が降り続くことになっており、着工現場のコンクリート打設の準備を間に合わせねばと、今日も朝から張り切って現場に向かいました。すっかり現場監督モードに入って、トランシットを据えて型枠と基準墨との誤差の確認をしたり、アンカーセットの墨出しのついでに、アンカーボルトの据え付けまで行ったりと、今日も現場を満喫してしまいました。天気予報通りに、夕方、雨が売り始めるのと同時に作業終了、気持ちよく現場を後にして帰路につくことが出来ました。まるで天気を思い通りに操れたような気になってテンションをあげました。(笑)

非常事態宣言解除前夜。

事務所に戻ってからは、明後日開催する元祖職人起業塾改め継塾の勉強会で使う資料のまとめ。今回のテーマは、このたびのコロナウィルスによる劇的な世界の変化への向き合い方を考えるべく、「逆転の時代におけるリスクリバーサル」としています。ここ最近の1週間位、東京や大阪でも新規感染者の数は随分と落ち着いてきて、私の住む兵庫県を含む特定感染警戒地域でも緊急事態宣言の解除がそろそろ視野に入っていましたが、緊急事態宣言が解除されたからといって、すっかり元の暮らしに戻るかというと、残念ながら決してそんな事はないと思います。感染症の第二波、第三波のリスクに怯えながら、常に感染拡大防止の観点を持ちながら、過ごしていかなければならないとのだと思っています。

逆転のパラダイム。

それは、私たちが、これまでの価値観が全く逆転した世界に足を踏み入れてしまったことを意味します。対面コミニケーションは避けるべきもの、団体行動は意識の低い人がすること、公共交通機関は使わない方が正しくて、海外旅行、もしくは海外への事業展開は大きな危険が伴い、事業所にはできるだけ出社しないほうがよくて、夜の接待、飲みニケーションは悪いこと。お店を出店するのは繁華街よりもローカルの方が安心で繁盛するし、東京一極集中は地方への分散が進み、成長拡大を目指してきた企業は外部環境の変化に強いスモールビジネス、選択と集中よりも事業の柱をたくさん持った分散型にシフトした方がリスクヘッジになる。そして、世界のグローバル化にも疑問が持たれ始めました。

予想不可能な世界。

このブログでも令和はVUCA化(不安定、不透明、曖昧、複雑)な時代に入ったと繰り返し書いていますが、今まで気付いていなかったリスクがここにきて一気に噴出してきた感があります。今まで存在に気づかなかった落とし穴がこれから行く末にたくさん仕掛けられていることに気づいたかのように、先行きの見通しが立たず、不安を抱えている人も少なく無いと思っています。そんな今、どうすればいいかと考えると、リスクを回避する方法論を見出すべきとなりますが、それが簡単に出来ないのがVUCA化した社会であり、誰もが予想だにしない出来事が突然起こるのが今の時代です。考えても無駄、となってしまいそうですが、それではあまりに愚かで、人間の持つ可能性を否定することになってしまいます。

本質的リスクリバーサル。

マーケティングの世界にはリスクリバーサルという概念があります。一般的には顧客が買わない理由を打ち消して信頼して勝てもらえるように顧客心理をリバースする手法として用いられますが、私は小手先の方法論ではなく、本質的なリスクリバーサルを考えるべきだと思っていて、それは自分、自社の持つ弱みを全て洗うだし、正面から認識した上で、そのリスクをカヴァーする具体的な方法論を考え、対策を講じることだと思っています。それを行うことによって、目先ではなく、根本的な信頼性を高めることになり、多くのリスクを認識した分、弱みを叩き潰し、強みに転化できると思っていますし、これまでの20年間近く、その部分にずっと取り組み続けてきた、と言っても過言ではありません。

あらゆるリスクを知る機会。

その本質的なリスクリバーサルの入り口は、コーチングの際にコーチから聞かれる「最近気になっていることは何かありますか?」という質問にありました。20年近く、毎月この質問に向き合い、気になること=リスクに真摯に対峙して少しずつ、改善と改革を繰り返してきました。何度ももうダメか?と思えるような大きな外部環境の変化に晒されててもなんとか持ちこたえ、今年は20周年を迎え、事業継承を考えるステージに今あるのは、そのリスクをリバースし続けてきたからではないかと思っています。明後日開催する継塾では、参観者の皆さんに、これから考えうるリスクとその根本的な回避について質問し、その声を集約した集合知から、コロナとの共生するこれからの時代を生き抜く光を見出したいと思っています。もちろん無料、オンラインで全国どこからでも参加できるので、ご興味がある方はこちらからお申込みください。→第81回【元祖】職人起業塾改め「継塾」#無料オンライン開放 5月21日 19時〜です。

 


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ブックカバーチャレンジ 7daysをやってみた。

令和2年5月16日雨

采配的中!

