建設業界のボトルネック。@建設2030サミット

令和元年12月19日 曇り一時雨

建設2030サミット

東京にて。昨日開催された建設2030サミットで建設職人甲子園のパネルディスカッションを行うのでパネラーとして来てください。とお誘い頂き、このクソ忙しい年末にかよ、とチラッと思いながらも職人業界に一肌脱ごうと無理矢理予定をこじ開けて東京出張をねじこみました。結果的に、午前中のパネルディスカッションは中止となり、私が「職人の地位向上無くして職人不足解消は無い!職人の生涯年収を担保するキャリアパスと現場作業以外の教育のシステムを構築すべきだ!」と持論を振り回す事はありませんでしたが、「労働集約型の業種で人の問題を乗り越えられるか?」と言うテーマにパネラーとして登壇された楓工務店の田尻社長が「職人の育成は目的意識の共有からだ」と本質論を語られているのを見て溜飲を下げました。それにしても、10年後の建設業を標榜するサミットにしては、パネルディスカッションが全体的に一歩も二歩も踏み込みが浅かった印象を受け、せっかくの1000人規模の素晴らしいイベントなのにと、少し残念な印象も拭えませんでしたが、それでもパネルディスカッションに登壇された方は業界を飛び越えてそれぞれ素晴らしい取り組みをされている方ばかりで大いに刺激を受ける事ができましたし、大きな意義があるイベントだったと思います。

ボトルネックは職人不足。

建設2030サミットでのパネルディスカッションを聴いていて、根底に共通して流れている課題は職人不足問題であり、あと10年で現在活躍している職人が次々に引退していくと、建設業界は機能しなくなるのは誰しも感じており、理解されていると思いました。しかし、現状の職人の雇用、育成の環境を根本から大きく変える事なく、今までの延長線上でなんとかなれば良いなぁ、と根拠なき楽観主義に陥っている様に感じてなりませんでした。間違いなく建設業における今後のボトルネックは職人不足であり、それは機械化、大型パネルなどのプレファブ化、外国人技術実習生の採用などの対処では解消し切れない事に誰しもが気付いているにも関わらず、ではどうするべきか?と言う難しい議論を避けている様に感じたのが正直な感想です。

若者に見向きもされない業種。

パネリストにYouTuberとして注目されている20歳過ぎの大工見習いの女性が登壇されておりました。「ぶっちゃけ日給8000円で車も保険も自分持ちでガソリン焚いて現場に行く現状は金銭的にはとても厳しいですけど、現場作業が楽しく、やりがいがあるから、一人前の職人に憧れているから続けている。」とその彼女は言っておられましたが、あと数年、このままの状態が続き、将来の自分の姿をイメージ出来なければそんな高いモチベーションを持った若者も現場を去っていくのだと思いました。そして彼女自身も言っていましたが「現場すげー、職人になりたい!」と現場を見て感じてモチベーションを上げた自分は超レアケースで、職人で働くことの悪い印象が刷り込まれすぎていて、口でいくら説明しても、若者は誰も現場で働きたいと思わない。と言われたのがまさに職人不足問題のインサイトだと思った次第です。

外国人実習生の実態。

その彼女に、職人不足の解消の手立ての1つだと思われている外国人技能実習生の受け入れについてどのように考えますか?とファシリテーターが水を向けたところ、「言葉も通じない異国に出稼ぎに来て、先輩の職人にぼろくそに罵倒されている姿を多く見ており、全く良い印象はない。」とリアルな現場の声を吐き出されていました。実際、それはほとんどの建築現場で行われている実情にもかかわらず、薄っぺらいモデレーターがそんなひどい業者がいるんですか、と軽く流してしまったのは非常に残念で、圧倒的多数の外国人技術実習生が不遇な環境で技術を学ぶ実習ではなくただの最低賃金で雇える人夫として便利に使われ、耐え難い苦労をしながら、日々現場で働かされていることと、その悪影響について目を向けるべきだったのですが、、残念でした。

