新築よりもリノベーション?と中古物件流通の闇。

令和元年12月9日快晴

上棟日和。

朝起きて、いつものようにアイドル犬チャックと朝の散歩に出かけてみると、伊川の河川敷は一面真っ白に霜が降りておりました。今シーズン初めての光景に、漸く本格的に冬になったのを実感して、空を見上げてみると雲1つない澄み切った青空が広がっておりました。寒いのは苦手ですが、凛とした冬の朝の空気感はいいものです。今日は大安吉日と言うことで、宝殿駅前で取り掛かっている新築工事現場では上棟工事を行っており、私も午前中、所用を済ませてから久しぶりに掛矢を振り回そうと現場に赴きました。建前をしていると暑いくらいの最高の上棟日和での作業は気持ちの良いの一言で、おめでたい良い1日になりました。

リノベーションor新築

話は変わって、午前中はご紹介をいただいて築50年になる店舗付き住宅をリノベーションするか、新築に建て替えるかを迷っておられる方の相談を伺いに行きました。最近この手の相談が非常に多く、古い建物をリノベーションで再生する選択肢が一般の方にも随分と普及してきたのだと感じます。大工的な立場からすると、古い木造建築でも状態が良い建物は安心で快適な建物として再生できますし、闇雲に立て替えて新築にする方が良いとは全く思いません。しかし、実際は解体して建て替えたほうがいいですね。とアドバイスすることの方が圧倒的に多く、残念な気持ちになることが非常に多くあります。

住宅が有り余る時代に行うべき提案。

日本の人口、特に地方都市ではこれから坂道を転がり落ちるように急激に人口が減少していきます。当然、住宅も有り余るわけで、数だけを考えるとわざわざ新築を立てる必要性は全くなくなっていきます。今ある建物を解体撤去して基礎から作り直すよりも、既存住宅をリノベーションやコンバージョンして快適に使えるなら費用も抑えられるはずですし、これからの時代に沿った方法だと思います。また、新建材が使われる以前の昭和、明治、大正時代の昔ながらのデザインはそこはかとない懐かしい雰囲気が漂い、悪くないものです。古い建物調査に行くたびににこのレトロな雰囲気を残しておきたいなぁと思うのですが、結論として提案するのはほとんどの案件で建て替え、新築をお勧めしてしまいます。残念ですが。。

リノベーションをお勧めしない理由1

個人的な心情としては古い建物を残したいと思うのに、相談された方にそれを進めないのは大きく2つ理由があります。まず1つ目は、30年以上前の建物が現在の建物に比べて随分と性能の面で低いスペックで建てられていると言うことです。神戸の下町の建物をこれまで数多く改装してきましたが、基礎に鉄筋が入ってないなんて当たり前で、レンガ積の基礎も少なくありません。いくら耐震補強を施したとしても、基礎強度が弱ければ意味はなく、また、ほぼ無断熱と言っても大きく違わない住宅ばかりなので、サッシの交換を含め断熱改修にかなりの額の費用をかけなければ胸を張って安心な建物ですと言えるレベルになりません。思いの外、多くの費用がかかるのです。

リノベーションをお勧めしない理由2

もう一つは住宅を資産価値として捉えた時に、上述したような脆弱な構造の建物をいくらきれいに、夏は涼しく、冬暖かくしたところで基本的な構造が脆弱では資産価値としてはあまり高くならないと言うことがあります。フルリノベーションをすると結構な費用がかかりますが、融資をする側の銀行の目線で考えたとき、新築に比べてやはりリスクを感じるでしょうし、その分金利の優遇を控えようと思うのも理解できます。融資を受けた住宅ローンの金利が数%違うと、結局、コストを抑えられると思っていたはずのリノベーションも初期費用はともかく、金利を含めた支払い総額は変わらなくなってしまう事も少なからずあり、今後30年、40年と先を見ると高性能な住宅を建て直した方が良いと判断してしまいます。

中古住宅流通の闇。

私たち建築会社が一番やってはならないのは、きっちりと調査すれば、ヤバイ部分が出て来るだろうと思われる物件のそこに住うリスクに目を向けずに表面的にキレイにして、大した説明もしないまま、何も知らない人に引き渡す事だと思っています。残念ながら、現状の中古物件の流通は性能の事はそっちのけで、建物価値が無い物件を表面だけ取り繕った買いやすい価格、見た目だけがこざっぱり綺麗になっている、水回りの設備が新しくしてある物件が殆どで、そんな中古物件を買われた方が、購入後10年程経った後にリスクが表面化して大きな出費を課せられるのでは無いか?と心配しています。住宅の購入は慎重に検討してもらいたいものです。。

建物の最低限の条件は人の命を守ること。

世界の先進国に比べて、日本は中古住宅の流通が圧倒的に少なく、新築市場主義と言われます。中古物件の流通が活性化するのは決して悪くありませんが、築30年を超える物件で残すべき価値がある建物が圧倒的に少ないのは事実であり、地震や台風の災害が頻発する最近の状況を見ていると、人の命を守れないような建物はつぶしてしまうべきだと私は思うのです。建築会社を営んでいる私がこんなふうに文章にしてしまうと、結局小さなリフォーム工事を嫌がって、新築ばかりを建てたいかのような印象を受けるかもしれませんが、決してそういうことではなく、建物に潜んでいるリスクに目を向けず表面的な取り繕いだけをするのは建築のプロとしてあってはならないと思うだけです。古民家の再生も行いますし、残す価値があるものには執着を持ってリノベーションの御提案をいたしますので、安心して相談ください。(笑)


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定員:10名
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