近年、天気予報の精度が圧倒的に上がったのは気象衛星を打ち上げたからだと認識していますが、それにしてもバッチリよく当たります。今日は雨の予報を受けて基礎工事の現場をストップし、天気が回復する日曜日に型枠大工さんに出動してもらうように依頼をしましたが、現場監督としての采配がズバリ的中したぜ!とニンマリするほど今日は朝から夕方までしとしと雨が降り続く1日になりました。これで明日カラッと晴れてくれたら言うことありません、宇宙から観測してくれている天気予報の精度を信じたいと思います。(笑)

Book cover challenge  7days

先週から今週にかけての7日間、ブックカバーチャレンジ7daysなる取り組みを行なっておりました。「7日間ブックカバーチャレンジとは、読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間SNSにブックカバーを投稿するというもの。本についての説明はなしに表紙だけの画像をSNSにアップして、そして毎日1人のInstrgram、Facebook友達を招待してこのチャレンジに参加していただくようお願いします。」と言ったもので、一種のチェーンメール的なSNS上の遊び?です。私個人としては、チェーンメール的なのはあまり好きでは無いのですが、本屋の息子に生まれて、これまでの人生を本で助けて貰ったと思っている私としては、読書の文化を広げるのには諸手を挙げて賛成する立場であり、何かと懇意にして頂いている三重の大先輩、神田社長からのお誘いのバトンを喜んで受け取りました。

良き意図は良き影響を及ぼす。

単なるSNS上でのお遊びだと、軽い気持ちで取り組み始めましたが、これまで読んできた数知れない本の中で、心に残っていて、人にオススメしたい本を7タイトル選ぶ作業は、これまでの読書人生を振り返り、自分自身が本から受けた多大なる影響を再認識する機会になりました。また、7日間に渡り、私からバトンを渡した読書家の皆さんが次々とこのチャレンジを拡散し、Facebookのタイムラインがブックカバーで埋め尽くされるのは、なかなか壮観で、毎日読みたくなるタイトルを紹介されてテンションが上がりました。チェーンメールは良くないですが、良き意図を持って、良きことの拡散はやっぱり良いなーと、認識を新たにした次第です。ご協力下さった皆様、ありがとうございました。凄く楽しませて頂いてます。(^ ^)

オレのブックカバーチャレンジ!

そんなこんなで、楽しみながらやってみたブックカバーチャレンジ7daysはあっという間に終わってしまい、本当はもっとたくさん、多くの人に手にとって貰いたい本があるのに、、と若干の消化不良も感じながら、これまで読んで深く印象に残った本を紹介し終えました。せっかくなのでここでそれらをまとめて再度ご紹介しておきたいと思います。上から2冊は両方とも小説仕立ての体を成しながら、それぞれ論語を紐解いたり、自己欺瞞と向き合って対人コミュニケーションを根本的に変革しようという概念を学べる良書です。続いての4冊はいずれも小説で、私が大きな影響を受けて、本を読んで実際に行動に変化を起こした人生形成に深く関わっている本で喜多川泰先生のもの以外は比較的古い、しかも長編大作ばかりですが、手に取ってみられることを強くお勧めします。7daysの最後を飾ったのは、本当なら私の人生を大きく変えた「7つの習慣」になるはずでしたが、その裏バージョンのもう一つの7つの習慣で、唯一の実務書ですが、習慣を脳科学の面から検証した、非常に読みやすい本です。これは絶対に読まれるべきだと思います。
以下にブックカバーを羅列しておきます。体験されるのを強くオススメします!

