「割り切りは魂の弱さである」亀井勝一郎の至言。

平成30年9月4日 台風直撃暴風雨

嵐の前の静けさ。

「今年は台風の当たり年」なんて気軽に言えないくらい、深刻な被害が続いている神戸では台風21号の直撃でハーバーランドモザイクが高潮で水没したとのニュースが飛び込んできました。これ以上、大事にならないように祈るばかりです。実は神戸では朝のうちはまだ雨風がなく、穏やかないい天気でした、いわゆる、嵐の前の静けさというのでしょうか、本来、火曜日の朝は倫理法人会の朝活なのですが、今回の台風の直撃を受けて早々に中止が決定、いつも通り目を覚まして朝の時間を持て余した私は週末に積み残していたランニングの習慣のツケを払うべく朝からいつもの太山寺までの10キロラン、気持ちの良い汗を流してから台風を迎えました。(笑)

台風21号直撃!

今回の台風の直撃で、1番感じたのは世間全般的に備えるのが早いというか、早々に判断を下す意思決定の迅速さです。代表的なのはJRの運休決定で、天気予報が大型の台風直撃が避けられないと報じた時点で、早々に運休の決定を下しリリースしました。近年、自然災害が起こるたびに帰宅難民が駅のホームに溢れると言う現象が繰り返されていただけに賢明な判断と言えるのでしょうし、人間の力では抗うことのできない大自然の猛威の前にひれ伏すしかないのはわかります。トラブルを回避したいのは重々承知、人命第一の観点からすると安全過ぎるくらい安全な判断を下すのは決して悪いことでは無いと思います。しかし、、それにしてもあまりにもさっぱりとした割り切りで運休、中止、休業の判断をするのはなんとなくしっくりこないと言うのが正直なところで、もう少し悩み考え迷っても良いのではないかと思ってしまいます。

「しょうがない」の連鎖。

電車が動いていなければ出勤もできないのも当たり前、工事の工期も延びて当たり前、こんな天気だから会社は休みにするのが当たり前、一切の業務を止めても当たり前。しょうがない事は確かにありますが、あまりにも安全側に立って早々に諦める風潮が世の中に蔓延してしまうのはなんだか少し怖い気がします。すみれは車通勤のスタッフが多いこともあり今日も平常営業で、お客様からの台風被害の連絡に対応しておりました。雨漏りがしていると連絡があっても暴風雨の最中、処置をしに行くわけではありませんが、それでも電話を受け付けるだけで少しはお客様も気持ちが落ち着かれるようです。ちなみに、屋内工事の現場も動いており、その中で明日必要な部材が届いてないと言う連絡が入りました。商社との連携がうまくいっていなかったようで、その対応に担当者に連絡をとってみると、今日は関係各所連絡も取れないので何もできませんとあっさりさっぱりとした返答が返ってきたとの事で、「どうしようもないですね、」とスタッフから報告が上がってきました。結局、納期遅れによるしわ寄せをお客様に負担してもらいますという意味です。

やれるならさっさとやれよ、という心の声。

現場の実務については担当者に任せているし、あまり細かな事に首を突っ込んだりしないようにしていますが、あまりの諦めの早さに違和感を感じて商社に連絡をとってみたところ、担当者は台風で自宅待機、何にもできません、との事。事の重大さを説明すると、別の部署の上長が事業所に詰めているとの事で、そちらに担当窓口を変えてもらい、やり取りしてみるとやっぱり今日は台風の影響で関係各所連絡が取れない、なんの答えも出せないとの事でした。それでも根気よく、これまでの発注書に納期を書いて送っていた等の経緯とお客様に迷惑をかけるわけにはいかない旨を説明すると、「わかりました、裏技を使ってなんとかしてみます」とほんの10分ほどで十分納得できる回答を持って連絡を下さいました。台風で大変な中、無理を言って申し訳ないという気持ちもありますが、在庫の確認と納期の返答くらい台風と関係ないやろ。という気持ちは正直否めず、台風直撃やからしょうがない。という風潮が蔓延している影響ではないかと訝しんでしまいました。
ま、終わりよければ全て良しなので、いつまでも根に持って悪い印象を持ち続けるようなことはありませんが、割り切りが早い人や会社って一緒に仕事をする上でよく注意をしておかなければならないと思った次第です。

ギリギリの美学

「割り切りは魂の弱さである」という至言は大正~昭和に活躍された辛口文芸評論家の亀井勝一郎さんの言葉です。私は5年ほど前にその至言に触れる機会があり、ずっと胸の奥にこびりついたまま今も離れません。人が最後の最後まで悩み、悩み、苦しんだ結果の判断は無条件で受け入れますが、考える猶予があるにも関わらず、めんどくさいから、という理由だけではないかも知れませんが早々にスパッと割り切って下された判断については、残りの選択肢についての可能性を質さずにはいられませんし、自分自身でも困難に向き合った時ほど、できるだけあらゆる可能性を検証して最終の選択を下したいと思っています。そのお陰で、「絶対に無理」と諦めかけた事がひっくり返った小さな成功体験も数多く持っており、それが染み付いていつもギリギリセーフを繰り返す、ギリギリの美学を持っているといって揶揄されることもありますが、出来る事がまだあるのを捨てて割り切ることだけはしたくないと思っていますし、お客様との信頼関係を構築してきたのは常にあらゆる可能性にチャレンジする姿勢を評価してくださってのことも少なくないと思います。とにかく、早々に割り切っちゃう今の世の中の風潮とは全く逆の発想かもしれませんが、人生はあくまでも魂を磨く修行の場、最後の最後まで粘る根性は持ち続けたいと思います!

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