覚悟と愛情。

もちろん、建設業で外国人実習生を受け入れられている事業所でまともな会社はありますし、そこで働く外国人の若者たちは非常に幸せな環境で人生を大きく転換するチャンスを手に入れられるのも事実です。ちなみに、すみれで受け入れていた中国からの技術研修生は日本語検定の1級もしくは2級を合格して帰国して大きなチャンスを手に入れたようで、未だに日本に来たおかげで人生が好転したと私にメッセージをくれることが度々あります。私も、日本での体験を良きものにして欲しくて富士山を始め様々なところに彼らを連れて行きました。彼らの日本での成長は休みの日や、仕事が終わってからのプライベートの時間まで関わって、日本語習得のサポートをしてくれたすみれのメンバーの努力の賜物ですが、3年で帰国するのが決まっている彼らに対して愛情を注ぐのは並大抵の覚悟でできることではありません。実際に自社でその姿を見ていて、世の受け入れ先企業がどれぐらい外国人実習生を人として尊重して、その成功に尽くしているかと考えると本当にごく稀なのだろうと思ってしまいます。

長期的な視点での人材育成。

そもそも、外国人実習生制度は日本の高い技術力を身につけて母国で活躍する人材を育成すると言う建前ですが、実際に日本にやってくる若者の大半は出稼ぎであり、高度人材登用制度も含めて日本との貨幣価値の違いが大きい国でこそ成り立っていますが、中国の様に高度成長を遂げると全くと言って良いほど優秀な人材は日本に来なくなります。10年先以降も、建設業に持続性を保つこと考えると、やはり期間限定の実習生や外国人に頼るのでは無く、ちゃんと日本の若者の育成に取り組むべきだと思います。私達はそんな理由で5年程前に外国人技術実習生の採用をやめて、日本人の若者の採用と育成に注力しようと話し合い、それから毎年、新卒大工の採用を行っています。これは私ではなく、現場で働く大工連中の選択です。

ボトルネックの解消に建設業界が変わるべき。

前述の若手女の子大工見習いさんも言っておりましたが、現場でのものづくりは本当に楽しく、やりがいのある仕事です。そのやりがいを伝えることができて、後は他の業種に比べても遜色ない位に保障を充実させ、60歳、70歳になっても活躍し、稼げるキャリアプランを示すことができれば若者はまた建設業界に帰ってくると私は思っています。昨日の建設2030サミットで登壇された方で、「私は中卒です。」とカミングアウトされた方が結構おられましたが、圧倒的な学歴社会の今の世の中に合わない若者の受け皿として活躍できる場を提供できるのは建築会社であり、建設業界だと思っています。若者が、そしてその親が安心して就職したいと思える環境作りと、年老いた後までのキャリアプランを示す事は建設業界のボトルネックを解消する唯一無二の方法論だと信じていますし、すみれではこの15年間その仕組みを構築してきました。来年1月からは神戸、九州、東京でそのスキームと運用を公開するワークショップを開催しますので、今後、職人不足がボトルネックになると感じている方はぜひご参加いただければと思います。詳細は以下に。


有限会社すみれ建築工房は「建築、暮らしだけじゃない、その先へ」をコンセプトに社名と業務内容を2020年1月19日から変更し「株式会社四方継」と変わります。

新会社「株式会社四方継」は「人、街、暮らし、文化を継ぎ「四方良し」を実現する」を理念に、
建築事業部「つなぎ建築舎」で「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり。」
地域コミュニティー事業部「つない堂」では「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」
二つの事業部で二つのビジョンの達成を目指します!


残席1名のみです!お急ぎください!
現場戦力化 職人キャリアプラン構築ワークショップ  インナーブランディング#2

実際の帳票や運用のファイル等を共有しながら、現場実務者に特化した人事制度の構築の足掛かりを掴んで頂けるワークショップです。職人育成に取り組まれている、もしくは今後、職人の採用、育成に注力したいと思われている経営者の方は是非ご参加下さい。

日時:1月28日(火)14時〜18時 終了後懇親会あり
参加費用:5000円 懇親会は別途5000円
場所:スペースアルファ三ノ宮
定員:10名
https://www.facebook.com/events/2742407679131715/

 


2020年1月東京塾締め切り間近、お急ぎ下さい!
2月福岡塾6ヶ月コース開講予定、塾生若干名募集中!
助成金活用等、お気軽にお問い合わせください!

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10月31日(金) 卓越の戦略 現場マネジメント改革【6ヶ月研修】
オブザーバー参加受付中!

https://www.shokunin-kigyoujyuku.com/news/13th-nagasaki-2-4/


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