 

 

 

 


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職人の力。@日本一のサッシ職人のレクチャー。

令和2年5月15日 晴れのち曇り

天気を意のままに変える神通力。

この週末は天気が崩れるそうで、特に明日の土曜日はけっこうな量の雨が降るとの天気予報でした。現場代理人の代理人を務めている木造中学校の基礎工事現場では、配筋工事が明日までの予定となっておりましたが、何とか職人さん達が頑張ってくれて、本日配筋検査を受けて完了することができました。暑い中、一生懸命に働いてくれた鉄筋職人さんたちに感謝感謝です。来週もあまり天気は良くないようですが、雨の合間に作業を進め、なんとか予定通りに基礎コンクリートを打てるようにしたいと思います。私がまだ若かりし頃、バリバリと現場で職人をしていた頃は、天気さえも思い通りになると思っていましたが、いまだにまだその神通力は残っているのかもしれません。(笑)

社内での技術研修会。

気持ちよく現場作業を終えて、事務所に帰った後は社員大工たちとのミーティングと勉強会を行いました。今日の勉強会の講師は窓のリモデルで日本一の実績を誇る、松岡商会の松岡社長で、職人上がりのバリバリの技術系経営者でした。松岡社長は窓リフォーム日本ナンバーワンの実績を引っ提げ、現場叩き上げの知見と技術でYKK AP社と一緒に窓のカバー工法の商品開発に携わっておられます。今日はつむぎ建築舎単独の勉強会にもかかわらず、東京からYKK AP社の方々も(オンラインですが)多く研修会に参加してくれるほどの熱の入りようでした。大まかには知っている、でも詳細まで把握していないカバー工法の最新の情報を大工、そして設計部のメンバーも非常に興味深く聞かせてもらい、大いに勉強になりました。私の認識よりもサッシのカバー工法の世界はずいぶんと進化しておりました。

凄いね、YKKap

今日の研修会で私がすごい!と感じたことが2つありました。1つはYKK AP社がサッシ業界で面倒な割には売り上げの嵩が上がらないと忌み嫌われてきたカバー工法の製品についての商品開発をこんなに熱心に行っておられる事です。メーカーさんがそもそもカバー工法に熱心に取り組めなかったのは、完全に現場対応の施行になるからで、画一的な商品開発を行うと緑が収まりにならないし、かといって細部にこだわると案件ごとに仕様を変えねばならず、コストが上がりすぎることも含めて、ビジネスとして成り立たないからでした。それを、松岡さんのような現場叩き上げの職人の声を汲み取って商品開発に活かしてきた事は非常に素晴らしい、画期的な取り組みだと感じました。

職人の力。

もう一つは、松岡社長を見て感じた職人の底力の強さと、そこから生み出される大きな価値です。職人だからこそ持っている知見を遺憾なく発揮して、自社の強みに転嫁して大いに成果をあげられているばかりでなく、メーカーと協力して、自分が培ってきた技術を世に広く知らしめ、業界全体の向上に尽力されている姿はすごくかっこいいを通り越して感動的でもありました。職人はかくあるべし。と松岡社長の語りを聞きながら感じましたし、そんな方と一緒に仕事ができることを本当に嬉しく感じた次第です。スタッフの職人たちには松岡さんに触発されてもっと高みを目指すモチベーションを持ってもらえたら、単なる窓リフォームの研修にとどまらない大きな効果を与えられると思いますした。松岡社長、本日は本当にありがとうございました。そして、研修を企画してくれた佐藤君にも感謝します。ありがとう。


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職人は作業員から脱出せよ。#第16期職人起業塾

令和2年5月14日晴れ

どこでもドア。

今日は東京と福岡で第15期、第16期と職人起業塾の研修の同時開催日でした。もちろん、緊急事態発令中と言うことで、ズームを使ったオンライン講座となり、私は神戸の事務所から九州の講座を担当し、小田全宏先生が行ってくださっている東京講座も休憩時間のタイミングなどでちょろちょろとのぞかせてて貰いました。しかも、講座が始まる前の時間は進行中の新築現場に足を運んだりと、まるでどこでもドアを手に入れたかのような、神戸にいながら一瞬で関東や九州の塾生達と対面コミニケーションができるのは、少し不思議な感覚もありますが、とにかく便利な世の中になったものだと改めて感心してしまいました。

何のために?

今日の博多の職人起業塾では、マーケティング基礎講座の最後のカリキュラムで、「何のために?を考える」と題して、インサイドアウトの考え方をもとに、自分自身のあり方を見つめ直し、正すところから信頼をベースに置いた未来の売り上げ、利益を作る方法論をレクチャーし、塾生それぞれの立場や役割に置き換えて考えてもらう時間を持ちました。職人を始めとする現場実務者が、何のために働くのか、何のために現場に行くのか?と言う意図を明確にすることによって、現場で起こるあらゆる問題の根本的解決にアプローチすることができると言うのが私の持論で、マーケティング理論を学ぶ上で最も重要な部分だと考えています。

3人めの煉瓦職人の集団になれ。

わかりやすい例えでは、3人の煉瓦職人の有名な話があります。それは、3人の煉瓦職人が同じようにレンガを積んでいる所に通り掛かった旅人が「何をしてるんですか?」とそれぞれに質問したところ、ひとりめの職人は「見たらわかるだろ、レンガを積んでるんだ」と答え、2人の職人は「大きな壁を作ってるんだよ」と答え、3人めの煉瓦職人は「私はこの街の人たちが祈りを捧げ、幸せになる大聖堂を作っているんだよ」と答えたと言う話です。この3人のうち、どの職人と一緒に仕事がしたいか?と塾生たちに問うと、全員が3人めの煉瓦職人が良いといいます。では、君たちの周りの職人は全員が3人目の煉瓦職人と同じような思考をしているのか?と質すと、全員が言葉を濁してしまいます。

職人と作業員の違い。

「何のために?」を自分自身に問うてあぶり出されるのは目的です。目的と手段は明確に違うはずなのに、うっかりしていると、もしくは目的意識を持っていないと、全く違うはずのそれらをつい混同してしまいがちです。そして、目的意識を持っていない職人はただ言われた作業を黙々とこなすだけのただの作業員になり下がり、そんな人と一緒に仕事をしたいと思ってくれる人は世の中に皆無なのは誰もが認めるところではないでしょうか。マーケティング理論を理解して、稼げる職人になってもらうには自分たちが何のために働いているのか、3人めの煉瓦職人のように志を持って仕事に向き合ってもらうことが非常に重要です。

志を以って万事の源となす。

志の重要性を理解してもらうために、この講座ではいつも福沢諭吉先生の「学問のススメ」をひもといて、説明しています。そこに書かれてあるのは、額に汗して働いて自分の食い扶持を稼ぎ、家族を養い安楽に暮らす位の事は、鳥や獣、虫けらや魚でも行っていることであり、万物の霊長である人間なら、そんなことだけに満足せず、もっと大きな目的を持つべきだ、先祖から引き継いだこの世の中をもっと良いものにして次の世代に渡せるように意気込みと志を持てと我々を叱咤激励してくれています。私としては、世の職人全員に明確な目的意識を持ち、会社の理念とそれを照らし合わせて世のため人のためになるような働き方をしてもらいたいと思っていて、それこそがお客様との信頼関係を構築し未来の利益を作り上げる最も基本だと思うのです。塾生の皆さんには、高い志を掲げ、是非とも作業員から脱出して、大きな価値を創出する職人になってもらいたいと思います。


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リモートワークを始めて圧倒的に時間がなくなった件。

令和2年5月13日快晴

朝過密スケジュール。

水曜日は朝活の日。そして今日は朝から晩まで予定がぎっしり詰まった超忙しい1日でした。朝活はリモート開催になって、どこからでも参加できる利点を生かし、今朝は工事現場の現場事務所から参加しました。ミーティング終了後に鉄筋職人と打ち合わせをしてから少人数での開催となった自社主催のゴルフコンペのゴルフ場に移動、コロナ対策でスルーのラウンドを早々に終えた後は再び現場に帰り施工管理の業務に戻り、夕方、帰社した後は若衆とともに書道のお稽古に臨むと言う、なんとも過密なスケジュールをこなしました。

どこでもドアを手に入れた。

明日は、東京と福岡で職人起業塾の講座を同時に開催しますが、それももちろんオンラインです。私は神戸の事務所から両方の会場にリモート参加、そのスタート前に現場に足を運んで職人に指示を出したり、事務所でスタッフと打ち合わせをしたり、1日の時間でこれまでとは全く違う量のコミニケーションを取る予定になっています。毎日のようにzoomを使って人と対面をするようになり、時間と場所とコミニケーション言う仕事をする上で非常に重要な3つの概念が自分の中で随分と変わってきたことを感じています。明日にでも1部の地域を除いて緊急事態宣言が緩和されるとの報道がありましたが、全国の緊急事態宣言全てが解かれた後も、もう元の世界には戻れないかもしれません。

リモートワークで時間がなくなった。

時間と場所を選ばずにコミニケーションが取れる今の状態を冷静に振り返れば、圧倒的に効率が高まったと言えます。しかし、どこでもドアを手に入れたかのような、オンラインコミニケーションのおかげで時間に余裕ができたかというと、全くその逆で、1日の限られた時間の中でいくつもの役割をこなせる能力を身に付けたお陰で、一見無駄なようで、読書や執筆に集中できた移動時間が一切なくなり、余計に忙しくなったと感じています。コロナの影響で遠方へ出張にいけなくなった分、リモートワークに切り替えて時間ができるので、スタッフに任せきりになっていた社内の実務を引き受けると気軽に言って見たものの、実際やってみるとすきま時間を埋め尽くし、全く余白のない煩雑な毎日になってしまっています。

効率は人を幸せにしない。

20年ほど昔、スティーブンコヴィー博士の7つの習慣に「効率性ではなく効果性を重視すべし」と書いてあるのを読んでから、私は効率ではなく効果を上げる方法論についてずっと心に留め続けてきました。電動ノコギリを使うようになった大工がどんどん日当が下がっていったように、結束機を使うようになった鉄筋工の所得が増えなかったように、手紙からEメールに伝達方法が変わってコミニケーションが向上したわけでは無いように、アウトソーシング流行りで人材派遣会社がもてはやされて、ワーキングビープアと呼ばれる貧困層の人が増えたように、食器洗い洗浄機を導入しても飲食業界の利益率が高くならなかったように、インターネット予約システムが普及してホテルの利益率が下がったように、効率化は決して人を幸せにすることはありません。今回のリモートワークを毎日のように使うようになってそのことを自分自身の身をもって改めて感じた次第です。

元の世界には戻れない。

たぶん明日で特定地域以外の都道府県では緊急事態宣言は解除されるでしょうし、東京や大阪の新規感染者数の数を見ていると、日本全国全体で緊急事態宣言を収束させるのはそんなに遠くないだろうと思われます。しかし、緊急事態宣言が解除されたかといって新型コロナへの感染リスクはなくなったわけではなく、引き続き細心の注意を払い、今までと違う生活様式を取り入れつつ、経済活動を回復させていく流れになるのは当然です。もし、新型コロナに効果のある薬の認定が進み、ワクチンの開発がされたとしても、数年後にまた違う新型ウィルスが流行する可能性は依然としてあるわけで、世界中の人々に非対面、非接触が良しとされる価値観が根強く定着する中、全く今まで通りの生活様式に戻る事はできないのだと思います。

効率ではなく効果性。

私自身にしても、連日ズームを使い倒して、日本全国どこの人でもオンラインを通した対面コミニケーションを気軽にとれるようになり、全国各地に散らばった卒塾生たちのフォローアップを今まで以上にきめ細やかなネットワークを構築し、定期的なグループコーチングをスタートさせる準備を現在行っています。それを行うことで私が豊かになる事はありませんが、今まで場所と時間の制限で、したくてもできなかったフォローをできるようになるのは非常に嬉しいことです。留意すべきは、効率を高めることで効果性を置き去りにすること。それだけは無い様に、丁寧かつきめ細やかな運営体制を整えることで、それがクリアできればひょっとしたら非常に大きな成果を卒塾生のみなさんに提供できるようになるかもしれません。良きも悪しきも含め、アフターコロナの世界が少しずつ見えてきたような気がします。効率を上げて効果性を高める取り組み、チャレンジしたいと思います。


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やり方ではなくあり方を問いなおす、俺たちの経営革新会議。

令和2年5月12日晴れ一時曇り

基礎が大事。

今日も引き続き木造中学校の新築工事の基礎工事の現場に出勤、完全に現場代理人の代理人として建築実務にどっぷりとはまり込んでいます。木造の建築物とは言え、ある一定の規模になるとしっかりと地中にもコンクリートの梁が設置されるようになり、細い鉄筋ばかりで組み立てる割にはかえって複雑な構造となります。今日も鉄筋の重なり具合が、コンクリートの巻き付く妨げにならないように現場であれこれ調整を繰り返しました。建築に限らず全ての物事には基礎が大事。と言われるように、建物の強度を担う重要な役割の工程だけに、職人さんと一緒に念入りに検討を繰り返しました。地味な行程ではありますが、とにかく、ものづくりは楽しいものです。(笑)

毎日オンラインmtg

1日中現場事務所に詰めて、そろそろ日も傾いて現場を後にしようかと思った頃、TOTOリモデル推進課の山ちゃんから電話がかかってきて、zoom会議にさっさとログインしてくださいと催促されました。私は10年以上前からTOTOリモデルクラブなる地域の同業者さんとの集まりに参加しており、商圏が被るライバル会社が集まっているにもかかわらず、何でも話し合える心やすい仲間と共に合同イベントを開催する等の活動を続けています。毎月行われる行われる定例会も、新型コロナウィルスの影響で先月から中止になっており、今回はオンラインでの開催となりました。その時間が変更になってたのをすっかり失念しておりました。

惰性と陳腐化からの脱出。

その毎月の定例会議では、同じ地域でビジネスをしている仲間だけに、地域に特化した情報交換や合同で開催するイベントについての話し合いを10年以上も続けてきましたが、それも長年続けるとマンネリ化と陳腐化が進んできて、惰性に流される形だけの集まりには意味がないとの声が上がり始めて、会の存在意義自体を見直そうという動きが高まってきました。この会の創設時の初代会長でもあり、メンバーをずっと牽引してきた中尾会長が、もっと意義のある経営者の集いとして介護を刷新したいと提案され、今回から経営革新会議と銘打って、やり方ではなくあり方を問い直し、考える機会を持つディスカッションの場に生まれかわりました。

俺たちの経営革新会議。

経営革新会議と新たに命名された今日の会議では、20名ほどの経営者が、それぞれ自分が考える経営者像について考えを述べ合い、意見を交わしたり、実際の取り組みを披露してくれました。参加してみた感想は非常に学ぶことも多く、有意義な時間だと感じました。忙しい毎日を過ごす中、なかなか腰を落ち着けて自分自身の在り方について考える時間を持てない中、このような場を作ってくれた中尾会長はじめメンバー皆さんには心から感謝したいと思い、ありがたいご縁を頂いていると思いました。私は起業してからかれこれ20年以上、経営者を務めてきましたが、それだけの時間を費やしていても、いまだに自分自身に課せられた役割を全うし、経営者としての仕事を行えているか、あるべき姿を体現しているのか?と問われたら、残念ながら胸を張ってすべて大丈夫です。とは言えません。情けないですが、今日も随分と身につまされました。

理念、ビジネスモデル構築、人材育成。

とはいえ、私が考える「経営者がやるべき事は」そんなに複雑なことではなく、いたってシンプルです。人事には止めると、未来へのビジョンと具体的な方法を示し実行すること。まず、自分たちは何のために事業を行っているかと言う目的を明確にし、スタッフとそれを共有する。次に、事業が持続できるように売り上げ利益が上がり続ける仕組み、とそれを担う組織=ビジネスモデルを構築する。3つ目は次世代の事業を担ってくれる人材を育成する。私はこの20年間目指してきたのはたったこの3つだけでいいので、しっかりと形にして次の世代に引き継いでもらえるように整えることです。しかし、どれも胸を張って出来上がったと言えるレベルにはないのが現状で、まだまだ道半ばで悩みあえぎながら走り続けているのが実際です。

経営者の資質。

今日の経営革新会議では、私以外でも経営者としてのあるべき姿と現実とのギャップに悩み、苦しんでいる姿が浮き彫りとなりました。そもそも、ほとんどのメンバーはもともと職人からスタートしている人がほとんどで、経営学をしっかり学んで経営者になった人は皆無です。計画の策定も、マーケティングも、人を教育することも誰に教えられたわけでもなく、職人から家内工業、そして企業へとステージが変わるたびに必要に駆られて我流で学び、対応してきたことを積み重ねて来ただけで、建築のプロであったとしても、経営のプロになるには資質が低すぎる事は否めません。そんな素人経営者の下で働く社員さんは不憫だとなってしまいますが、それが現実です。

経営者としての在り方を見直すリマインド。

職員から起業して、勢いのまま会社を設立し、経営者となった私は、その自分に経営者の資質がないと言う厳しい事実に20年前に気がついて、1つずつ順番に片付けようと、人との関係性の原則から学び始め、マーケティング、人材育成とこれまで建築実務の傍ら経営者として必要なタスクを学びを続け、そして学んだことを実践し続けてきましたが、自分が理想とする組織作り、ビジネスモデル構築の完成にはまだ時間がかかりそうです。何とか60歳までには形にしたいと期限を決めて今も奮闘を続けておりますが、その方向性や方法論を定期的に振り返り、立ち止まって考える機会を持てる事は非常に意義が深いと思っていて、今回新しく創設されたTOTOリモデルクラブの経営革新会議に大きく期待を寄せています。共に学び共に成長できる仲間がいることに心から感謝したいと思います。中尾会長を始めとしたTOTOリモデルクラブ西神店会の皆様、良い続きよろしくお願いいたします。


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未来を見るのを諦めた経営者の話。

令和2年5月11日快晴

夏日。

昨日の夜半から降り出した雨は明け方にはすっかり上がり、今日の神戸は気持ちの良い青空が広がる最高の天気になりました。日中は気温がぐんぐんと上がり、昼前にはすでに28度5月の初旬2回目の夏日となりました。今日も朝から中学校の新築工事現場で配筋工事の着工に立ち会い、図面で伝えきれていなかった部分を補足したり、間違えないように施工図を書いたりと現場代理人の代理人を勤めましたが、強い日差しにみるみるこんがりと肌が焼けていくのを感じた次第です。

変わりゆく建築現場。

鉄筋工の職人と厳しい季節がやってきたね、と話しながら、熱中症にはくれぐれも気をつけるようにと水と麦茶を用意して、こまめな水分補給をしてもらうように伝えました。ここ近年、建設現場では毎年職人が重度の熱中症になり死亡する事故が起こっており、炎天下の下で作業し続ける業種の職人たちには、また5月だからと言ってなめてるわけにはいきません。私が若かりし頃の現場では考えられない丁寧さですが、これからとこれからは全く違うと時代の流れを汲み取って我々は変わり続けなければならないと思っています。

山積する問題たち。

このところ新型コロナウィルス蔓延の計り知れない影響に振り回されて、そこにばかり意識が集中してしまいがちですが、実際は感染症の蔓延以外にも私たちが留意すべき問題は山積みされており、新型コロナばかりに振り回されるのではなく、全体像を俯瞰しながら未来に繋げる行動をとらなければならないと思っています。昨年のオーストラリアでの山火事や、南極大陸の気温上昇に代表される気候変動、人類で初めて体験すると言われている日本の人口減少問題、それに伴うマーケットの縮小、日本の土地神話の崩壊などなど、回避できない深刻な問題が私たちを待ち受けています。足元のことにばかり気をとられて、全体を見失えば、コロナ禍に生き残ったとしても先行きが怪しいものになってしまいます。

予測不可能な世界に備える。

このブログでも繰り返し書いていますが、はVUCA化(不透明、不安定、複雑、曖昧)と言う、予測不可能でややこしい時代に突入しており、今回のコロナ騒動のように夢にも思わないようなことが起こったりします。一見、未来の計画を立てるのがバカバカしいと思ってしまいそうになりますが、近視眼的な考え方に陥るのは非常に危険です。未来に希望を失うと、人は刹那主義的な生き方に偏ってしまいます。今だけ、金だけ、自分だけ思考は周りの人を不幸にするだけではなくそれが回り回って自分へのブーメランとして返ってくるものです。

未来を見るのをやめた経営者。

20数年前、私がまだまだ起業して間もない頃、知り合いの紹介で同世代の設備業者の社長を紹介されました。その人は、非常にやる気のある若い経営者で、熱心に職人の育成に取り組んでおられました。同じ時期に会社を起こしたこともあり、私はすっかり意気投合してよく設備工事の依頼をしていました。小さな会社を興すと、まず経営者の仕事は売り上げ、仕事量の確保になり、その社長は熱心に営業活動に廻られておりました。しかし、その分現場への目が届かなくなり、職人たちがクレームを連発するようになってしまいました。社長が現場に行きすぎると次の仕事が取れなくなり、現場を社員に任せると元請けの会社に叱られる。悩みながらも両方ともがんばります。と言っておられましたが、ある日、飲みの席でその社長は、「もう金だけ儲かったらそれでいいかなと思いまして。」とサバサバとした雰囲気で私に心情を吐露されました。

イマカネジブンの行く末。

結局その社長が選んだのは、自分の持ち前である人当たりの良さを最大限に生かして、仕事を取る営業活動だけに専念して、職人の教育は諦めてブローカーのように外注の職人に工事は任せると言う選択でした。私はその割り切りは、イマカネジブンへのシフトだと感じ、それ以後徐々にその会社との関係は疎遠になってしまいました。数年後、その会社は案の定破綻してしまいましたが、決してその社長の性根が悪かった訳では無く、厳しい環境に立ち向かう気力を失って、未来を見れなくなっただけだと思っています。そして、誰しもが同じ罠に陥る可能性があると思うのです。先行きが全く見通せない今の時代こそ、未来を標榜する姿勢だけは絶対に崩さないように気を引き締めたいと思います。


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今こそ考えたい、喜怒哀樂を発せない意味。

令和2年5月9日 曇り

中止、中止、自粛。

自粛ムードで全くゴールデンでも無かったGWを終えて、またすぐやってきた週末。本来なら今日はTEDxKyotoのイベントに参加する予定でしたが、クルーズ船でコロナ感染が広がり始めたとの報道があってすぐくらい、早々に中止が決定され、その後、大峰山への修行に誘われてちょうど良かった!と喜んでいたのにやっぱりそれも中止、個人的に大峰山は大神さん、もしくは高野山の霊場にお参りに行こうかと思いましたが、そこはやっぱり緊急事態宣言が延長されているのを鑑みて自粛しました。おかげで今日も建築実務にズッポリハマり、基礎工事中の新築中学校の構造用の製作金物の図面を書き上げました。発注期限も迫っていたし、結果的にはイベント中止連発も良かったと思います。

円谷幸吉も萎える?

連日のコロナ報道を見ていると、東京都も新規感染者は50人以下になり、ピークの1/3程度と随分と落ち着いてきている様です。とは言え、専門家の皆さんに意見を聞くとまだまだ予断は許さない状況に変わりはない様で、神戸でももう暫く自粛ムードが続きそうです。昭和初期のマラソンランナー、円谷幸吉さんが走っている際、苦しさに耐えかねて足を止めようかと思った時に、次の電柱まで、次の角まで走ろうと小さな目標に集中して走っていたと言う話は有名ですが、そうやって苦しいレースを戦い抜いてやっとゴールにたどり着いたと思ったらそのゴールがさらに先に延びていたとしたら、さすがの円谷さんも走る気力は消え失せると思います。緊急事態宣言発出当初、ゴールデンウィーク明けまでだと我慢を続けていた飲食業界や、フィットネス業界の方々には今回の緊急事態宣言の延長は随分と辛かったかと思います。

非難に対する違和感。

先行きが見えない不安の中、人との接触を制限されてじっと家にこもっていると、どうしても不安が不安を呼びネガティブな感情が増幅されやすくなると思います。そして、テレビをつけるとこれでもかと、危機感を煽るような報道ばかりが垂れ流されており、精神的にどんどん鬱屈してしまう状況へと追いやられてしまうように思います。私がこのところ気になっているのは、社会全体がそのようなネガティブな感情に寄っていき、他人を攻撃しやすい風潮に流されているのではないかと言うことです。営業している飲食店やパチンコ店を非難する声も激しくなっており、自粛警察と言われる、自粛してない人を民間人が勝手に取り締まるような行為が増えてきているといいます。日本の感染症の特措法はあくまで強制ではなく要請なので、自粛していないからといってあからさまな攻撃をするのは私は少し違うと思っており、ネットやメディアに溢れる非難の声に少し違和感を感じてしまいます。

凝り固まった正義感が最も危険。

戦争は常に正義と悪とが戦っているのではなく、お互いに正義を振りかざして殺戮を繰り返すように、人の争い事は自分の考えが正しい、正義は我にありと思えば思うほどひどく厳しい厳しいものになっていきます。今の世の中の風潮はあまりよろしくない、人を攻撃するのではなく、もっと鷹揚に諭すようなスタンスで、自分の思う正義を伝えるようになればいいななんて思います。ふと思い出したのは最近の古典の学びの中でも、神の道と言われる中庸の第1章にあった結の言葉です。中庸と言う言葉をどっちつかずの曖昧な概念だと思われる方が少なからずおられるようですが、孔子の孫が著したとされる中庸には、右にも左にも偏らず、両方の正義を中和させる、第3の道とも言われる、真ん中の選択こそが世の中を平和に導くと説かれていました。その第一章をいかに転載します。

天命之謂性。率性之謂道。脩道之謂敎。
道也者不可須臾離也。可離非道也。
是故君子戒愼乎其所不睹。恐懼乎其所不聞。
莫見乎隱。莫顯乎微。
故君子愼其獨也。
喜怒哀樂之未發謂之中。發而皆中節謂之和。
中也者天下之大本也。和也者天下之達道也。
致中和天地位焉萬物育焉。

今こそ古典に学ぶべし。

ここに書かれてあるように、全ての人が喜怒哀楽をあからさまにせずに、あくまでも穏やかにあらゆる事象に向き合うようになれば確かに争い事はなくなるでしょうし、喜びも悲しみも胸の中で留めておきながら、最善の道を探していく姿勢こそ今の新型コロナウィルスに掻き乱されている世の中にこそ必要なのではないでしょうか。ちなみに、どのようなことが起きても蝋人形のように無表情のまま、事象に対せよと書いているのではなく、愛を持って全ての人やモノ、コトに当たる大前提を元に論語には書かれていますので誤解なきよう。ステイホームで家にいる時間が今までにない位取れている方は、ぜひともこの機会に東洋哲学の古典を学ばれることを強くお勧めします。


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